心臓血管麻酔

当院の心臓血管麻酔の特色

当院麻酔科の心臓血管麻酔の魅力は、何と言っても症例数が豊富で、対象疾患も幅広く、超低出生体重児から超高齢者の心臓血管手術の麻酔管理を経験できる事です。2022年度は成人心臓血管外科788例、小児心臓外科140例(心臓血管外科ホームページ参照)の全身麻酔から局所麻酔+鎮静の麻酔管理を行いました。また、別に循環器内科主導のカテーテルインターベンションの麻酔管理も行っています。
冠動脈疾患は基本的にオフポンプで冠動脈バイパス術を行うため、術中は安定した循環管理を心掛けて麻酔管理を行っています。また、弁膜症や成人の心房中隔欠損症などは正中切開の開心術から、低侵襲心臓手術MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery)、ロボット支援下心臓手術に移行してきており、麻酔管理としては分離肺換気に加え、経食道心エコーでの送脱血管留置用ガイドワイヤーの確認や、脱血管の位置が適切かなどを確認するため、経食道心エコーによる正確な画像の描出を求められます。麻酔科医も安全に人工心肺を確立するために重要な役割を果たしています。
他に胸部大動脈瘤、心臓腫瘍、収縮性心膜炎、先天性心疾患などの開心術をはじめ、開腹腹部大動脈置換術、ステントグラフト術、経皮的僧帽弁クリップ術、TAVI(transcutaneous aortic valve implantation)、心筋シート採取、心筋シート植込み術や局麻鎮静のTAVIなどの麻酔管理を行っています。また小児心臓麻酔も、新生児の緊急手術に加え、単純心奇形だけでなく、複雑心奇形の重症例も数多く担当しています。
そのため、当科の若い先生が気付いたら他施設の同世代の先生と比較して、はるかに豊富な麻酔管理を経験していたという事がよくあります。専門医試験や、心臓血管麻酔専門医を受ける際に、症例数が足りないなどという事はまずありません。また、心臓血管麻酔の経験を通して、重症心不全や低心機能症例の非心臓手術の麻酔管理を行える麻酔科医が育成されています。

指導教育体制

当科では心臓血管麻酔専門医が6名、日本周術期経食道心エコー認定試験(JB-POT)合格者が11名、そのほかに米国周術期経食道心エコー認定試験合格者2名、ヨーロッパ周術期経食道心エコー認定試験合格者1名がおり、心臓血管麻酔の指導者や、周術期経食道心エコー認定医が多数在籍しております(2023年9月現在)。
やる気のある若い医局員が多いため、積極的に経食道心エコーの勉強をして、JB-POTや、その先の心臓血管麻酔専門医試験も受験しているので、さらにスペシャリストが増えると予想されます。
また、順天堂大学病院の人工心肺技師さんはとても気さくで優秀ですし、手術室看護師さんも積極的に協力してくれるので、安心してコミュニケーションをとりながら麻酔管理をすることができます。心臓血管外科も新しく就任した田端主任教授は、チーム医療を重視されており、麻酔科もその一助になっていると自負しております。
最後に、当科では子育て中のママさんでも心外の麻酔を担当しています!時間制限を理由に、心臓血管麻酔を外される事はありません。開心術の症例も手術成績が安定しているため、多くは17:00前に終わる事が多いので、「心臓血管麻酔専門医を取りたい」、「もっと心臓血管麻酔や経食道心エコーを勉強したい」、「単純に心臓血管麻酔が好き」という希望があれば、時間制限があっても心臓血管麻酔を担当する事は可能です。入局を考えている先生は是非当科医局にご連絡下さい。