精索静脈瘤の診断から手術まで

検査法方法と診断

  • 視診、触診、陰嚢超音波検査を用いて精索静脈瘤の有無、gradeを判断します。男性不妊症診療ガイドラインでは、grade2以上の精索静脈瘤を認め、精液所見が不良な場合に手術を推奨すると記載されています。
  • 陰嚢超音波検査ではカラードプラ超音波検査を補助的に併用します。
  • 精液検査に加えて、精子DNA断片化指数検査も手術適応の判断に役立てます。
  • ご本人・パートナーの年齢、既往歴、仕事の状況、並行して行っている不妊症治療(人工授精や体外受精など)の状況により、手術を行うタイミングも重要になります。

以上の所見や個々人の背景を鑑みて、慎重に手術の適応に関して判断致します。
img_case17_09通常の陰嚢超音波検査
img_case17_10カラードプラ超音波検査を併用

実際の手術

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4K3Dイメージング技術を搭載 1mm以下の構造物も正確に視認可能

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術者正面に配置された55inchモニターを用いて手術を行う
  • 麻酔を十分に行った上で手術を開始します。
  • 鼡径部に約2cmの切開創をおきます(通常陰毛に隠れる位置となります)。
  • 精索の挙上とともに、外精静脈(↓)を見逃さずに結紮・切断することが重要です。
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  • 精子を輸送する管(精管↓)は、確実に温存する必要があります。そのため、手術の初期段階で剥離し精管動静脈とともに分離します(安全なところに避けておきます)。
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  • 拡張した内精索静脈(↓)を丁寧に剥離して結紮・切断(↓↓)していきます。
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  • 動脈、リンパ管を温存(↓)します。リンパ管を温存することにより、術後合併症を予防します。
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  • 吸収糸を用いた埋没縫合(抜糸が不要です)を実施し、表面は透明の医療用テープで保護して手術を終了します。