順天堂大学医学部附属順天堂医院
診療科・部門
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がん治療センター
患者さんとご家族を支援するプログラム
公開講座での質疑・応答
第29回市民公開講座
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講演:「「内用療法」って何?~がんをピンポイントで治す最新治療~」
質疑応答
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外部照射は同じ臓器への再照射は難しいと言われていますが、内用療法も局所再発で再度実施することは難しいのか教えてほしい。
外部照射はその特性上、どうしても周囲の正常組織にも放射線があたってしまいます。
従って同じ場所への再照射は正常組織の耐容線量(機能や形態を保つことが出来る限界の放射線量)を越えてしまいます。一方内用療法は細胞レベルのピンポイント照射なので、正常組織と隣接していても問題がありません。従って繰り返して治療が可能です。
ただし、内用療法も限界はあります。例えばほとんどの放射性物質は腎から排泄されるため、腎臓や尿管、膀胱といった臓器は一時的であれ、被ばくをします。従って内用療法を何度も繰り返すと、腎障害を起こす可能性が高くなります。繰り返す事は可能であるが、上限はあるとお考えください。また、保険診療上の制限は考慮していません。
内用療法は、繰り返し使用できるとのお話でしたが、治療を終了した数年後に、同じ臓器で再発・治療する場合も使用できるのか教えてほしい(一生涯のうち、何度でも使用可能なのでしょうか)。また、照射の場合、正常細胞の耐容線量を考慮し再照射は難しくなりますが、内用療法なら照射済みの臓器へも治療ができるのか教えてほしい。
これも上記質問と類似していますので、上記回答を参照してください。付け加えると、「繰り返し治療は可能」ですが、前提とする条件があります。
・再発(もしくは転移)した場合でも、その細胞に標的となる受容体が発現している事
(再発や転移をすると原発巣と異なった性質を持つ場合があり、受容体の発現がなくなると治療も無効になります):これは画像で確認が可能です。
・標的外の(つまり正常臓器の)耐容線量が限度以下であること(上記で述べた腎臓や、骨髄などがこれに当てはまります)。
子宮がんは内用療法での治療は難しいのか教えてほしい。
子宮がんには特徴的な受容体(標的分子)の発現がない(まだ発見されていない)ので、内用療法は困難です。ただし、子宮頚がんは放射線感受性が高いので、密封小線源治療や通常の体外放射線治療の良い適応です。
セラノスティックスは診断と治療の両方が出来るメリットがあり、画期的な方法である。今後相当進んで行く分野であると思う。その中で、画像診断がある程度確立され、マーカーを見つけて治療方法と組み合わせることが海外でも主流になってきているのか教えてほしい。
日本では内用療法が欧米に比べると普及や認知度において低いのが現状です。欧米で特に増えているのがPSMA(前立腺特異的膜抗原)を標的とした前立腺がんのセラノスティックスです。画像診断は
68
Ga-PSMAを用いて評価し、転移があれば
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Lu-PSMAで内用療法を行います。現在国内では第3相治験が行われており、近い将来に保険診療として実施が可能となる見込みです。その他のがんでも、PSMAのような優れた抗原、標的分子が発見されれば、このセラノスティックスが応用出来るでしょう。
例えば軟部肉腫のように放射線があまり効かない腫瘍でも、仮に特異的な分子があれば、高い効果は期待できるのか教えてほしい。
その通りです。理論的にはその腫瘍だけに特徴的に発現する標的分子が見つかれば、それに結合する抗体を作り、それにアイソトープを標識することにより画像診断、内用療法を行う事が出来ます。しかも従来では放射線抵抗性といわれている難治がんであっても、効果の高いα線放出核種を高線量で投与すれば治療効果が期待出来ます。
治療された患者の”行動制限”について教えてほしい。
治療に使用されたラジオアイソトープ(RI)の種類(核種)によって異なります。
α線放出核種であり、γ線を出さないもの(
223
Ra,
211
Atなど)であれば、周囲に全く影響を及ぼさないので行動制限は不要です。一方、
131
Iや
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Luを使う治療では、ラジオアイソトープ(RI)がβ線以外にγ線も出すために行動制限が必要です。期間は使用する薬剤により様々で、数時間のものから3~4泊以上特別な病室に入院するものまであります。
かつては内部から放射線で治療といえば、ラジウム針があったと思いますが、今は使われていないのか教えてほしい。
以前はラジウム針を直接がん組織に刺入して治療する組織内照射が行われていました。ただしこれには針を差し込む術者の被ばくが多く、現在では行われていません。代わりに現在ではまず中空の管だけをがん組織に埋め込み、あとから遠隔操作でラジオアイソトープ(RI)を管に挿入する治療法(RALS)が普及しています。使用されるラジオアイソトープ(RI)もラジウムから
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Ir(イリジウム)や
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Cs(セシウム)に変わっています。
乳がん術前に行う核医学検査(骨シンチ)は、放射線も微量で病状及び症状の改善にはつながらないとのことですが、使用された放射性医薬品から放出される放射線量が高いと治療も可能なのか教えてほしい。
骨シンチは画像診断なので、被ばくは最小限の方が都合が良いのです。一方、骨シンチで使用される薬剤はγ線を出すため、大量に投与すると広範囲の細胞が傷害されてしまいます。従ってγ線放出製剤は治療には使用出来ません。そこで、骨転移の治療には骨シンチとは全く異なった薬剤である223Ra(商品名:ゾーフィゴ)が使用されます。223Raは骨シンチと同じように骨転移に集まる性質を持っていますが、γ線ではなくα線を放出します。γ線と異なり飛距離が短いため、周囲に放射線を出さず外来で治療が可能です。保険診療で実施されている治療法なので、必要であればご相談ください。
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