患者さんが直接放射線科を受診することは少なく、一般の方にはあまりなじみのない診療科かもしれません。ここで少し放射線科のご紹介をさせていただきます。放射線診療には画像診断、画像下治療、放射線治療の三つの領域があり、各診療科と連携して診療を行っています。私どもは、「低侵襲」、「安全」、「正確」、「連携」などをキーワードに日々診療に取り組んでいます。
画像診断では一般撮影、MRI検査、CT検査、核医学検査、透視検査など多岐にわたる診療を行い、画像診断専門医が読影レポートを作成し各診療科と共同で診療にあたっています。放射線検査の件数は国内最多であり、先端的機器を用いて的確な診断を行い各診療科の治療方針や効果判定などに貢献しています。また、病気の状態や性質を探求する脳MRI検査は国内屈指のレベルにあり、診療と並行して研究も進めています。
画像下治療は、腫瘍性病変の診断と治療、外傷による出血に対する治療など様々な場面で行われます。細いカテーテル(管)を用いて抗がん剤や塞栓物質(そくせんぶっしつ:血管をふさぐもの)を病気の部分に直接注入したり、通常の手術では届きにくい部位へ細い針を刺して病気の状態や性質を調べたりすることも行っています。
放射線治療はあらゆる悪性腫瘍が対象となり、病気の治癒、臓器温存、治療成績の向上、症状緩和を目的に行われます。担当する診療科と連携し乳がんや頭頸部がん、肺がん、食道がん、子宮がんなどに対して積極的に放射線治療が行われてきました。また最近では、転移個数の少ない遠隔転移(オリゴ転移)に積極的に高精度放射線治療を取り入れています。小線源治療は国内屈指の施設に成長し、我々の技術を学びに国内外から見学者が訪れます。緩和的放射線治療においても院内外の多くの患者さんを受け入れています。『お待たせしない医療』を目指しており、ご紹介から照射終了までの期間を短縮させ、通院回数を可能な限り少なくした安全で効果的な放射線治療を提供しています。
放射線診療は現在の医療になくてはならない存在です。当院には多くの専門医(放射線診断専門医、放射線治療専門医)が在籍しており、気概のある若手医師を育成しながら発展し続けています。