診療録管理室の紹介
当院の診療録管理室は、院内の中央部門として医療情報センターに属しています。
医療情報センターには、診療録管理室、医療情報管理室が組織され、患者さんに安心・安全・質の高い医療を提供するために必要な診療環境の整備と改善活動の支援をしています。
診療録管理室は、患者さんに行った医療行為(各種検査、処置、処方、手術など)やケアなどの全ての診療経過、および今後の治療方針を記録した「診療録(カルテ)」が
適正に記載され、それらを
適切に運用・管理、有効活用するための様々な活動をしています。
診療録管理室の体制
室長(医師、教授)1名、診療情報を扱う専門職として日本診療情報管理学会で認定された診療情報管理士7名を含む全13名が配属されています。
主な業務内容
① カルテ監査
カルテの記載については、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」をはじめとする各種法令で定められており、当院ではそれらに準拠した診療録記載に関する指針や院内ルールを策定しています。
特に以下の4点はカルテ記載において重要なポイントとなります。
- 必要な事項、文書が全て揃っていること。(網羅性)
- 記載されている事項、文書のつじつまが合っていること。(整合性)
- 正確で誰が見ても分かりやすく記載されていること。(適切性)
- 遅滞なく記載され、最新の情報であること。(適時性)
診療情報管理士は、実際のカルテを閲覧し、指針、ルールが遵守されていること、そして前述の4点にそってカルテか記載されていることをチェックしています。そして、監査した結果を分析し、レポートにまとめて改善指導や記載方法の周知につなげています。
② カルテ記載に関する教育(e-Learning)
当院の医療従事者向けに、e-Learningを使用してカルテ記載内容の充実(質の改善)を目的とした教育をしています。(
過去実施した講座はこちら)
e-Learningとは「インターネット環境があれば、いつでも、どこでも受講可能」、「テーマごとに受講対象者を指定し、一斉公開が可能」、「受講管理による受講漏れの防止」という特徴があり、大人数を対象とした教育において非常に有効なツールです。
③ ICDコーディング
診療録に記載されている情報をもとに、その患者さんの病名に対応する「
国際標準の疾病分類コード(ICD-10)」を付番しています。
各国が自分の国の言語で病名を表記するのとは別に、ICDのルールにそって病名をアルファベットと数字を用いてコード化することで、他国の言語が分からなくても、ICDコード(病名)による国際的な疾病統計、死亡統計の比較や学術研究等々に活用することができます。
ICDとは正式名称を「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(
International Statistical
Classification of
Diseases and Related Health Problems)」と言います。WHO(世界保健機関)の勧告により、国際統一基準で定めた疾病、死因分類のことであり、最新版は1990年にWHO総会で承認された「ICD-10」になります。
④ がん登録
地域がん診療連携拠点病院である当院では、「
がん登録等の推進に関する法律」に基づき、がん患者の治療に関する詳細な情報を指定された院内がん登録データベースに記録し、保存しています。
各施設で登録したデータは、国立がん研究センターに集められ、国が一元管理し、がん患者数や罹患率、生存率、治療効果のなどの実態把握および今後の対策を推進するための基礎データとして活用されます。
(詳細は「
院内がん登録とは」を参照)
当室の院内がん登録実務者 中級認定者 5名、初級認定者2名
⑤ カルテ開示
患者さん(またはその家族など)からの申請に応じて、診療記録の開示をしています。申請方法や
開示手数料などの詳細については、医事課文書係へお問い合わせください。
(
『診療記録等の提供に関するご案内』はこちら)
⑥ 紙カルテのスキャン
患者さん(またはその家族など)が署名した同意書や、医療従事者が説明のために手書きした書類等の診療に関わる紙文書は、電子カルテにスキャン取込みし、電子ファイルで保存しています。
当院では2018年6月25日以降、スキャン文書に「電子署名」と「タイムスタンプ」を付与し、スキャン後に改ざんされていないことを担保しています。2005年4月に施行されたe-文書法により、電子署名を付与した文書は記名・押印がなされた文書と同等とみなされるため、「診療録の原本」として取り扱っています。
e-文書法とは「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つで構成され、民間事業者等に対して法令で課せられている書面(紙)による保存等に代わり、電磁的記録による保存等を行うことを容認する法律です。但し、電子化にあたり以下4つの基本要件があります。
- 見読性:電子化したデータが画面上や出力した際に読めること。
- 完全性:電子化したデータが改ざんや消去されないこと。あるいはその事実を確認できること。
- 機密性:電子化したデータへのアクセスが利用者権限等により制限されていること。
- 検索性:電子化したデータが必要な時にすぐに検索できること。
⑦ 各種統計処理
当院は大学附属病院であるため、「公的機関への協力」、「学術研究」、「教育」といった役割も担っています。このため、電子カルテに保存されている診療記録をもとに、各種統計データを作成しています。但し、データ提供する際には、個人が特定されないように個人情報は削除もしくは解読できない形に加工しています。