当診療科が診療対象としている疾患は、下記のように多岐にわたっています。


診療疾患の詳しくは (社)呼吸器学会「呼吸器の病気」のページをご覧ください。

医療従事者向けの説明

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胸部異常陰影
胸部異常陰影の診断確定には、多くの場合に肺組織の生検が必要となります。肺生検には、「経気管支」と「経皮」の2通りのアプローチがあります。
 
当科では年間500例前後の気管支鏡検査を行っています。若く全身状態が良好な患者さんに関しては、外来で気管支鏡検査を施行します。入院が必要な場合にも、速やかに短期の検査入院で対応します。診断率の向上を目指して、超音波気管支鏡(endobronchial ultrasonography: EBUS)を含む、さまざまな新しい機材を導入しています。肺野の末梢病変に関しては、EBUS-GSを用いて診断を行います①。サイズの小さい陰影に対しては、仮想ナビゲーションシステムを使用し②、肺門部・縦隔のリンパ節腫大についてはEBUS-TBNAを用いて生検を行います③。また、気管支上皮の中枢型早期肺がんを同定する自家蛍光気管支鏡も導入しています④。原因不明の胸水診断については、局所麻酔下胸腔鏡を用いた胸膜生検も行います。2020年度からは、凍結肺生検(クライオ肺生検)を導入し、2022年5月現在で100例を超える検査を行っています。間質性肺疾患においては、これまで鉗子生検では難しかった大きなサイズの検体を採取することによって、正確な診断と適切な治療の導入が可能となりました。悪性腫瘍においても、クライオ生検によって各種遺伝子検査の施行に十分な量の検体採取が可能となっています。検査は日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医の下で行われ、全例で鎮静・鎮痛剤を使用しています。迅速かつ正確で、加えて患者さんの負担の少ない検査を心掛けています。

胸部異常陰影
また、気管支鏡では到達が困難な胸膜直下の病変に対しては、超音波を用いた経皮的肺生検を施行しています。当院では、30年以上前から胸部超音波を用いた肺内病変の生検を積極的に行っており、本邦随一の検査数を誇っています。高い技術を有する専門医師が検査を行います。その他、必要に応じてCTガイド下経皮肺生検も施行が可能です。
肺がん

当グループの肺がん・胸部悪性腫瘍診療の特徴

1.充実した診断モダリティ

画像上悪性腫瘍が疑われる患者さんには、PET/CTなどの画像検査の他、週4日実施している気管支鏡下生検や、当院独自の技術である胸部超音波下肺生検、放射線科と連携して実施しているCTガイド下生検などから、患者さんに最も適切と判断し得る手法を用い、迅速かつ確実な診断を目指しています。疑い症例でも当院で精査をいたしますので、是非ご紹介ください。

2.豊富な臨床経験

2021年度は、肺がん入院患者647人、外来化学療法室の年間利用件数2,236人と数多くの症例を経験しています。エビデンスだけでは判断が難しい症例につきましても、経験を基づく最良の治療を提供いたします。

3.最新の治療

ガイドラインに則った標準治療だけではなく、本邦未承認薬の治験や、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)、WJOG(西日本がん研究機構)、NEJ(北東日本研究機構)などの臨床研究グループに参加しており、最新の治療を患者さんに届けられるよう努めています(表1)。

4.大学病院という特性

がんセンターとは異なり、大学病院では呼吸器以外の診療科も充実しているため、様々な合併症を抱えた患者さんにつきましても、疾患に応じて関係各科と連携した対応が可能です。

5.各科連携

科内カンファレンスの他、呼吸器外科、放射線科と連携し定期的なカンファレンスを行い、患者さんの治療方針を検討しています。また、近年肺がん領域で広く用いられるようになった免疫チェックポイント阻害薬において、多彩な免疫関連有害事象が問題となっていますが、当院では腫瘍内科や消化器内科、皮膚科、糖尿病・内分泌内科等と連携した有害事象対策チームを結成しており、臓器横断的な副作用管理が可能となっています。

当グループで対応可能な疾患

  1. 原発性肺がんの精査・加療
  2. 悪性胸膜中皮腫の精査・加療
  3. 胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫・胸腺がん)の精査・加療
  4. 胸部神経内分泌腫瘍の精査・加療
  5. 各種縦隔腫瘍(縦隔原発胚細胞性腫瘍等)の精査・加療
他、幅広く胸部悪性腫瘍に対応しています。疑い症例でも、当科にて精査いたしますので、是非ご紹介ください。
 
手術や放射線治療が適応と判断された場合には、当院の呼吸器外科、放射線科と連携し実施いたします。
肺がんを含め悪性腫瘍におきましては、がんの持つ遺伝子のタイプやPD-L1染色を行った上で治療選択を行っています。複数の遺伝子を同時に検査できる遺伝子パネルも積極的に用いております。下記の臨床研究も含め、常に最新の治療を提供できるように努めております。
 
表1.現在当科で実施中の治験・臨床試験の一例

対象疾患 phase 試験治療
治験 PD-L1陽性非小細胞肺がん 3 抗PD-1抗体+抗TIGIT抗体
治験 PD-L1高発現の非小細胞肺がん 3 抗PD-1抗体+抗TROP2抗体
治験 EGFRエクソン20遺伝子変異非小細胞肺がん 3 抗EGFR/Met抗体+抗がん剤
治験 進行非小細胞肺がん 3 第3世代EGFR-TKI
治験 局所進行非小細胞肺がん 3 化学放射線療法+抗PD-1抗体+PARP阻害剤
治験 局所進行小細胞肺がん 3 化学放射線療法+抗PD-1抗体+PARP阻害剤
治験 進行小細胞肺がん 3 プラチナ併用化学療法+抗PD-1抗体+抗VEGF抗体
治験 既治療のc-MET陽性非小細胞肺がん 3 抗c-MET抗体
治験 RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん 3 RET阻害剤
治験 KRAS G12C陽性非小細胞肺がん 2 抗がん剤+KRAS阻害剤
治験 進行・再発胸腺癌 2 抗がん剤+抗PD-L1抗体
治験 抗PD-(L)1抗体+抗がん剤で病勢進行後の非小細胞肺がん 1 抗がん剤+抗VEGF抗体+抗PD-1抗体+EP4拮抗剤
臨床試験 Oligometastasisの非小細胞肺がん 2 プラチナ併用化学療法+局所療法
臨床試験 進行非小細胞肺がん(ドライバー変異なし) 3 抗がん剤+抗PD-1抗体、または、抗がん剤+抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体
臨床試験 EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん 3 第3世代EGFR-TKI、または、第2世代EGFR-TKI+抗VEGF抗体
臨床試験 EGFR uncommon 変異を有する進行非小細胞肺がん 3 プラチナ併用化学療法 または 第2世代EGFR-TKI
臨床試験 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん 2 第3世代ALK-TKI、または第3世代ALK-TKI+プラチナ併用化学療法
臨床試験 PS不良進展型小細胞肺がん 2 プラチナ併用化学療法+抗PD-L1抗体
慢性閉塞性肺疾患 COPD

COPDは病診連携のモデル疾患と考えています

COPDは緩徐に症状が出現し、時に増悪を起こしながら進行していく慢性疾患です1)。2016年のWHOの調査でCOPDは死因の第3位であり、本邦でも男性の死因の第10位(2020年)に位置しています。本疾患の予防と治療は世界的に重要な公衆衛生上の課題といえます。本邦におけるCOPD疫学研究としては福地らによるNICE study(2004年)がその端緒ですが、同研究の中で日本人のCOPD有病率は8.6%と推定されました。40歳以上の約530万人、70歳以上の約210万人が罹患していると考えられましたが、実際に医療機関で治療を受けている患者はごく僅かにとどまっている実態が明らかとなりました2)。

その原因として、一般市民のCOPDに対する認知度の低さはもとより、医療者側でもCOPDは治療できない病気であるという認識があった可能性があります。その後、吸入剤を中心とした新規のCOPD治療薬が続々と上市され、適切に治療されることで患者の症状、QOLおよび予後の改善が期待できることはご承知のことと思います。こうした背景を受けてわが国では、2012年に「健康日本21(第二次)」の目標としてCOPDの認知度向上(平成34年度までに認知度80%にする)が掲げられ、国を挙げてのCOPD啓発運動が展開されています。COPD患者の9割は非専門医を受診しているともいわれています。

プライマリケアの先生方においては、コロナ禍で日々の診療に大変苦心されている中ではございますが、引き続き潜在的なCOPD患者の積極的な拾い上げをしていただければと思っております。その上で、専門医との連携を強化することで、より適切な治療および管理方針を構築し広めていくという戦略が、COPDの一層の予後改善につながっていくと考えられます。

コロナ禍においては、多くの医療施設で呼吸機能検査の実施が困難な状況となっています。このような状況下でのCOPD患者の拾い上げと治療管理の一助として、2021年1月日本呼吸器学会より、「COVID-19流行期日常診療におけるCOPD の作業診断と管理手順」が発表されました。COPD-QやCOPD-PSといった質問票を用いてスクリーニングを行い、胸部レントゲン検査や血液検査、および臨床症状により気管支喘息との鑑別を行う手順が示されています。発症が若年であったり、喘鳴を中心とした症状に日内変動がみられたりする場合には気管支喘息をより考えますが、とりわけ高齢者では鑑別が難しい場合も経験されます。最近ではCOPDと気管支喘息の合併病態としてACO(Asthma COPD overlap)という概念が提唱され、2018年には日本呼吸器学会から「診断と治療の手引き」3) が出されるなど専門医の間でも議論となっています。

このように、COPDと気管支喘息との厳密な鑑別は難しいことが多く、吸入製剤の選択も多岐にわたっている現在、治療方針に苦慮されることも多いと思います。そのような場合、ぜひ当科COPD外来(火曜午前 児玉裕三、水曜午後 佐藤匡)へのご紹介を検討いただければと思います。また、順天堂医院では感染対策を十分に行った上で、呼吸機能検査をほぼ従来通り継続しておりますので、精査依頼目的のご紹介も喜んでお受けいたします。検査結果は、専門医が見解を添えて迅速にお知らせいたします。当科はCOPDをモデル疾患として、今後も先生方と有機的な医療連携を継続していきたいと思っております。

参考文献

1)日本呼吸器学会COPDガイドライン第5版作成委員会編:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版.メディカルレビュー社,東京,2018.
2)Fukuchi Y, et al: COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study. Respirology 9:458-465, 2004.
3)日本呼吸器学会喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き2018作成委員会編:喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap: ACO)診断と治療の手引き2018.メディカルレビュー社,東京,2018.

慢性閉塞性肺疾患 COPD
気管支喘息

当科へ気管支喘息の患者さんをご紹介してくださる先生方へ

当科では、日本アレルギー学会アレルギー専門医(内科)・指導医である原田と大田を中心とした専門チームにより、週6回の喘息専門外来を行っています。
喘息関連治療薬の処方数は全国でも有数の実績を誇り、一般的なコントロール良好症例から、日常管理に苦慮する難治性症例まで幅広く対応しております。現在の治療でコントロールが不十分な患者さんや、診断に苦慮される症例がございましたら、ぜひご紹介いただけますと幸いです。

◆ 当科における喘息診療の5つの特徴

1. 迅速かつ確実な「充実した診断モダリティ」
慢性咳嗽の鑑別や喘息の疑い症例に対し、以下の検査を用いて迅速かつ多角的な精査加療を行っています。
  • 実施可能な主な検査: スパイログラム、呼気中一酸化窒素濃度測定(FeNO)、モストグラフ(総合呼吸抵抗測定)、気道可逆性試験、気道過敏性試験
2. ウイルス感染等の「増悪リスク」を見据えた厳密な管理
呼吸器感染症(COVID-19、インフルエンザ、感冒など)は喘息増悪の重大なトリガーとなります。当科では、感染時の増悪リスクを最小限に抑えるため、ガイドラインに基づいた「症状なし」を維持する厳密なコントロールを目指しています。
3. 難治性喘息に対する「豊富な生物学的製剤の使用経験」
吸入ステロイド等で管理困難な難治性喘息に対しては、分子標的薬(生物学的製剤)を積極的に導入しています。全国有数の処方実績と豊富な経験を有しており、患者さんの病態(フェノタイプ)に合わせて最適な薬剤を選択いたします。
  • 対応可能な生物学的製剤: 抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体抗体、抗IL-4受容体抗体、抗TSLP抗体
    ※経済的な負担に配慮し、高額療養費制度などの社会資源の活用も含めてサポートしています。(※なお、気管支サーモプラスティ療法は2023年度をもって世界的に実施不能となったため、現在はこれら生物学的製剤を中心とした最新の集約的治療を行っています)
4. 包括的な「併存症管理」と多科連携
喘息管理を良好に保つためには、併存症の制御が不可欠です。鼻炎、副鼻腔炎、胃食道逆流症、睡眠時無呼吸症候群などに対し、大学病院の特性を活かして学内の各専門医と緊密に連携したトータルケアを提供します。
5. 特殊喘息・アレルギーへの専門的アプローチ
  • アスピリン喘息 / アスピリン(NSAIDs)不耐症: 安全管理のもと、入院体制でのアスピリン負荷試験および減感作療法を実施しています。
  • アナフィラキシー: 自己注射薬(エピペン)の処方・指導も行っています。


先生方からのご紹介を心よりお待ちしております。病状が安定いたしましたら、速やかに逆紹介(共同管理)の手続きをとらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
間質性肺炎

当科の間質性肺炎診療の特徴

1.原因検索 ― 環境・生活歴を重視した診断

間質性肺疾患(間質性肺炎)は原因が多岐にわたり、正確な診断には詳細な問診が欠かせません。当科では専用の問診票をご記入いただくとともに、生活歴、職業歴、居住環境、趣味などについて丁寧に問診を行い、原因検索を進めています。
特に過敏性肺炎など環境因子の関与が疑われる場合には、ご自宅の環境調査をお願いすることもあります。近年では羽毛布団やダウン製品、超音波式加湿器など、「鳥」や「住環境」に関連した抗原曝露が原因となる症例が数多く報告されています。原因抗原を特定し回避することは、その後の治療や再発予防にも極めて重要であるため、患者さんやご家族にもご協力いただきながら診療を行っています。
このような症例をご紹介ください
  • 原因がはっきりしない間質性肺疾患
  • 過敏性肺炎や環境因子の関与が疑われる症例
  • 原因検索を希望される症例

2.原因検索 ― 膠原病・自己免疫疾患の評価

環境因子と並び、間質性肺疾患の重要な原因が膠原病・自己免疫疾患です。関節リウマチ、全身性硬化症(強皮症)、皮膚筋炎をはじめとする特発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、ANCA関連血管炎など、さまざまな疾患に間質性肺疾患を合併することが知られています。
一方で、膠原病を疑う臨床所見や自己抗体を認めるものの、既存の診断基準を満たさない症例も少なくありません。このような症例では、呼吸器内科と膠原病内科の双方の視点から総合的に評価することが重要です。
当院には膠原病患者さんが多数通院されており、膠原病関連間質性肺疾患を豊富に診療しています。また、膠原病関連間質性肺疾患だけでなく、自己免疫学的特徴を有しながら確定診断に至らない症例についても積極的に診療しています。
特に全身性硬化症では、間質性肺疾患に加えて肺高血圧症を合併することも多いため、呼吸器内科、膠原病内科、循環器内科が密接に連携し、包括的な診療を行っています。
このような症例をご紹介ください
  • 膠原病関連間質性肺疾患が疑われる症例
  • 自己抗体陽性例や自己免疫疾患の鑑別を要する症例
  • 呼吸器症状を契機に膠原病が疑われた症例

3.診断 ― 適切な治療につなげるために

間質性肺疾患では、正確な診断が治療方針を決定するうえで最も重要です。
2024年の指定難病診断基準改訂により、一部の症例では病理診断がなくても臨床診断による難病申請が可能となりました。一方で、治療方針の決定や予後予測のためには、病理学的評価が有用となる症例も少なくありません。
当科では、従来の気管支鏡下肺生検より大きな組織検体を採取できるクライオバイオプシーを導入し、これまでに200例を超える検査実績があります。低侵襲でありながら質の高い病理診断が可能であり、診断精度の向上に役立っています。
さらに、病理所見、画像所見、臨床経過を総合的に評価するため、呼吸器内科、放射線診断科、病理診断科によるMDD(Multidisciplinary Discussion)を定期的に開催し、専門医による多角的な検討を行っています。また、必要に応じて他施設とも連携し、診断が難しい症例についても専門的な視点から評価しています。
このような症例をご紹介ください
  • 診断に迷う間質性肺疾患
  • クライオバイオプシーや専門的診断を希望される症例
  • 治療方針について専門的評価を希望される症例

4.治療 ― 抗炎症治療と抗線維化治療を適切に選択

近年、抗線維化薬の登場により間質性肺疾患の治療は大きく進歩しました。特発性肺線維症(IPF)に加え、進行性肺線維症(PPF)の基準を満たす症例では、ニンテダニブやピルフェニドンが標準治療となっています。さらに2026年7月には約10年ぶりとなる新規抗線維化薬ネランドミラストが承認され、治療選択肢はさらに広がりました。
一方、膠原病関連間質性肺疾患や過敏性肺炎などでは、ステロイドや免疫抑制薬による抗炎症治療が主体となる症例も少なくありません。当科では病態を総合的に評価し、抗炎症治療と抗線維化治療を適切に組み合わせた治療戦略を提案しています。
免疫抑制薬についてはシクロスポリンAに加え、タクロリムスやミコフェノール酸モフェチルも積極的に導入しています。また、抗線維化薬は300例を超える治療経験を有しており、有害事象への対応や長期継続のための支持療法にも力を入れています。
抗線維化薬は呼吸機能低下や急性増悪リスクを抑制することが期待されますが、その効果を十分に得るためには適切な時期に治療を開始することが重要です。当科では患者さん一人ひとりの病勢や生活背景を十分に考慮し、患者さん・紹介元の先生方と相談しながら最適な治療方針を決定しています。
このような症例をご紹介ください
  • 抗線維化薬導入の適応判断を希望される症例
  • 治療開始時期や治療方針について相談を希望される症例
  • 治療中の病勢評価を希望される症例


希少肺疾患、気胸・嚢胞性肺疾患
当科では、診療経験の乏しい希少肺疾患の患者さんにも丁寧な診療を心がけ、「頻度の高いありふれた病気の診療」と同じような安心感を提供できるよう心がけています。
 
当科は開講以来、希少疾患や難病の診療に携わってきています。初代教授の本間日臣先生は、国内でのサルコイドーシスの診療や研究の普及に尽力しました。現在、リンパ脈管筋腫症(LAM)と呼ばれる希少難病は、従来は、国内では過誤腫性肺脈管筋腫症と呼称され、当大学名誉教授の山中晃先生、斎木茂樹先生がその疾患概念を築きました。日本では20~30人程度の患者数と推測されるα1-アンチトリプシン欠乏症では、国内で初めて遺伝子診断を実施し、日本人に特徴ある遺伝子変異を報告しました。最近では、α1-アンチトリプシン欠乏症患者さんに対するα1-アンチトリプシン補充療法の治験を行い、保険適応薬の創出に貢献しました。このように、当科は、ずっと稀少疾患の診療や研究に取り組んできました。
 
LAMは、若い女性の肺に多数の嚢胞が生じ自然気胸や息切れを生じさせる病気ですが、LAM患者さんの診療を担当しているうちに、「自然気胸を発症したり、たくさんの肺嚢胞を認めるが、LAMに類似しているが異なる疾患」の患者さんが紹介されてきました。そのような患者さん達から、以下のような希少疾患を診断し、診療する機会に恵まれてきました。例えば、ランゲルハンス細胞組織症、Birt-Hogg-Dubé症候群、Erdheim-Chester病、PEComa、膠原病に伴う嚢胞性肺疾患、婦人科系腫瘍の肺転移例、などです。また、LAMは結節性硬化症という遺伝性疾患の肺病変として発症する方もあるため、「結節性硬化症診療チーム」の一員として、結節性硬化症の患者さんの診療を担当しています。
 
自然気胸は、呼吸器外科と協力して診療しています。簡易ドレナージキットを用いた外来での治療、特殊な基礎疾患による難治性気胸では胸腔造影による気漏部位の同定や治療法の選択をしています。より専門性の高い気胸治療が必要とされる場合には、気胸専門施設と連携して診療に当たっています。
 
希少難病の患者さんが安心して治療を受けられるよう、難病制度、呼吸器身体障害者制度、障害者年金、等の医療福祉資源の活用について紹介しています。
肺高血圧症

当科へ肺高血圧症の患者さんをご紹介してくださる先生方へ

肺高血圧症は、種々の要因によって肺動脈圧の異常な上昇が生じ、一部の治療抵抗例は肺移植の適応にもなる難病です。肺動脈性肺高血圧症(1群)と慢性血栓塞栓性肺高血圧症(4群)は厚生労働省の指定難病に含まれています。主な症状には、労作時の呼吸困難、易疲労感、失神、動悸、咳嗽などが挙げられますが、いずれも疾患特異的な症状ではなく、見落とされて診断確定が遅れる場面にも遭遇します。最終的な診断確定には右心カテーテル検査を含めた各種検査が必要であり、専門機関での精査加療が望ましい疾患です。
近年になり様々な血管収縮因子・弛緩因子を標的とした経口血管拡張薬が開発され、特に肺動脈性肺高血圧症(1群)の予後は劇的改善しています。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(4群)に対しては、バルーン肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty)や肺動脈血栓内膜摘除術(Pulmonary endarterectomy)などの有効な治療として知られています。さらに、これまで肺血管拡張薬の有効性が明らかでなかった呼吸器疾患に伴う肺高血圧症(3群)に関しても、間質性肺疾患に合併したPHに対する吸入肺血管拡張薬(トレプロスチニル)が、運動耐容能を改善させることが示され、本邦でも投与が可能となっています。
肺高血圧症の原因は、呼吸器疾患・左心疾患・膠原病など多岐に渡ります。当科では循環器内科や膠原病内科と密に連携をとりながら、各群の肺高血圧症の診療が出来る体制を整えています。膠原病合併例については、当院の専門医と相談しながら適切な免疫抑制治療を併用します。慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するBPAは、循環器内科と協力をしながら当院で施行が可能です。PEAが必要な場合には、近隣の手術経験が豊富な施設と連携しながら治療を行います。
原因のわからない呼吸困難を訴える患者さんの中には、肺高血圧症が隠れているかもしれません。そのような患者さまがおられましたら、是非当科をご紹介ください。

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慢性呼吸不全(在宅酸素療法等)、睡眠時無呼吸症候群

1.睡眠時無呼吸症候群・睡眠呼吸障害疑いの患者さんをご紹介して下さる先生方へ

1号館4階、睡眠・呼吸障害センター・呼吸器内科

呼吸器内科では、2008年以降睡眠時無呼吸症候群の専門外来診療を行っています。2017年以降は、院内1号館4階に睡眠・呼吸障害センターが開設され、呼吸器内科、循環器内科、耳鼻咽喉科の専門医による集約した診療を行っています。呼吸器内科枠は現在、毎週金曜日の午前に診療しております。診療体制の特徴は、1)患者さんの睡眠呼吸障害の状況により循環器内科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科を含む他科へ診療の併用を、スムーズにご紹介が可能であること、2)CPAP以外にも複数の治療機器の導入が可能、3)や遠隔診療の実施、4)新型コロナウイルス感染の蔓延禍のなかでの電話診療対応、などが挙げられます。検査治療体制の特徴は、センター内に、専属の臨床工学士、臨床検査技師を配属し、簡易睡眠検査(外来)、終夜ポリソムノグラフィー(PSG)の実施と解析(入院、特に土日の週末入院も可能)、持続陽圧呼吸器(CPAP)導入(外来)、マウスピース作成のご紹介(院内、院外)などを行っております。
 
病診連携につきましては、初診は原則予約制で、お電話で日時のご予約が可能です。 各詳細は、睡眠・呼吸障害センターにお電話をいただき、呼吸器内科外来診療枠でお尋ねください。 PSGのみでご紹介を頂くことも可能です。患者様には、検査日のみにご来院いただき、その後のご対応は、 ①結果をご郵送(コメントをつけた結果を当科から郵送にてお戻し)、②結果のご説明は当科で、治療からご紹介を頂いたご施設で、③結果のご説明、および治療を当科で、 のいずれでもお受けすることが可能です。検査のご予約を頂く際にご確認させて頂きます。

2.呼吸不全(疑い含む)の患者さんをご紹介して下さる先生方へ

1号2階、メディカルコンシェルジュ・レスピケア外来

在宅酸素や呼吸管理(非侵襲的人工呼吸器、気管切開下呼吸器)を必要とする患者さんを、院内1号館2階の難病外来の呼吸器内科診療枠『レスピケア外来』枠で診療しています。 毎週水曜日の午後に診療しています。'難病'外来の名称ですが、難病認定のない慢性呼吸不全の患者さんの診療も行っております。診療体制の特徴は、 1)横になれる診察ベットも備えた広い専用スペースで、完全予約制での診療、2)複数の呼吸管理機器デバイスに対応した、ログデータを診察時間内で解析、 3)新型コロナウイルス感染の蔓延禍のなかでのオンライン診察、電話診療対応、などが挙げられます。対面診療でない診察時にも、事前に治療機器のデータを解析評価します。 検査治療体制の特徴は、患者呼吸不全の原因精査や治療を行うにあたり、様々な生理学的検査を実施している点です。外来で実施する検査には、呼吸機能検査、オシレーション法、 呼吸筋力測定、運動負荷試験、経皮二酸化炭素分圧測定測定、SpO2持続モニター貸し出し、換気応答試験などがあります。入院で行う検査には、院内には夜間経皮二酸化炭素分圧測定測定、 終夜ポリソムノグラフィーなどがあります。
 
病診連携につきましては、医療連携室を通して、初診の予約を頂くことが可能です。 在宅酸素や在宅人工呼吸器をご使用中で、遠方や在宅診療が主体の患者さんについては、かかりつけの先生から、 治療適応の評価、治療介入後の定期的な病態の評価でご紹介を頂くことも可能です。小児科からの医療移行も積極的に受け入れております。 一方呼吸管理状況が安定した患者さんには、ご希望により、地域の先生にご紹介する体制もとっております。