診療科概要
1903年(明治6年)皮膚泌尿器科として発足し、2003年に開設100周年を迎えた順天堂大学皮膚科は、 皮膚科学教室としては国内有数の規模を誇り活発に活動が行われています。「難治性皮膚疾患の病態と治療」をテーマとして診療・教育・研究において活発に活動を行っています。
入院は病床数22床で、年間入院患者数は平成22年には382名でした。天疱瘡などの血漿交換療法、アトピー性皮膚炎・汎発性脱毛症・尋常性乾癬の光化学療法、良性及び悪性腫瘍の手術、悪性腫瘍の化学療法、白斑に対する植皮術、先天性表皮水疱症及び難治性皮膚潰瘍に対する植皮術、重症型薬疹に対する血漿交換療法など、様々な難治性皮膚疾患に対する先進的な診療を行っています。
外来診療
診療体制は外来は午前・午後とも各8名(土曜日は午前のみ)の医師で担当しており、一般外来のほか、難治性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎、脱毛症、乾癬、白斑、皮膚腫瘍については専門外来を設置しており、専従医師が質の高い最新の治療を行っています。
初診の患者さんは紹介状(医療機関からの診療情報提供書)をお持ちください。
⼊院診療
自己免疫性水疱症に対する治療
血液浄化療法(血漿交換療法)及びガンマグロブリン大量静注療法
天疱瘡や類天疱瘡などの自己免疫性水疱症に対しては、原則的に入院で血液浄化療法(血漿交換療法)を行っており、良好な成績が得られています。主に体外血液循環器を用いて行う二重膜濾過法を行っています。
また症状によっては、ガンマグロブリン大量静注療法も行っています。血漿交換療法と組み合わせて行うこともあります。
重症円形脱毛症に対するステロイド内服全身光線(PUVA)療法
重症かつ難治性の円形脱毛症に対し、副腎皮質ホルモン剤内服・外用および全身PUVA併用療法をすると有効率が高く、再発率も低く、従来の治療法に比し有意に優れております。全頭型・汎発型脱毛症に対し有効な治療法と考えられています。(当教室 山下らの報告)
急性期で病勢の強い場合には、ステロイドミニパルス療法も施行しています。
難治性・重症アトピー性皮膚炎に対するステロイド短期内服併用光線(PUVA)療法
ステロイド外用療法を中心とした従来の治療に抵抗性の重症アトピー性皮膚炎に対しては光線(PUVA)療法を施行し、目覚ましい効果をあげてきました。従来のPUVA療法にステロイド剤を3日間のみ併用する「ステロイド短期内服併用 PUVA 療法」はステロイドの併用によりPUVA照射を効率的に行うことが可能となったため、総照射量を減少させ、患者さんに与える時間的、経済的負担、更にはPUVA療法自体の負担の軽減を可能としました(当教室 溝口らの報告)。
悪性・良性腫瘍、皮膚潰瘍、膿皮症、陥入爪、白斑などに対する手術
入院手術は週に3日(火、水、金曜)行っており、皮膚悪性・良性腫瘍の切除術ならびに植皮術を中心に難治性皮膚潰瘍や慢性膿皮症に対する植皮術、陥入爪手術、白斑に対するサクションブリスター植皮なども行っています。
先天性表皮水疱症に対する総合的治療
先天性表皮水疱症では全身管理や水疱・びらん・皮膚潰瘍の治療及び重篤な合併症である食道狭窄や手指癒着の治療を他科と協力して行っています。