好酸球性副鼻腔炎の概要
好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中にポリープ(鼻茸)が多発する慢性副鼻腔炎です。一般的な
慢性副鼻腔炎とは異なり、ポリープや鼻粘膜に好酸球が浸潤していることが多く、ステロイドが効きやすいという特徴があります。風邪を引いたり、細菌感染を起こしたりするたびにポリープが徐々に大きくなります。治療しても再発しやすく難治性であり、国の指定難病に分類されています。
アレルギー性鼻炎や喘息、好酸球性中耳炎を合併することがあり、ロキソニン® などのNSAIDs系の鎮痛解熱剤に対して過敏性を示すこともあります。
好酸球性副鼻腔炎の症状
主に
嗅覚の低下や
鼻詰まりが特徴的な症状とされています。
その他、
鼻水(粘稠、ニカワ状、膿性、粘液性など)、
後鼻漏(鼻水がのどへ落ちること)、
頭痛や
頭重感、
頰の痛み、
咳(喘息の合併)、
難聴(好酸球性中耳炎の合併)など、呈する症状は様々です。
好酸球性副鼻腔炎の検査
- 鼻腔内視鏡検査:ファイバースコープと呼ばれる細長いカメラを使用し、鼻汁の性状や鼻茸の存在の有無を確認します。
- 血液検査:アレルギー項目の確認や血液像の好酸球率の評価をします。
- 鼻腔通気度検査:鼻詰まりの程度を評価します。
- 基準嗅覚検査:実際に5種類の匂いを嗅いで、嗅覚を評価します。
- 静脈性嗅覚検査:腕の血管内に薬液を注射して、嗅覚を評価します。
- 副鼻腔CT・MRI:病変の広がりを評価し、副鼻腔炎の程度を評価します。
- 生検:病理検査のために鼻茸を一部切除し、好酸球浸潤の程度を確認します。
その他血液検査、アレルギー検査などを行います。
好酸球性副鼻腔炎の治療
膿性の鼻水が出ている場合には、
抗菌薬を内服します。軽~中等症例では
抗アレルギー薬、
点鼻ステロイド噴霧薬、
ステロイドの全身投与で治療します。重症例や難治症例、再発症例に対しては手術を行います。再発しやすい病気のため、手術後は風邪の予防や内服加療、鼻洗浄を継続していくことが重要となります。また近年生物学的製剤が次々と開発されており、当院では再手術が困難な患者様に対してデュピクセントによる治療も行っております。