小児難聴の概要
生まれつきの難聴(先天性難聴)をもつ子供が生まれる確率は、約1000出生に1人と言われます。もし難聴が放置された場合、言語の発達に大きな影響を与える可能性があるため、出生後早期に発見して速やかに対応することが必要になります。まずは難聴のお子様がどの様な行動や症状を伴うかを把握することが重要です。
原因は様々で、約6~7割が遺伝性難聴(遺伝子変異による難聴)で、残りはウイルス感染や外傷などによる非遺伝性難聴と言われています。
小児難聴の症状
乳幼児は大人と異なり、自身で難聴を訴えることができません。
難聴の症状としては、
①大きな音への反応が乏しい ②言葉をなかなか発さない などがありますが、新生児聴覚スクリーニング検査(出生時に難聴の有無を評価する簡易検査)で要再検となり診断されることがほとんどです。
小児難聴の検査
新生児聴覚スクリーニング検査で要再検となった場合、耳鼻科で
聴性脳幹反応検査を行います。この検査は、音を聞いたときに脳が反応しているかをチェックする検査です。検査中は安静が必要ですので、シロップや座薬などの鎮静剤を投与する必要があります。この検査で難聴の有無を評価し、そこで初めて診断します。したがって、
新生児聴覚スクリーニング検査で要再検=難聴というわけではありません。 音を聞いて聞こえた事に対して手を上げることができる様であれば、成人と同様の従来の聴力検査を行う事ができます。だいたい4歳以降が目安です。
小児難聴の治療
滲出性中耳炎や外耳道狭窄による難聴の場合、薬剤治療や手術で聴力が回復する可能性があります。しかし先天性難聴の大半は非可逆的な難聴(感音難聴)であるため、早期からの補聴器装用が必要となります。早期からの補聴器装用により、コミュニケーションや言語発達が促されます。 当院では、難聴外来で精査し、必要があれば補聴器外来にて補聴器を導入いたします。