センター概要

センター長産科・婦人科 教授板倉 敦夫
副センター長小児科・思春期科 先任准教授東海林 宏道

周産期センターとは

出産は病気ではありません。新しい家族を迎えるとても大切なイベントです。しかし人生の中で最も病気にかかりやすいイベントでもあります。最近では生まれる前から赤ちゃんの病気を診断する技術も進歩し、持病をありながらも出産を希望される女性も増えてきました。こうした状況の中、それぞれの診療科で管理するのではなく、産科、麻酔科、小児科、小児外科、関連各科が、ご家族に最適なケアを提供するために連携して診療を行うのが、周産期センターです。

東京都の周産期医療の現状は

東京都の周産期認定施設は、総合14、地域14(令和4年1月現在)となっており、当院は地域周産期母子医療センターとして認定されており、都内で発生した母体・胎児・新生児の緊急事態に常時対応できるよう、ネットワークを形成しています。そのため、妊娠の異常だけでなく、胎児・新生児に異常が発生した場合は、かかりつけでない妊婦さんも、当院に紹介されたり緊急搬送されたりすることがあります。

周産期センターでは

母体や分娩の異常、胎児、新生児の異常に対して、産科麻酔科小児科小児外科、その他の関連各科の医師、看護スタッフ、臨床心理士認定遺伝カウンセラーが緊密な連携をとることによって、高度専門医療・救急医療を提供しています。妊娠高血圧症候群、前期破水、多胎妊娠、妊娠糖尿病、前置胎盤、さまざまな内科疾患、また早産児、胎児発育不全、そして先天性心疾患や横隔膜ヘルニアをはじめとする生まれながらの病気にも対応し、生まれる前の母体・胎児管理から出生後の新生児治療、管理が適切に繋げる体制で診療しています。分娩時の緊急事態に迅速に対応するために麻酔科医も常駐していることから、24時間体制での無痛分娩も提供しています。当院は日本周産期・新生児医学会の研修施設となっています。
 
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患者さんへのご挨拶

順天堂医院 周産期センターは、2019年10月1日にそれまでの小児科 小児外科 周産期メディカルセンターを発展的に分化させて誕生しました。周産期は妊娠から出産・新生児にいたる過程であり、そこで生じる諸問題に対して、関連各科が連携して管理するセンターです。しかし周産期は母と子の二人の命に関わる領域であり、妊婦さんからお母さんへ、胎児から新生児に移行する時期であり、出産が様々な問題が生じるイベントでもあることから、各専門家による多面的なアプローチが必要で、それぞれが互いに連携して提供することが不可欠です。

そこで、順天堂医院では産科、麻酔科、小児科、小児外科、メディカルスタッフ(看護師、助産師、臨床心理士、認定遺伝カウンセラー)をはじめ、関連各科が連携して管理するセンターを1号館11A, N, B病棟に設立しました。当センターでは、カンファレンスで情報共有を行い、統一した方針の下、安全に配慮しながら、最善の医療を提供し、治療後のご家族を支援することを目標としております。
当センターは地域周産期母子医療センターに指定されており、妊産婦管理や胎児・新生児の集中管理を24時間体制で提供しています。病気を抱えながらの妊娠、無痛分娩の希望、切迫早産などの異常妊娠、胎児・新生児期の外科疾患、新生児特有の疾患などが対象で、他院からの紹介や緊急搬送にも迅速に対応致します。さらに不安の中で妊娠を過ごし、育児を行うお母さんには、メンタルヘルスに悩む方も多く、この面に対する支援として、周産期メンタルヘルス外来や、病棟への臨床心理士の配置、退院支援など、お母さんと赤ちゃんがご家族で健やかに過ごせるような支援を行っています。さらに、地域の保健福祉部や保健所などと緊密な連携をとり、退院後もより安全に健全な子育てができるよう地域全体での取り組みを進めてまいります。
ご出産を迎える際に「母児共に健康」は、すべてのご家族の願いです。この願いをかなえるために周産期センター職員一同でご家族をサポート致します。
当院は、2019年4月より新しいNICU・GCUの運用を開始いたしました(順天堂医院1号館11N病棟・11B病棟)。以前のNICU・GCUと比べて1.5倍以上のフロア面積となり、NICUは6床から8床へと増床いたしました(GCUは20床)。NICUの各ベッドは半個室化を実現し、カンガルーケアなどを通じて入院中のお子様とご家族が心安らぐ空間を提供できるだけでなく、院内感染防止など医療安全面でも効果を上げています。

当NICU・GCUにおける診療の特徴として、早産児では栄養管理を重要視し、インタクトサバイバル(後遺症なき生存)を目指しています。先天性心疾患に対しては専門的な超音波診断、血管カテーテル検査・治療、心臓手術症例の周術期管理を行っております。小児外科では腹腔鏡や胸腔鏡を用いた内視鏡外科手術・ロボット支援手術など、最先端の低侵襲手術経験が豊富です。さらに、最新の人工呼吸器管理や気管支鏡検査を取り入れ、重症新生児仮死に対する低体温療法も行っており、耐性菌発生を抑制するための抗菌薬適正使用にも積極的に取り組んでおります。また、周産期センター所属の心理士を配置し、ご家族の心理的サポートも行っております。

私たちはあらゆる新生児疾患に対応できる数少ない施設の一つとして、地域医療に貢献するため院内外から新生児症例を積極的に受け入れる方針としております。新病棟開設を契機として、新生児診療にかかわる医師、看護師およびコメディカル間の連携を一層密にし、患者さんやご家族から信頼されるNICU・GCUとなるよう、さらに努力を続けてまいります。

スタッフ紹介

各診療科の「スタッフ紹介」ページをご覧ください。
  

センター紹介動画