末梢神経ブロック
当科では積極的に末梢神経ブロックを行っています!
近年、超音波診断装置の画質向上や、ロボット支援下手術などの低侵襲手術の増加によって、末梢レベルの知覚神経をターゲットとする末梢神経ブロックが周術期鎮痛の強力な武器となりました。ヨーロッパのワーキンググループがまとめた、術式別に推奨される周術期疼痛管理法に関する提言である「Prospect (procedure specific postoperative pain management)」を参照すると、例えば、膝関節や股関節手術においては、末梢神経ブロックを疼痛管理に組み込むことが推奨されています。このように、多くの臨床研究の蓄積により、術後合併症や副作用の少なく、同時に良好な鎮痛効果を示す末梢神経ブロックが、周術期管理において有用であることが明らかになってきました。もちろん、開胸・開腹手術など高侵襲手術に対しては、従来から用いられる硬膜外麻酔が有用です。そのため、当科では最新のエビデンスに基づいて、必要な鎮痛法を必要な患者様に提供できるよう、科内で検討し、臨床現場で教育・指導を行っています。
末梢神経ブロック施行症例のバリエーションが豊富!
当院は、国内最高峰の手術件数を誇ります。その多くの診療科手術に末梢神経ブロックを併用する麻酔管理を取り入れています。当科には、末梢神経ブロックの教育や指導、実践に関して、他院にはない強みがあります。まず、年間 700件あまりの呼吸器外科手術、特に胸腔鏡手術やロボット手術で、胸部麻酔のスペシャリストかつ臨床麻酔学会認定ハンズオンインストラクターでもある川越主任教授から胸部の末梢神経ブロックを教わることができます。また、小児の胸腹部外科手術が豊富にあるため、技術的に難しく、他院ではあまり経験出来ない小児症例の体幹の末梢神経ブロックを学ぶ機会も多くあります。さらに、末梢神経ブロックのハンズオンインストラクター経験のある指導医から、下肢手術の末梢ブロックや、最新の知見に関しても一通り学ぶことが出来ます。当科での研修を行えば、麻酔科専門医に必要とされる末梢神経ブロックは、全て経験することが出来ます。
末梢神経ブロック関連の臨床研究・臨床留学・基礎研究も可能です!
当科からは、関西医科大学麻酔科へ末梢神経ブロックを学ぶために臨床留学をした医局員もおり、当講座への知識・技術の還元を図っています。また、現在、神経ブロックに関する、以下の前向き臨床研究を行っています。「大腿三角ブロックと併用した膝窩神経叢ブロックあるいはiPACKブロックの、人工膝関節全置換術の術後鎮痛効果に関する単施設ランダム化二重盲検非劣性試験」
解剖学・生体構造科学講座との交流も盛んで、御献体を用いて解剖学的な理解を深めたり、臨床上の疑問に対して、基礎研究を行うことも可能です。さらに、毎年タイで開催されるヨーロッパ区域麻酔学会(ESRA)認定カダバーワークショプには、当講座から2年連続で参加しており、国内外問わず、神経ブロック分野で医局員が活躍しております。
今後ますます盛んになる末梢神経ブロックを是非当院で共に学んでいきましょう。