滲出性中耳炎の概要

滲出性中耳炎とは、鼓室(鼓膜の奥に存在する小さなスペース)に液体が溜まる病態で、耳と鼻をつなぐ耳管が正常に機能しなくなることで起こります。耳管の働きが悪くなる原因には、アデノイドや口蓋扁桃(扁桃腺)が大きい場合、風邪・副鼻腔炎アレルギー性鼻炎などで鼻症状がひどい場合、加齢によって耳管の働きが衰える場合などが挙げられます。耳管の働きが悪くなると中耳の圧力が低くなり粘膜から液体がしみだし、鼓室に溜まることで滲出性中耳炎が引き起こされます。また鼻の奥にある上咽頭に発生した腫瘍が耳管の入り口を塞いでしまうことがあり、滲出性中耳炎の原因となる場合があるので長期に滲出性中耳炎が治らない場合には注意が必要です。

滲出性中耳炎の症状

鼓室内に溜まった貯留液により、難聴・耳閉感(耳のつまった感じ)・耳鳴り・自声強聴(自分の声が耳に響く)などの症状が起こります。滲出性中耳炎を放置すると鼓膜や耳小骨(音を伝える骨)が癒着し聴力の悪化を引き起こすことがあり、さらにコレステリン肉芽腫、中耳真珠腫などといった耳の病気に移行する可能性があります。

滲出性中耳炎の検査

顕微鏡で鼓膜の状態を確認します。その後聴力検査およびティンパノメトリー検査を行います。ティンパノメトリー検査は鼓膜に圧を加えて鼓膜の動きを調べる検査です。 鼓膜の奥に膿や貯留液があると鼓膜が動きづらいので、診断に役立ちます。 また、必要に応じて側頭骨CT検査により鼓室の状態を確認します。 また前述したとおり、上咽頭の腫瘍が滲出性中耳炎の原因となっている可能性があるため、ファイバースコープで上咽頭に腫瘍が無いかどうかを確認します。

滲出性中耳炎の治療

鼻症状が滲出性中耳炎の原因となっていることが多いため、抗菌薬消炎剤を内服して、耳や鼻の粘膜の働きを正常化して滲出液が溜まらないように治療します。このような治療をしても改善しない場合は、局所麻酔下に鼓膜切開を行います。鼓膜切開後の穴は通常数日で塞がる場合が多いです。鼓膜切開をしても滲出性中耳炎を繰り返す場合は、鼓膜チューブの挿入を行うことで、滲出液の貯留を防止します。
滲出性中耳炎01
滲出性中耳炎02