当科には悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫・造血幹細胞移植・CAR-T療法・骨髄増殖性腫瘍、それぞれの分野毎に専門家がおり、専門外来を行っております。また、日本血液学会の研修指定施設、非血縁者間骨髄移植・臍帯血移植の認定施設となっており、あらゆる治療法を選択することが可能です。
さらに2020年2月には、再発または難治性の急性リンパ性白血病と悪性リンパ腫に対する画期的な遺伝子治療薬である、キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法)「キムリア」の提供可能施設に認定されており、既に多くの投与実績があります。その後、多発性骨髄腫に対するCAR-T療法「カービクティ」の認定施設となり、2023年には「イエスカルタ」の提供可能施設にも認定されています。2024年には、多発性骨髄腫に対する「アベクマ」、悪性リンパ腫に対する「ブレヤンジ」の提供可能施設となり、本邦で承認されている5種類全てのCAR-T製剤の提供可能施設となりました。
科長のご挨拶
順天堂大学大学院医学研究科 血液内科学
主任教授 安藤 美樹
当教室と診療科は、1994年に初代押味和夫教授の主宰で本郷の順天堂医院に開設されました。その後小松則夫教授のもとで教室が発展し、2021年10月より、安藤美樹が主宰しております。血液内科では貧血や多血症、血小板減少症などの良性疾患から、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液のがんまで、幅広い疾患の診療を行っております。血液内科の分野では新薬の研究開発が急速に進歩しますので、以前は治らなかった病気が、今は治ることも少なくありません。実際に、多くの患者さんが通院しながら治療を継続されています。
私は悪性リンパ腫、特にウイルス関連リンパ腫とそれに対するがん免疫療法を専門にしております。より有効な治療を目指してスタッフ一同と共に努力を続けております。また、当院では造血幹細胞移植とCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞, カー・ティー)療法という細胞治療にも力を入れております。造血幹細胞移植では、血縁者をドナーとする造血幹細胞移植に加えて、骨髄バンクもしくは臍帯血バンクを介する、非血縁者間造血幹細胞移植が可能であり、専門性の高いスタッフと共に、27床の無菌室が完備されております。一方で、CAR-T療法については、2020年2月に再発または難治性の急性リンパ性白血病と悪性リンパ腫に対するCAR-T療法「キムリア」の提供可能施設に認定されており、その後、多発性骨髄腫に対するCAR-T療法「カービクティ」の認定施設となりました。2023年には「イエスカルタ」の提供可能施設にも認定され、2024年には多発性骨髄腫に対する「アベクマ」、悪性リンパ腫に対する「ブレヤンジ」の提供可能施設となり、本邦で承認されている5種類全てのCAR-T製剤の提供可能施設となりました。非常に多くのCAR-T投与実績があり、安全管理について豊富な経験を持ちます。投与後も長期間にわたり外来フォローアップさせていただくことで、より良い治療成績に繋げるための努力をしております。
また研究面ではベイラー医科大学への留学、東京大学医科学研究所での研究経験を生かして、iPS細胞技術、ゲノム編集技術など最新の技術も取り入れながら、多くの患者さんに迅速に治療できる、強力なT細胞療法の確立を目指しております。
当院で治療を受けてよかったと思っていただけるよう、このような質の高い医療体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。今後とも血液内科をどうぞよろしくお願いいたします。
診療科概要
順天堂大学医学部附属順天堂医院 血液内科では、15名の日本血液学会認定血液専門医をはじめとした38名の医局員が、質の高い高度な血液内科診療と先進的で活発な研究を両立するために、昼夜を問わず精進しております。また、静岡県伊豆の国市の順天堂静岡病院に6名、千葉県浦安市の順天堂浦安病院に6名、東京都練馬区の順天堂練馬病院に4名の専属スタッフがおり、4病院が互いに交流を持ちながら連携しあって診療を行っております。そのため他施設にくらべ圧倒的な症例数を誇っております。
血液内科が診療を担当する疾患は、貧血や血小板減少といった日常診療でよく遭遇する疾患から、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫といった血液腫瘍まで、多岐にわたります。悪性腫瘍でも、診断から治療まで一貫して自科で行い、更に造血幹細胞移植による治癒を目指した治療が可能であることも、血液内科の大きな特徴のひとつです。CAR-T療法を代表とする最先端の遺伝子治療の導入も積極的に行なっております。
特徴
血液学における診断・病態解明には、遺伝子レベルの解析や基礎医学の様々な知識が必要です。血液学で学ぶ分子生物学が基礎となる考え方は、臨床におけるどの分野でも応用でき重要です。また、血液の病気は全身すべての臓器に発生し、治療においてはあらゆる合併症がおきますので、高いレベルの全身管理が要求され、自然とgeneralistとしての能力が養われます。何より基礎的研究の成果が即座に臨床に反映され、常に最新の治療が行われますので、まさに基礎と臨床の大醐味を感じることが可能です。
外来診療
外来受付は、月曜日から金曜日の午前、午後、土曜日の午前に行っており、紹介の患者さんも常時受け付けております(但し、水曜午後は外来がございませんので、受け付けができません)。外来患者数は、初診が月に約30~50名、再診が約1600~1800名です。
当科では専門外来を設けておりますが、外来の全ての医師があらゆる血液疾患を診療致しますので、気兼ねなくご紹介ください。
患者さんのQOL、ADLを維持するため、外来で施行可能な化学療法や輸血などの支持療法は外来化学療法室や外来処置室にて積極的に行っています。
入院診療
病棟の診療体制
血液内科の病床として、常時約35~45名の方がご入院されています。
造血器腫瘍の化学療法導入や原因不明の血球数異常、脾腫、発熱の精査を行います。併存疾患や検査については該当する他の診療科の先生と連携をとり相談しながら対応いたします。
グループ制
入院診療は、グループ体制で行っており、経験豊富な准教授が主治医となり、医局員、研修医が担当医となり、複数名で診療にあたらせていただいております。患者さんの検査結果、治療はグループ内で検討し、更には教授回診や症例検討会で綿密に話し合っております。
総回診
毎週水曜日には、教授回診が行われます。患者さんの症状や診察所見、検査結果を教授以下全医局員で検討し治療方針を決めていきます。その後、病棟の回診を教授以下全医局員で行います。
症例検討会
診断や治療の特に難しい症例については、過去の報告や現時点での見解を照らし合わせ、十分時間をかけ症例をより深く様々な角度から検討し、方針を決定します。