側彎症診の紹介

外来診療:毎週木曜日 午後
側弯症外来では、思春期に背骨が曲がる特発性側弯症から、大人になって背骨が曲がっていく成人脊柱変形まで、すべての年齢層の脊柱変形(背骨が曲がる病気)を対象としています。順天堂大学側弯症外来は、ほぼ半世紀にわたる歴史があり、現在までに登録患者数は6000人を超えました。

脊柱変形を矯正する手術は、高い技術と経験が要求される難易度の高いものですが、手術数は増加の一途をたどっています。当外来は豊富な経験と実績をもとに、患者さんにとって最良の治療の提供をお約束いたします。

側彎症(そくわんしょう)

脊柱側弯症は背骨が徐々に曲がっていく疾患です。そのうちのほとんどが原因のはっきりしない特発性側弯症です。特発性側弯症は女児に多く、10歳くらいから曲がり始め、検診で発見される場合がほとんどです。角度が25°未満の側弯症は定期的にレントゲン写真で曲がりが進行していないかを判断します。成長期がまだ残っていて、角度が25°以上となった場合は装具で側弯の進行を抑える治療を行っています。手術をできるだけ避けるというのが私たちの基本的な治療方針ですが、装具治療を行っても側弯が進行する場合、具体的には、角度が45°以上の場合は手術の必要性です。角度が50°を超える場合は、成長期が終了しても平均して1年に1°進行すると言われていますので、成長期が終了しても経過観察が必要です。
 
手術法ですが、私たちは後方(背中側)からの矯正術を主に行っています。背骨にスクリューを入れ、ロッド(まっすぐな棒状の金属)に連結することで背骨を矯正します。
安全に手術を行うため、ナビゲーションシステム、脊髄モニタリング(頭を電気刺激して手足で波形を記録して脊髄に異常がないかを調べる方法)を使用しています。側弯症の患者さんは背骨自体の形が変形していることが多いですが、ナビゲーションを用いることによって安全にスクリューを入れることができます。また、脊髄モニタリングシステムを用いることによって術後に麻痺が起こるような無理な矯正がかからないようにしています。また、自己血輸血(手術までの間に自分の血液を貯めること)をすることによって、手術の時に献血の輸血を用いずに手術を行うようにしています。入院期間は2-3週間程度です。
 
変形の大きい症例に対しては前方(胸側)からの解離(背骨を柔らかくする手技)をまず行ってから後方の矯正を行ったり、骨切り(背骨の一部を切りだす手技)を合わせて行うなど、どのようなタイプの側弯変形にも対応できるようにしています。

また、乳幼児側弯症(10歳未満の側弯症)に対してはGrowing Rodという手術を行っています。半年から1年ごとにロッドを延長する手術が必要ですが、固定していない部分の背骨の成長を残すことができます。

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