順天堂大学医学部附属順天堂医院
診療科・部門
センター等
がん治療センター
患者さんとご家族を支援するプログラム
公開講座での質疑・応答
第35回市民公開講座
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講演:「がんの画像診断 ~ CTとPET-CTでわかること~ 」
今回の市民公開講座の動画ですが、演者の先生と相談し、著作権等の観点から公開を見合わすことといたしました。
代わりに
講演時に使用したスライド数枚
を掲載させていただきますので、ご覧いただけますと幸いです。
質疑応答
全て開く
画像診断で何がわかるか等の見方を教えてください。
画像診断では、病気があるかどうかだけでなく、「どこにあるか」「どれくらいの大きさか」「周囲に広がっていないか」「治療が効いているか」など、多くの情報が分かります。
CT は「形」を詳しく見る検査で、がんの位置・大きさ・周囲臓器との関係を評価するのが得意です。PET-CT は「機能」を見る検査で、がんの活動性や転移の有無、再発の可能性などを調べることができます。
MRIとの違いを教えてください。
MRI は磁石と電波を使うため放射線は使いません。脳、脊髄、肝臓、前立腺、子宮などの組織を詳しく調べるのが得意です。
がんの存在する部位を正確に診断することができるというPET-CTですが、分かりにくい部位等ありますか。
FDG PET-CT はブドウ糖の取り込みを画像化する検査です。脳は正常でも糖を多く使うため、脳腫瘍は周囲とのコントラストがつきにくく、評価が難しいことがあります。また、FDG が尿として排泄されるため、膀胱や尿管の近くの病変は見えにくくなることがあります。
さらに、数ミリの非常に小さながんや、糖をあまり取り込まない種類のがんでは検出が難しいことがあります。
80代の女性です。健康診断は心房細動以外、問題がなく、PET-CTの検査は何年一度検査したほうがいいですか。
症状がなく健康診断でも異常がない方が、定期的に PET-CT を受けることを勧める明確な医学的根拠は、現在のところありません。PET-CT は非常に優れた検査ですが、すべてのがんを早期に発見できるわけではなく、放射線被ばくや費用も伴います。そのため、年齢だけで「何年ごとに受けるべき」と決めることはできません。
ご本人の健康状態や家族歴、過去の病気などを考慮し、主治医と相談しながら必要な検査を選ぶことが大切です。
素人でも確認することができますか。
画像を見ること自体はできますが、正しく判断することは簡単ではありません。
放射線診断医は、何年もの専門的な研修を受け、多くの画像を経験して診断しています。また、画像診断は一枚の画像だけで判断しているわけではなく、数百〜数千枚の画像を総合的に読影しています。
造影剤の選択には、何か決まりはありますか。
検査の目的や患者さんの状態に応じて選択しています。
CTではヨード造影剤、MRIではガドリニウム造影剤を使用します。
腎臓の働きが低下している方、過去に造影剤でアレルギー症状が出たことがある方、妊娠中の方などでは、造影剤を使わない検査を選ぶこともあります。造影剤を使用するかどうかは、「病気をより正確に診断する利益」と「副作用などのリスク」を十分に考慮して決定しています。
CTスキャンは、放射線被曝をしてかえってがんの罹患率が上がりませんか。また、PET-CTも、スゴい放射線量と聞きますが、それは素人の決めつけですか。
(日本医療の放射線は、青天井だと聞きます。他に方法がないから,仕方ないのかもしれませんが、自分ならがんになっても放射線治療を拒否したいと感じました。日頃,骨折や腰痛などでレントゲンを撮るだけでも、被曝手帳に書いてもらっています。しかし、見方が分かりません。1ヶ月に1度も撮影をやらなければ気にしなくて良いものなのでしょうか。1ヶ月に,何度もやる場合、限度量は、やはり無しなのでしょうか)
CTやPET-CTでは、医療被ばくは自然界から受ける年間2〜3ミリシーベルトより多くなることがあります。ただし、100 ミリシーベルトまでの放射線被ばくについてはがんの罹患率をあげることは科学的に示されていません。
医療被ばくには「年間〇ミリシーベルトまで」という上限はありません。病気の診断や治療に必要であれば検査を行い、不必要な検査は避けるという考え方が国際的な原則です。
放射線は「怖いもの」ではなく、「正しく使えば多くの命を救う医療の道具」と考えていただければと思います。
どの程度の小さいサイズのがん細胞が特定できますか。
「がん細胞を1個単位で見つける」ことは、現在の画像診断ではできません。
CTでは一般的に数ミリ程度の病変から見つけられることがありますが、見つけやすさは場所や臓器によって異なります。PET-CTでは、通常5〜10ミリ程度以上の病変の方が検出しやすく、小さい病変では見つけにくくなります。また、大きさだけでなく、がんの種類や活動性によっても見え方は変わります。
将来、悪性になりうる繊維芽細胞も特定できますか。
現在の画像診断では、「将来がんになる細胞」を見つけることはできません。
線維芽細胞は、傷を治したり組織を支えたりする正常な細胞であり、それ自体が悪性化するわけではありません。近年では、がんの周囲に存在する線維芽細胞(がん関連線維芽細胞)が、がんの進展に関わることが研究されていますが、これは研究段階の内容です。
PET検査で使用する体内に注入する薬剤は、がん細胞の餌にもなる糖成分を含むと聞きました。PET検査の副作用も教えていただけますか。
PET検査で最もよく使われる薬剤(FDG)は、ブドウ糖によく似た物質です。そのため、「がんの餌になるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、その心配はほとんどありません。PETで使用するFDGは、ごく微量で栄養としてがんを成長させる量ではありません。また、体内に入った FDGは時間とともに分解され、放射能も短時間で弱くなります。
副作用は非常に少なく、重いアレルギー反応も極めてまれです。検査後は水分を多めにとり、排尿を促すことで薬剤は速やかに体外へ排泄されます。
体への侵襲性はどちらの方があるのでしょうか。
CTもPET-CTも、体を切ったり内視鏡を入れたりする検査ではないため、比較的体への負担が少ない検査です。
CT では造影剤を使用する場合があり、まれにアレルギー反応や腎機能への影響が起こることがあります。PET-CTでは放射性薬剤を静脈から投与しますが、使用する薬剤の量は非常に少なく、副作用はほとんどありません。検査時間はCTよりも長いです。
PET検査はどのタイミングで撮るのがよいでしょうか。どのぐらい期間空ける必要がありますか。
PET 検査を行うタイミングは、病気の種類や目的によって異なります。
– がんが疑われるときには診断のため – 治療前には病気の広がりを確認するため – 治療後には効果判定や再発の有無を調べるため
一般的には、手術や放射線治療の直後は炎症の影響で正確に評価しにくいことがあるため、一定期間を空けて検査します。
「何か月ごとに PET を受ける」という決まりはなく、必要なタイミングで行うことが大切です。主治医が病状や治療内容に応じて最適な時期を判断します。
保険適応と費用について教えてください。
CT は、病気が疑われる場合や治療経過を確認する場合など、医師が必要と判断すれば健康保険が適用されます。
PET-CT も、がんの診断や病期(進行度)の評価、再発の診断、治療効果の判定など、一定の条件を満たす場合に保険診療で検査を受けることができます。がんの種類によっては保険適用にならないこともあります。一方、人間ドックなど健康診断目的のPET-CTは、自費診療となっています。
CTとPET-CTで分かることはどう異なるのか、どういう場合にどちらの撮影をするかの目安などを教えてください。
CT は「形」を見る検査、PET-CT は「機能」を見る検査です。
CT では、がんの大きさや形、周囲の臓器との位置関係を詳しく調べることができます。一方、PET-CT では、がん細胞の活動性を画像化することで、形だけでは分かりにくい病変や、全身への広がりを評価できます。
例えば、肺に影が見つかった場合は、まず CT で詳しく調べます。その後、がんが疑われる場合には PET-CT を行い、リンパ節や他の臓器への転移がないかを確認することがあります。このように、両者は競合する検査ではなく、お互いの長所を生かして組み合わせる検査です。
治療後の最初の画像診断において、小さすぎて見逃すリスクがある、と理解しています。これのリスクヘッジとしては、例えば半年後にもう一度画像診断を受ける、など、何かあるのでしょうか。
画像診断には限界があり、ごく小さな病変は見つけられないことがあります。そのため、一度の検査だけで「絶対に再発がない」と判断することはできません。実際には、一定期間ごとに画像検査を繰り返し、以前の画像と比較しながら変化を確認することが重要です。また、血液検査や腫瘍マーカー、症状なども合わせて総合的に判断します。
CTによる被爆は、年間どのくらいまで許容されると考えられるのでしょうか(実際に腹部CT検査を複数回受けています)。
医療被ばくには、「年間〇ミリシーベルト」という決まった上限はありません。一般の方が仕事などで受ける放射線には基準がありますが、医療では「病気の診断や治療による利益が放射線のリスクを上回るかどうか」を基準に考えます。
がんの治療中には、病気の変化を確認するためにCTを複数回撮影することがあります。これは、適切な治療を行うために必要だからです。一方で、不必要な検査は避けることが原則です。放射線科では、必要最小限の放射線量で検査を行うよう常に工夫しています。
治療計画や画像診断におけるaiの活用について、ご見解をお願いします。
AI(人工知能)は、画像診断の分野でも急速に発展しています。例えば、CT画像から肺結節や骨折の候補を見つけたり、画像をより鮮明にしたり、検査時間を短縮したりするなど、すでに実際の医療現場で活用されています。
一方で、AIだけで診断を確定することはできません。患者さんの症状や血液検査、これまでの経過なども含めて総合的に判断する必要があるため、最終的な診断は医師が行います。今後は、「AIが医師に代わる」のではなく、「AIが医師を支援する」ことで、より正確で質の高い医療につながることが期待されています。
診察時に医師からCTとPET-CTの画像を見せられて、ここに影があるとか、悪い兆しが見えると差されても、理解出来ません。そもそも、一般人は正常な画像と並べないと分かりません。また、先天的に悪い画像になっている場合が多々あるのではないでしょうか。
画像診断は、一般の方が一目見て分かるものではありません。正常な画像にも年齢や体格、生まれつきの違いなどによる個人差があり、「正常」の幅は一人ひとり異なります。また、病気による変化も、ごくわずかな場合があります。
放射線診断医は、患者さんの年齢や病歴、過去の画像なども参考にしながら、数百〜数千枚の画像を総合的に読影しています。
MRIは放射線を使用せず核磁気を使用するため、被爆しないとのことでしたが、白内障などの影響もあると以前勉強したことがありました。使用頻度(年1~2回)にもよると思いますが問題はないのでしょうか。
通常のMRI検査で、白内障になることはありません。年に1〜2 回程度のMRI検査が健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠は、現在のところありません。
形を捉えることのうまいCTとPETを組み合わせて画像診断は画期的に良くなったようですがさらに詳しく調べるためにはどうすれば良いですか。
病気によって、さらに詳しく調べる方法は異なります。
例えば、脳や前立腺では MRI が非常に有用です。胃や大腸では内視鏡検査が欠かせません。また、がんが疑われる場合には、最終的には組織を採取して顕微鏡で調べる「病理検査」が確定診断となります。
画像診断は単独で完結するものではなく、それぞれの検査を組み合わせることで、より正確な診断につながります。
被爆のないMRIの方がいいように思いますが、CTと比較した場合の長所短所は何でしょうか(実際にはCTの方が普及しているように感じます)。
今回はCTとPET-CTの話ですので、詳細は割愛しますが、一般的には以下の特徴があります。
– CT:短時間で広範囲を撮影でき、肺や骨の評価が得意
– MRI:放射線を使わず、軟部組織の描出に優れる。CTよりも検査時間が長い。
目的に応じて使い分けられています。
今回のテーマの本題ではありませんが、MRIとCTではどんな場合の診断撮影に使い使い分けられていますか(がんの種類との関係でしょうか)。
例えば、肺がんや肺炎、骨折などではCTが第一選択となることが多く、短時間で広い範囲を調べることができます。一方、脳腫瘍や脳梗塞、前立腺癌、子宮や卵巣の病気などではMRIが優れています。肝臓や膵臓でも、MRIが役立つ場合があります。
それぞれの検査には得意・不得意があり、患者さんの病気や目的に応じて最適な組み合わせを選んでいます。
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