間質性肺疾患(間質性肺炎)は原因が多岐にわたり、正確な診断には詳細な問診が欠かせません。当科では専用の問診票をご記入いただくとともに、生活歴、職業歴、居住環境、趣味などについて丁寧に問診を行い、原因検索を進めています。
特に過敏性肺炎など環境因子の関与が疑われる場合には、ご自宅の環境調査をお願いすることもあります。近年では羽毛布団やダウン製品、超音波式加湿器など、「鳥」や「住環境」に関連した抗原曝露が原因となる症例が数多く報告されています。原因抗原を特定し回避することは、その後の治療や再発予防にも極めて重要であるため、患者さんやご家族にもご協力いただきながら診療を行っています。
このような症例をご紹介ください- 原因がはっきりしない間質性肺疾患
- 過敏性肺炎や環境因子の関与が疑われる症例
- 原因検索を希望される症例
環境因子と並び、間質性肺疾患の重要な原因が膠原病・自己免疫疾患です。関節リウマチ、全身性硬化症(強皮症)、皮膚筋炎をはじめとする特発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、ANCA関連血管炎など、さまざまな疾患に間質性肺疾患を合併することが知られています。
一方で、膠原病を疑う臨床所見や自己抗体を認めるものの、既存の診断基準を満たさない症例も少なくありません。このような症例では、呼吸器内科と膠原病内科の双方の視点から総合的に評価することが重要です。
当院には膠原病患者さんが多数通院されており、膠原病関連間質性肺疾患を豊富に診療しています。また、膠原病関連間質性肺疾患だけでなく、自己免疫学的特徴を有しながら確定診断に至らない症例についても積極的に診療しています。
特に全身性硬化症では、間質性肺疾患に加えて肺高血圧症を合併することも多いため、呼吸器内科、膠原病内科、循環器内科が密接に連携し、包括的な診療を行っています。
このような症例をご紹介ください
- 膠原病関連間質性肺疾患が疑われる症例
- 自己抗体陽性例や自己免疫疾患の鑑別を要する症例
- 呼吸器症状を契機に膠原病が疑われた症例
間質性肺疾患では、正確な診断が治療方針を決定するうえで最も重要です。
2024年の指定難病診断基準改訂により、一部の症例では病理診断がなくても臨床診断による難病申請が可能となりました。一方で、治療方針の決定や予後予測のためには、病理学的評価が有用となる症例も少なくありません。
当科では、従来の気管支鏡下肺生検より大きな組織検体を採取できるクライオバイオプシーを導入し、これまでに200例を超える検査実績があります。低侵襲でありながら質の高い病理診断が可能であり、診断精度の向上に役立っています。
さらに、病理所見、画像所見、臨床経過を総合的に評価するため、呼吸器内科、放射線診断科、病理診断科によるMDD(Multidisciplinary Discussion)を定期的に開催し、専門医による多角的な検討を行っています。また、必要に応じて他施設とも連携し、診断が難しい症例についても専門的な視点から評価しています。
このような症例をご紹介ください
- 診断に迷う間質性肺疾患
- クライオバイオプシーや専門的診断を希望される症例
- 治療方針について専門的評価を希望される症例
近年、抗線維化薬の登場により間質性肺疾患の治療は大きく進歩しました。特発性肺線維症(IPF)に加え、進行性肺線維症(PPF)の基準を満たす症例では、ニンテダニブやピルフェニドンが標準治療となっています。さらに2026年7月には約10年ぶりとなる新規抗線維化薬ネランドミラストが承認され、治療選択肢はさらに広がりました。
一方、膠原病関連間質性肺疾患や過敏性肺炎などでは、ステロイドや免疫抑制薬による抗炎症治療が主体となる症例も少なくありません。当科では病態を総合的に評価し、抗炎症治療と抗線維化治療を適切に組み合わせた治療戦略を提案しています。
免疫抑制薬についてはシクロスポリンAに加え、タクロリムスやミコフェノール酸モフェチルも積極的に導入しています。また、抗線維化薬は300例を超える治療経験を有しており、有害事象への対応や長期継続のための支持療法にも力を入れています。
抗線維化薬は呼吸機能低下や急性増悪リスクを抑制することが期待されますが、その効果を十分に得るためには適切な時期に治療を開始することが重要です。当科では患者さん一人ひとりの病勢や生活背景を十分に考慮し、患者さん・紹介元の先生方と相談しながら最適な治療方針を決定しています。
このような症例をご紹介ください
- 抗線維化薬導入の適応判断を希望される症例
- 治療開始時期や治療方針について相談を希望される症例
- 治療中の病勢評価を希望される症例