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呼吸器外科
専門研修プログラム
当科は、肺がんを中心に呼吸器外科疾患の増加により重要性が増したことで、2002年7月1日に胸部外科より診療科が呼吸器外科と心臓血管外科に分かれました。2003年5月1日には呼吸器外科研究室が創設されております。創設以来、現在20名の医局員が日々臨床・研究・教育に当たっております。
大学病院、大学附属病院以外の研修関連病院として、国立がんセンター中央病院、国立がんセンター東病院に、スタッフを派遣しております。
1.卒後研修目標と実際
呼吸器外科教育プログラム
学位・専門医取得が最低限のノルマであり、最終的には指導医として活躍することが目標
必須の専門医
①外科専門医:卒後5年目に予備試験、6年目に認定試験の受験が可能
②呼吸器外科専門医:卒後8年目に受験が可能。
取得後5年で指導医(相当)への更新(審査)がある。
1. 卒後研修:専門医・指導医と学位取得を中心に
A)1~2年次(研修医)
研修カリキュラムにしたがって卒後初期臨床研修を行う。(必修)呼吸器外科希望者は呼吸器外科専門医を目標として最も早いスタートをきるために
下記学会に所属することを薦める。
・日本外科学会
・日本呼吸器外科学会
・日本胸部外科学会
・日本呼吸器内視鏡学会
・日本肺癌学会
B)3~6年次(学位・外科専門医取得期間)
呼吸器外科入局者は上記学会に所属し、原則として下記研修プログラムに従い経験を積む。基本的に 大学院に在籍し、 1)学位取得(大学院) 2)外科専門医資格獲得を目標とする。全大学的に大学院での学位取得がスタッフ(有給)の条件となってきている。大学院:4年間の年限を2年ずつに分ける。
1)外科専門医取得のための臨床中心の期間 2)学位取得のための研究中心の期間である。
① 順天堂大学附属病院を中心に一般消化器外科を主体とした研修(2年)
a) 概ね1年半は附属病院を中心とした関連病院で研修
消化器、頭頸部・体表・内分泌、外傷など
b) 半年を本郷(本院)で研修
心臓大血管・乳腺・小児外科:各1~2ヶ月、呼吸器外科2~3ヶ月
専門医申請に必要な症例を経験し、卒後5年目に専門医予備試験(筆記)、6年目に認定試験(面接)を受験し、外科専門医を取得する。(必要症例数:表1参照)
② 研究期間(2年)
本院で呼吸器外科学のテーマに沿った研究および臨床を行う。臨床では呼吸器外科専門医(卒後8年目)に必要な症例経験・手術経験(主に助手として)を積んでおく。
1ヶ月10例、年間100例の経験が目安。
C)7~8年次(呼吸器外科専門医取得期間)
大学院を卒業し学位を取得。呼吸器外科専門医取得のために術者>助手として手術経験を積む。原則として学内ではスタッフ(有給)。2年間のうち1年を院外で1年を院内で研修することを原則とする。別表(表2)の症例数をこの2年間でクリアすることを目標とし、最短で8年目に呼吸器外科専門医を取得する。学外研修で年間30~40例の術者(助手を含めて60~80例)を経験する。学内では学外で経験できない稀な手術を中心に経験する。遅くとも10年目までに呼吸器外科専門医を取得する。
D)9~11年次(一人立ちを目指して)
順天堂大学順天堂医院において、主に第1助手(術者の前立ち)として手術に参加し、胸腔鏡下肺葉切除など難易度の高い手術の術者も経験する。呼吸器外科専門医資格を得たものは、順天堂大学外科関連病院呼吸器外科のチーフとして出向する。
E)12年以降(指導医)
本院もしくは関連病院にて、気管(支)形成術、(汎)胸膜肺全摘術などより高度な手術の術者を経験し、緊急事態への対応が自信を持ってできるように日々研修を積む。各関連学会の指導医(資格:外科学会指導医:専門医取得後10年、呼吸器外科修練責任者:専門医取得後5年)を取得する。
講師以上の身分で順天堂大学各附属病院呼吸器外科を指導する。
順天堂大学医学部学生の教育指導を行う。
【表1 外科専門医申請の要約】
1)修練実績修練実施計画に則り、本会指定施設または関連施設において、以下の手術を行っていること。
最低手術件数 | 350例 |
術者として | 120例 |
消化管及び腹部内臓 | 50例 |
鏡視下手術 | 10例 |
乳腺 | 10例 |
呼吸器 | 10例 |
心臓・大血管 | 10例 |
末梢血管 | 10例 |
頭頚部・体表・内分泌外科 | 10例 |
小児外科 | 10例 |
各臓器の外傷 | 10例 |
筆頭者として、適当と認められた学術集会または学術刊行物に、研究発表または論文発表をしていること。
【表2 呼吸器外科専門医申請の要約】
1)術者として50例以上、助手として100例以上の手術経験を有すること(但し、術者としては開胸下手術30例以上、胸腔鏡下手術20例以上とする。)
A群 必須症例 | 開胸下、縦隔リンパ節郭清を伴う肺葉切除、又は肺摘除術: 10例
単純肺葉切除術、又は縦隔腫瘍摘出術、又は胸腺摘除術: 5例 自然気胸手術、又は肺嚢胞切除術: 5例 肺部分切除術・腫瘍核出術: 20例 |
B群 | 気管・気管支形成術を伴う肺切除術
骨性胸郭、横隔膜、心嚢、大血管切除を伴う手術 胸膜肺摘除術 肺区域切除術 膿胸に対する手術(開窓術・胸郭形成術を含む) 全体で5例以上 但し、2項目以上を必要とする |
C群 | その他の呼吸器外科手術 5例以上。
A群、B群、C群の助手症例を100例以上有すること |
但し、論文は査読制度のある全国誌以上とする学会発表。全国規模の学会において
筆頭で5回以上。
2. 学会・論文活動
- 学会活動:2・3年目では上記学会の地方会および研究会での症例報告を4回以上行う。
4~6年目以降では全国学会での年1回以上の発表を行い、和文での症例報告や原著を最低年2編提出。 - 7年目以降・学位取得後は各学会の総会発表を年4回以上行う。
原著(欧文・和文)、症例報告など年2編以上を提出。 - 専門医・指導医申請には業績が必要であり、指導医(修練責任者)申請には概ね10編は必要である。
3. その他
気管支鏡専門医の資格を得ることが可能。海外留学・国内留学も可能。
2.関連病院、施設
- 順天堂大学医学部および順天堂大学附属順天堂医院
臨床、教育、研究の中心の場である。 - 順天堂大学附属病院・呼吸器外科(1群)
順天堂静岡病院、江東区高齢者医療センター、順天堂練馬病院 - 順天堂大学・外科研修病院
1群:順天堂大学附属順天堂医院、順天堂静岡病院、順天堂練馬病院
2群:東部地域病院など - 順天堂大学・呼吸器外科研修関連病院
1群:順天堂東静岡病院、高齢者医療センター、
4群:国立がんセンター、国立がんセンター東病院 - 順天堂大学・呼吸器外科臨床関連病院
なし - その他の施設(国内留学・研修)
国立がんセンター病理部
3.大学院
① 1~2年次(研修医)
順天堂大学研修カリキュラムにしたがって卒後初期臨床研修を行う。(必修)② 3~6年次
大学院カリキュラムにしたがい研究し、学位を取得する。4年間の大学院カリキュラムを作成する。
入学と同時に下記学会に所属する。
- 日本呼吸器外科学会
- 日本呼吸器内視鏡学会
- 日本肺癌学会
- 日本内視鏡外科学会
- 日本外科学会
- 日本胸部外科学会
③ 7~8年次(前期研修期間)
大学院卒業後、原則として下記研修プログラムにしたがい経験を積む。身分は助手に準ずる。外科専門医資格獲得を目標とする。
- 7年次:消化器一般外科の経験を順天堂大学外科研修指定病院にて積む。
- 8年次:順天堂大学医学部附属順天堂医院において様々な手術の助手として参加し、自然気胸、良性肺腫瘍、縦隔腫瘍、鏡視下手術等、術者として20例以上の経験を積む。
上記学会の総会発表を4回以上行う。
④ 9~10年次(後期研修期間)
受診にあたっては、2年間は助手として、順天堂医院、静岡病院、呼吸器外科研修指定病院において、肺がん手術、悪性縦隔腫瘍手術等、術者として80例以上の経験を積む。各学会の総会発表を4回以上行う。
外科専門医資格を得たものは順天堂大学呼吸器外科臨床関連病院に出向し、さらに呼吸器外科術者としての経験を積む。
気管支鏡認定医の資格を得る。
⑤ 10年以降(指導医)
講師として、気管(支)形成術、(汎)胸膜肺全摘術等、より高度な手術の術者を経験し、緊急事態への対応が自信を持ってできるように日々研修を積む。各関連学会の指導医を獲得する。
講師以上の身分で研究を指導する。
順天堂大学医学部学生の教育指導を行う。
卒年/目標 | 身分 | 資格 | 手術 | その他・備考 |
10年次以降 | 講師 | 各関連学会の指導医 | 気管(支)形成 全摘等より高度な手術。緊急事態への対応 | 順天堂大学各附属病院呼吸器外科指導医 |
7~10年次 | 助手 | 呼吸器外科専門医、 学位 | 主に第1助手として手術に参加。胸骨正中拡大郭清・胸腔鏡下肺葉切除の術者経験。 | 呼吸器外科臨床関連病院出向 |
5~6年次 | 助手 | 学位申請、 気管支鏡認定医 | 肺がん手術・悪性縦隔腫瘍手術等、術者として80例以上 | 呼吸器外科研修指定病院出向、留学 |
3~4年次 | 専攻生 | 外科専門医 | 自然気胸・良性肺腫瘍・縦隔腫瘍・鏡視下手術等、術者として20例以上 | 呼吸器外科入局者は消化器一般外科指定病院にてさらに経験を積む |
1~2年次 | 研修医 (ローテーション レジデント | 各学会入会 | 開閉胸・気管切開等、胸部一般外科手術 | 原則として順天堂大学研修カリキュラムに従う |
研究課題
呼吸器外科講座としての主な研究課題
- 肺がんリンパ節転移、転移リンバ流路の解明
- 肺がんの胸腔鏡補助手術の功罪(侵襲と予後)
- 肺がん手術患者に対する周術期QOLの研究
- 肺がん手術と周術期不整脈の検討
- 術後補助化学療法の有効性についての検討
- 肺がんリンパ節転移の危険因子の研究
- 2cm以下非小組胞肺がんに対する予後因子の研究
- AAH,BACの遺伝子学的研究
- 胸腔鏡手術の手技、機器の開発
- 小児がん肺転移の手術適応と術式の検討
- 手術アプローチ別呼吸機能、VASによる疼痛比較研究
- 周術期気道分泌の変化と術後肺合併症の研究
- 周術期肺気漏閉鎖の分子生物学的研究
- 気管支鏡による術後気管支虚血の研究
- 間質性肺炎のリスク因子の研究
- 胸腺腫WHO分類の臨床的有用性の研究
- 胸腺および胸腺腫(胸腺がん)の免疫組織学的研究
- 悪性胸膜中皮腫と反応性中皮細胞の免疫組織形態学的診断
- Pleomorphic carcinomaの分子生物学的研究
- リンパ増殖性肺疾患の研究
- Paraneoplasmatic diseaseの研究
- 気胸の病態と治療
現在の研究課題一覧
- 肺がんのリンパ節転移の実態と予後
- 肺がんにおけるリンパ節郭清の意義
- 小型肺腺がんの予後と予後因子
- 悪性胸膜中皮腫の診断と治療
- 肺がん術後アジュバンド治療の有効性の検討
- 難治性気胸の病態と治療
- 肺がんにおける予後因子としての腫瘍マーカーの役割
- 術後不整脈の検討
- 肺がんと間質性肺炎の検討