Fellowship卒業生へのインタビュー

中村 千晶


2018年 日本医科大学医学部卒業
2025年 順天堂 小児眼科・斜視Fellowship Program
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1. 参加の動機と目標



小児眼科・斜視Fellowship Programへの参加を決められた動機は何だったのですか?
研修前にはどのような課題を持ち、どのような力を伸ばしたいと考えていましたか。
所属施設では斜視・弱視外来を担当しており、患者さんから希望があった場合には斜視手術も行っていました。
しかし、術式の選択や手術量の決定について十分な経験がなく、手術を積極的に勧めることに自信が持てないことが課題でした。
そこで、1年間エキスパートの先生のもとで研修を受け、斜視手術に対する知識や技術を身につけ、より自信を持って手術を提案できるようになりたいと考え、Fellowshipへの参加を決めました。
また、手術件数が多く小児症例も多い施設で研修することで、自施設では経験する機会の少ないさまざまな症例に触れられることにも魅力を感じました。
1年間を通して幅広い症例を経験し、斜視・小児眼科診療における臨床的な判断力を身につけることを目標としていました。

2. 1週間の研修スケジュール



実際の1週間はどのような流れで研修されていましたか
外来診療はほぼ毎日あり、難しいと感じていた乳幼児の診察にも、数多く経験する中で次第に慣れていくことができました。
火・水・土曜日は自分で予診を取ったうえで根岸先生の診療に陪席し、自分の診察に何が足りなかったのか、治療方針についてフィードバックをいただきました。
月・木曜日は自分で初診患者を担当し、不安な症例については上級医に相談しながら、主体性を持って診療に取り組みました。
手術日は火・金曜日で、週4件前後の斜視手術を経験しました。術前計画、助手、段階に応じた執刀、術後評価まで一連の流れを経験することができました。
大学病院の手術枠の制限上、件数が多くなりすぎないことで、1件1件を丁寧に振り返りながら学ぶことができたと感じています。
午後は比較的時間に余裕があることも多く、カンファレンスでの症例検討や、手術動画を見ながらの振り返りなどを行いました。
外勤についても小児眼科・斜視診療の研鑽を積める勤務先を選んでいただき、充実した環境で学ぶことができました。
私は2歳の子どもの保育園送迎をしながらの研修でしたが、勤務時間についても配慮していただき、家庭との両立をしながら研修を継続することができました。

3. 経験した症例



1年間でどのような患者さんを、どの程度経験されましたか。特に記憶に残った患者さんがいたら教えて下さい。
外来は週4~5日担当し、生後間もない乳児から高齢者まで、幅広い年齢層の患者さんを診療しました。
斜視については、外斜視、内斜視、上下斜視に加え、自施設では診療する機会が少なかった乳児内斜視や麻痺性斜視も多く経験しました。また、過去に複数回の斜視手術を受けている難症例など、専門施設ならではの複雑な症例にも接することができました。小児眼科についても、他施設でなかなか視力が発達せず紹介となった症例や、眼振、白内障、前眼部形成異常など、さまざまな先天性疾患を学ぶ機会がありました。
特に印象に残っているのは、初診時に第一次硝子体過形成遺残が見つかった乳児の症例です。ショックを受けているご家族に対して、どのように説明し、接して寄り添うのかを学ぶことができました。疾患を診断して治療するだけでなく、ご家族の不安や思いに配慮しながら診療することの重要性を実感し、今後小児眼科診療に携わるうえで貴重な学びとなりました。

4. 斜視手術の経験量と成長



研修期間中に手術はどれくらい経験されましたか。
最初は助手に入らせていただき、研修開始約1か月後にまずは水平筋の後転法、慣れてくるにつれて、前転法や斜筋手術なども執刀の機会をいただくようになりました。
執刀完了件数は6か月時点で30件、1年間で61件となり、初期からコンスタントに手術経験を積み重ねることができました。
手技については、術中に上級医から具体的なアドバイスをいただき、その後助手に入る際には、自分がつまずいた点に注目して手技を観察し、次の手術で実践するということを繰り返しました。

その積み重ねによって、少しずつ自分の技術として身につけることができました。
術前の手術計画については、当初は考え方を理解することに精一杯でしたが、さまざまな症例を経験し、術後の結果を振り返る中で、最終的には自分でも症例に適した術式や手術量を考えながら取り組めるようになりました。

5. 研修で得た学び



指導医とのカンファレンスや日常的なフィードバック、学会発表・論文作成などを通じて、診療や手術への向き合い方はどのように変わりましたか。
また、どのような点で自分が成長したと感じられましたか。
今回、初めて斜視・小児眼科の専門チームに所属しました。専門性の高い分野ですが、若い先生方も積極的に診療や学会発表に取り組んでおり、とても刺激を受けました。
また、研修前には苦手意識のあった上下斜視や回旋斜視についても、さまざまな症例を経験することで、抵抗なく診察し、治療方針を考えられるようになりました。
さらに、所属施設に戻ってからも困ったときに相談できるネットワークを得られたことも、大きな収穫であり、今後の診療において大きな支えになると感じています。

6. 修了後の実務と次のフェローへ



研修で得た経験を、修了後に現在の所属施設や地域でどのように生かしていきたいですか。
また、このプログラムを検討している眼科専門医に向けて、研修前に準備しておくとよいことや、1年間で得られるものをメッセージとしてお願いします。
研修で得た経験を生かし、今後は所属施設で斜視・小児眼科の診療をさらに充実させて活発な専門外来にしていきたいと考えています。
また、研修を通して学んだ、術前後における紹介元のクリニックとの連携方法も、今後の診療に生かしていきたいです。
これからFellowshipへの参加を考えている先生は、研修が始まると早い段階から予診を担当することになるため、APCTなどの基本的な斜視検査はできるようにしておくと、スムーズに研修を始められると思います。

普段は一般眼科診療を中心に担当している先生も多いと思いますが、専門分野に1年間集中して取り組めたのはとても有意義な経験だったと感じているので、斜視・小児眼科に興味のある先生方にはぜひ検討していただければと思います。
項目 掲載例
研修期間 2025年3月〜2026年2月
小児眼科・斜視外来 4-5日/週、延べ120件
斜視手術執刀完了 61件
主な経験術式 内直筋・外直筋手術、斜筋手術、上下直筋手術など
学会発表 国内1演題
論文・投稿 症例報告1編