リウマチ診(RA診)の紹介
関節リウマチは関節の袋を裏打ちしている滑膜に炎症が起こり、関節の痛みや腫脹、それ続き関節破壊を起こす疾患です。原因は完全解明はなされていませんが、自身の免疫に異常が生じる自己免疫疾患の一つであり、最近はこれまでの研究成果により新しい薬物療法が可能となっています。関節リウマチの治療には薬物療法、装具療法、運動療法、手術療法が行われます。
当院整形外科のリウマチ外来では、膠原病・リウマチ内科と協力し、関節リウマチの患者さんの治療にあたっています。整形外科のリウマチ診を受診する患者さんの内、当院膠原病・リウマチ内科でも加療している患者さんが7割、他医院等の膠原病内科医師でも加療している患者さんが1割、当院整形外科ですべての加療を行っている患者さんが2割となっています。関節リウマチは関節の痛みが主訴であるため、一番はじめに受診する診療科は整形外科であることが多く、早期診断、早期加療をめざし、関節破壊をなるべく起こさないように関節リウマチを治療することを目標としています。また、整形外科として関節機能の維持や改善を目的とした装具・運動・手術療法を合わせ、総合的に治療を行っています。
手術療法
生物学的製剤等、新しい薬物療法が開発されて関節破壊が予防され、関節リウマチに対する手術は減少傾向にあります。
しかし、薬の効かない患者さんや薬で関節リウマチが改善しても一度障害を受けた関節が年齢とともに変形性関節症になるため、手術療法が必要となることがあります。
整形外科では手術のタイミングを計り、関節リウマチの改善のみではなく、生活機能の維持・改善を目指した手術を行っています。
罹患早期に関節破壊を防止するための滑膜切除術が有効であり、可能な限り関節鏡を用いた滑膜切除を行っています。
関節破壊した関節には、関節毎に関節形成術(図1 足部)や固定術(図2 足関節)、人工関節置換術の中から適切な手術を選択して行っています。
当院における人工膝関節、人工股関節、人工肘関節(図3)の術後成績は良好です。
手の変形や腱断裂、脊椎の脱臼や変形に関しては、当院整形外科手外科グループ、脊椎外科グループが手術を行っています。
入院・手術施行時は膠原病・リウマチ内科やリハビリテーション科と連携し、総合的な診療を行っており、入院期間は3週間程度です。
膠原病・リウマチ内科との情報交換や連携も密に取っており、年2回の順天堂リウマチカンファレンスにて学術的にも交流する機会を得ています。また、膠原病・リウマチ内科主催の患者さん向け公開講座(順天堂リウマチ・膠原病研究会)にて外科的立場として参加し、関節リウマチに関する手術に関して講演を行っています。
手術件数
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2012年 |
2013年 |
人工膝関節全置換術 |
8 |
10 |
人工股関節全置換術 |
6 |
2 |
人工肘関節全置換術 |
0 |
3 |
足関節固定術 |
0 |
3 |
手指伸筋腱腱移植術 |
4 |
2 |
頸椎固定術 |
4 |
0 |
足趾関節形成術 |
3 |
3 |
足部関節形成術
手術前の写真
手術後の写真
足関節固定術
手術前のレントゲン
手術後のレントゲン
人工肘関節置換術
手術前のレントゲン
手術後のレントゲン
スタッフ紹介