講演1:「食道がんと食道胃接合部がんの治療」

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質疑応答

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食道がんと接合部がんの進行速度は異なるのでしょうか。
がんの進行速度は個人差が大きく、また通常はがんと診断されてから放置することが稀なためなかなかデータが集まらず、わかっていないというところが正直なところです。
扁平上皮がんと腺がんは、どちらのほうが予後が悪いのでしょうか。
非常に難しい質問です。残念ながら過去の報告でも扁平上皮がんが悪いという報告と、腺がんが悪いという報告がありどちらとも言えません。
ステージⅠ~Ⅱで、放射線治療と化学療法を選んだ場合、化学療法はずっと続けなければいけないのでしょうか。
放射線治療中に2回化学療法を行うのですが、放射線治療が終わった段階でがんが消えたと判断した場合には、ステージIではそのまま化学療法は終了します。ステージIIであれば化学療法を2回追加することが多いです。ですから化学療法をずっと続けることはありません。ただ、放射線療法と化学療法でがんが消えなかった場合には、そのまま化学療法を続けてもがんが消えることはありませんから手術が必要になります。
毎年胃カメラ検査をしていれば、早期発見は可能でしょうか。
早期がんは通常は無症状ですので、早期発見のためには内視鏡検査は必須です。中には発見が非常に難しいタイプもあり絶対とは言えませんが、毎年内視鏡を施行することで早期発見できる可能性は非常に高くなると思います。また内視鏡をする医師にも食道をよく見てくださいと伝えることも大事です。
食道がんを調べる検査は、通常の人間ドックで必然的に検査の対象となっているのでしょうか。それとも希望しなければ検査の対象にならないのでしょうか。
人間ドックでは胃や食道の検査として上部消化管X線検査を行うことが多いかと思います。食道がんや食道胃接合部がんの早期がんを発見するのにはX線検査よりも内視鏡検査のほうが有用ではないかと考えられておりますので、オプション等で内視鏡検査に変更することをお勧めします。
ピロリ菌の感染経路について教えてください。水道水や幼少時の環境、レストランでの食器共用等で感染しますか。
幼少期の井戸水の使用や親から子への口移し等が原因ではないかと推測されていますが、はっきりはわかっておりません。成人になってからの感染は少ないです。ご質問のような水道水の使用やレストランでの食器等で感染する可能性は低いと考えられます。
ピロリ菌は、胃がんの一因と考えられていて、陽性の場合除菌すると聞いていますが、陰性だと腺がんになるリスクがあるのであれば除菌はした方が良いのでしょうか。しない方が良いのでしょうか。
ピロリ菌除菌による胃がん発生抑制効果と、ピロリ菌除菌による食道胃接合部腺がん発生リスク上昇の比較についてですが、例えば2014年度の日本人男性の胃がん発生頻度は年間で10万人中140人です。一方で食道胃接合部腺がんは欧米の各国で年間で10万人に多くても5人程度です。人種等も違いますので、正確な比較ではないのですが、現時点ではピロリ菌除菌の方がメリットが大きいのではないかと思われます。
胃から酸っぱい水が上がってくることがあります。食道がんと関連はあるのでしょうか。
おっしゃっている症状はいわゆる「胃食道逆流症」かと思われます。食道がんとは直結しませんが、少なくとも内服治療の適応はあるかと思います。是非消化器内科を受診してください。
お酒を飲む前にヘパリーゼやウコンを飲むと顔が赤くなりにくいような気がするのですが、これによってアセトアルデヒドがすぐに分解されるのでしょうか。
ウコン、ヘパリーゼ等が肝臓によいとか二日酔い予防に良いとの話がありますが、どのような機序で働くのかはわかっていません。アセトアルデヒドとの関連もわからないと思います。
順天堂医院では、従来食道がんと食道胃接合部がんの外科手術において、開胸、開腹手術が主体と推察しておりますが、胸腔鏡、腹腔鏡による手術は、既に導入あるいは今後導入予定はありますか。
2019年4月からは胸腔鏡腹腔鏡による手術を導入しております。
22年前に結腸がんの外科手術をしました。以後EMR、ESDによる手術も行い、計3回結腸がんの手術を行いました。結腸がん体験者は、食道がんになりやすい報告はあるのでしょうか。また、現在はCFを毎年1回、GFを2年に1回行っていますが、検査のスケジュールはこれでよろしいでしょうか。
まず大腸がんと食道がんとの間に特に関連はありません。大腸がんになった人が食道がんになりやすいわけではありません。次に内視鏡検査に関してですが、上部内視鏡検査の場合には、検査の目的は胃がん食道がんの早期発見かと思います。ピロリ菌に未感染で、かつ飲酒歴、喫煙歴がないのであれば胃がんや食道がんを発生する確率は低いので頻回の内視鏡検査は不要かと思います。
逆流性食道炎を指摘されているので、いつか食道がんになるのでは・・・と心配しています。上部内視鏡での検診は、1~2年ごとに受けています。食道がんになった場合、内視鏡検査で必ず発見できる、と考えても大丈夫でしょうか。見落としされるリスクはどのくらいあるのでしょうか。
まず逆流性食道炎から食道がんになる確率は極めて低いので安心してくださって結構です。一方で、逆流性食道炎からバレット食道になった場合には定期的な内視鏡検査が必要です。最近ではバレット食道から食道がんにはなる確率が以前言われていたほど高くないことが分かっています(年率0.2~0.6%程度)。従って逆流性食道炎からバレット食道にならない限り心配はいりませんし、バレット食道になっても実際に食道がんになる確率は低いといえます。バレット食道と診断されれば定期的な内視鏡検査が推奨されます。そうすればたとえがんになっても早期発見できます。但し必ず早期発見できるとは限りません。注意していても見つけられないがんもあるのです。
胃がんが減少しており、大腸がん、肺がんが増加している原因は何でしょうか。日常生活での注意点を教えてください。
胃がんが減少しているのはピロリ菌の感染率が下がっているためですが、大腸がん、肺がんはそもそも原因がはっきりわかっておりません。ですから、一般的にがんのリスクを下げるといわれていること(例:禁煙する 禁酒する 緑黄色野菜や果物の摂取を意識する 赤みの肉、加工肉を避ける 適度な運動の励行 肥満や糖尿病にならない等)に気を付けるしかないのではないでしょうか。完全な予防法はないと思います。
23年前に胃がん手術(2/3切除)をしました。腸閉塞もしました。胃を切除した人は「逆流性食道炎」になり、それが何年かすると食道がんになりやすいと聞きますが、本当の話でしょうか(現在70歳、たばこは吸わない、お酒はたしなむ程度、父は飲むと赤くなる)。
確かに胃切除後食道がんというのはありますが、基本的には他の食道がんの患者さんと同じように濃厚な飲酒歴、喫煙歴がある患者さんがなります。胃がんの手術を受けたからと言ってお酒も飲まない、タバコも吸わない人は食道がんになる確率は極めて低いと思います。お父さんは、お酒はたしなむ程度ということですが、顔が赤くなりやすくかつ毎日飲むのであれば定期的な内視鏡検査が必要かと思います。胃切除後はアルコールの吸収も良くなってしまいますので量が少ないから大丈夫とは言えないです。
食道胃接合部がんで食べ物の通りが悪くなり、ステントを入れ、はじめは食べられたのですが、だんだんがんが大きくなり、ステントの上部もがんで埋もれて、食事がとりづらい場合は、どのように食事をとれば良いでしょうか。
なかなか厳しい状況です。食事は流動食のようなものをとるか、半消化態栄養剤と言われる補助食品を摂取するしかないかと思います。通過そのものを改善する方法としてはステントの中に更に長いステントをもう一度入れる、ステントインステントという方法があるかと思います。また放射線治療を追加するという方法もあります。
食道がんのオプジーボ治療は、保険適応ではないのでしょうか。
残念ながら現時点(2019年5月現在)では保険収載されておりません。2020年には保険適応になると期待されますが、わかりません。
食道胃接合部がんのオプジーボ治療は、保険適応でしょうか。
食道胃接合部がん(腺がん)については疾患概念があいまいなため、保険適応もあいまいです。食道がんとして治療することもあれば胃がんとして治療することもあります。胃がんとして治療すればオプジーボは保険適応です。ただし、胃がんとして治療する場合、3種類目の抗がん剤(1種類目、2種類目の抗がん剤の効果がなかった場合)として使用可能です。食道胃接合部がんとして診断され、いきなり使用することは現時点ではできません。
日本人(東洋人)と欧米人(西洋人)の飲食習慣による違いは、「扁平上皮がん」と「腺がん」の発生率に影響はあるのでしょうか。
もちろん飲食習慣の違い(欧米人のほうが高脂肪食、赤みの肉食が多い等)もあるかとは思いますが、むしろアセトアルデヒド分解酵素の違い(欧米人はほぼ100%酵素を持っているが日本人の4割は不十分な酵素しかもたない)やピロリ菌感染率の違いなどのほうが発生率に対する影響が大きいのではないかと思います。
先日の報道で「縄文人はお酒に強いDNAだった」との研究結果が出ていましたが、現代の日本人はお酒にあまり強くない遺伝に変化したのはなぜでしょうか。また、その変化に伴って、日本人の食道がん、食道胃接合部がんの発症リスクは上昇していると考えられるでしょうか。
非常に興味深いお話ですが、そちらの方面に関しては全く知識がありません。申し訳ございません。縄文人はお酒に強いDNAだったということですので、それ以降の日本人は強くないという前提かと思います。変化した理由に関してはその番組で説明されているのではないでしょうか?またその変化により日本人の食道がんの発生リスクは上昇したと思われますが、食道胃接合部がんに関してはあまり影響なかったのではないかと思います。
食道がん(1b・転移なし)術後、胃と食道の縫合部が逆流性食道炎になり、15年間PPIを継続服用しています。最近それが潰瘍になり、PPIを15mg~30mg(就寝前のみ服用)に増量しましたが、逆に胃が荒れたので、元の15mgに戻しました。胃カメラ以外に、この潰瘍を観察できる検査はありますか。また、PPIの長期服用の副作用はあるのでしょうか。
食道と胃との吻合部潰瘍のことかと思いますが、残念ながら内視鏡以外には有効な観察方法はないかと思います。PPIの長期副作用に関しては、腸炎や腎機能障害が報告されていますが、実際に問題になることは稀です。
元々逆流性食道炎はあったが、6年前に食道がんが見つかり、食道と胃を1/3ずつ切除しました。術後は、処方薬を服用し、電動ベッドで頭の方が高くなるよう傾斜をつけて寝ているのですが、角度をつけすぎると、身体がずり落ち、逆流に苦しんでいます。医師は「術後は皆そうなんですよ」と言いますが、日によっては朝食も取れない程です。何か他にできることはないでしょうか。(70歳・男性)。
食道がんの術後の逆流であり、おっしゃる通りなかなか対処しにくい問題です。逆流を抑えるためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)というものを服用しているのではないかと思いますが、タケキャブ20㎎という薬に代えてみるというのも一つの方法かと思います。タケキャブは強力に胃酸分泌を抑制します。これで症状が改善する患者さんもいるのですが、効果がない人もいらっしゃいます。そうすると、やはり就寝中の体位が一番重要かと思います。電動ベッドでギャッジアップするのは非常に有効ですが確かにずりおちて逆流することがあります。人によってはリクライニングチェアのような形のほうがずれにくいようです。

講演2:「がんゲノム医療」とは?

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質疑応答

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免疫チェックポイント阻害剤に限界はありますか。
免疫チェックポイント阻害剤は期待されていますが、すべての患者さんに効果があるわけではありませんので、残念ながら限界はあります。
遺伝子解析をして薬剤を選んだのに効果がなかった、ということはあるのでしょうか。
分子標的薬と以前からある抗がん剤(あるいは殺細胞効果薬剤とも呼ばれます)の違いは、前者が標的とする分子(蛋白質)の機能を抑える事などを指標に開発されたのに対し、後者は腫瘍細胞の増殖抑制を指標に開発された薬剤です。分子の機能を制御するということは、その分子に異常があることが条件になりますが、講演でもお話ししたコンパニオン診断と呼ばれる方法でも適応があるかわかることがありますので、パネル検査が必須ではないケースもあります。
分子標的薬は、耐性ができて効果がなくなった場合に、再度次世代シークエンサーで解析は可能なのでしょうか。
効果がなくなるということは、薬剤耐性に関わる新たな遺伝子変異が生じた可能性があります。どのような異常が起きたかを知るためには、耐性になった状態の腫瘍細胞を採取して解析すると、その原因がわかる可能性はあります。ただし、今度保険償還される予定のがん遺伝子パネル検査は患者1人につき1回の検査となっています。
がん遺伝子パネル検査は、主治医にやりたい旨を伝えれば良いのでしょうか。
まずは主治医とご相談ください。ただしコンパニオン診断などで、すでに分子標的薬剤の適応があると判断された場合は、それ以上検査が行われてもあまり情報が得られない可能性もありますので、十分に説明を聞かれた方がよろしいかと思います。
がんになってからでないと、がん遺伝子パネル検査はできないのでしょうか。
がん細胞から遺伝子を抽出して解析を行いますので、がんの診断のもと腫瘍検体が提出できることが最低条件になります。
がん遺伝子パネルの種類は、患者が選べるのでしょうか。
NCCオンコパネルもFoundationOneも、標準治療がないあるいは標準治療が終了となった(終了が見込まれるものを含む)固形がん患者となっており、その条件を満たす必要があります。基本的にはこれら条件を満たしたのであれば、患者さんが選べると思いますが、病院によってはどちらかのパネルしか採用していない可能性もあります。主治医とご相談ください。
がん遺伝子パネル検査の結果が出るまでの期間を教えてください。
4-6週間と言われておりますが、まだ開始されてから日がたっていないため、詳細はわかりません。詳細は保険償還された時点で主治医の先生とご相談ください。
がん遺伝子パネル検査は種類があり、それぞれ検査できる遺伝子が違うと思うのですが、自分がどの検査をした方が良いのか、分からないものなのでしょうか。どのように選べばよいのか教えてください。また、がん遺伝子パネル検査1つだけで調べきれなければ、他のパネル検査をした方が良い、ということもあるのでしょうか。
パネル毎に調べる遺伝子の数は異なりますが、薬剤に直接結び付く重要な遺伝子はほぼ重複していると考えられます。また、すでにあなたのドライバー変異(発がんの原因遺伝子)がコンパニオン診断あるいはパネル検査で判明している場合、他のパネル検査で薬剤に結び付く別のドライバー変異が見つかる可能性は低いと思われます。詳細は保険償還された時点で主治医の先生とご相談ください。
がん遺伝子パネル検査で、治験中の薬が効く可能性がある場合、治験を実施している施設はどのように調べたら良いでしょうか。あるいは、治験施設を紹介していただくことは可能でしょうか。
治験情報あるいは治験実施施設への紹介に関しては基本的には主治医から説明があるかと思います。一般の方でも、下記ページなどから国内で行われている治験情報が得られます。
医薬品情報データベース 臨床試験情報
https://www.clinicaltrials.jp/cti-user/common/Top.jsp
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 治験情報の公開
https://www.pmda.go.jp/review-services/trials/0019.html
国内に限らず海外の治験についても調べたい場合は、下記ページに自分の疾患と遺伝子名を入力すると検索できます(ただし英語入力が必要です)
https://clinicaltrials.gov/
偶発的所見があっても患者及びその家族等への告知はしないという条件下でのパネル検査は、可能でしょうか。
がん遺伝子パネル検査を通じて得られた遺伝性腫瘍に関する情報(偶発的所見)については、「知らないでいる権利」も患者さんにはありますので、パネル検査を受けることは可能です。ただし一部の薬剤、例えば乳がんで用いられるPARP阻害剤は、遺伝的素因があることが使用条件になりますので、この薬剤を処方されることで自分がその素因を持っているということが分かってしまうケースもあります。 遺伝的素因についてはセンシティブな問題ですが、家族にとっては、知っていれば健康管理にいかせた可能性のある情報が、知らなされないことによる不利益が生じることもありますので、遺伝カウンセリングをしっかり受けていただいて上で判断されることをお勧めします。
パネル検査が保険償還されれば、高額療養費制度は使用できますか(補助されますか)。
保険償還されれば高額療養費制度で補助されます。
がんの原因は、すべて遺伝子によるものなのでしょうか。
全てと言えるかは難しいですが、これまで判明している発がんのリスク因子(喫煙、飲酒、ウィルス、その他)により、ドライバー変異が生じることが原因と考えられています。
がんゲノム医療で見つかった薬が保険適用外であった場合、患者が自由診療でも治療を希望すれば対応することは可能でしょうか。
2018年11月に行われた第12回患者申出療養評価会議(厚生労働省2018/11/22)で、ご質問のような課題が検討されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000406890.pdf
この中にも書かれていますが、日本ですでに他の疾患で使用されている薬剤については、臨床研究中核拠点病院において、患者申出療養制度という仕組みで使用できるように準備が進められています。
がんゲノム医療が有効ながん種はあるのでしょうか。 
多くのドライバー変異とそれに対応する薬剤が多く開発されているがん種としては肺腺がんが挙げられますが、コンパニオン診断でもわかるものが多いことも確かです。一方、希少がんでは、どのようなドライバー変異があるかわかっていないことから、あらたな治療法が開発されるという期待もある一方、保険で使用できる薬剤がない欠点もあります(ただし、その場合は前の質問のような仕組みも検討されています)。
がんの発症リスクと、がんの多発性体質との関係はあるのでしょうか。
がんは遺伝的要因と環境的要因によって発症します。根底には確かに遺伝的要因がありますが、そこに環境的要因が加わり発がんします。遺伝的要因の強さは、その患者さんにより異なりますが、遺伝的な要因がとても強い患者さん、いわゆる遺伝性腫瘍の患者さんは、すべてのがん患者さんの10%程度と考えられています。遺伝性腫瘍の患者さんは複数の臓器で発がんする可能性があります。一方、喫煙でも、肺がんや食道がん、喉頭がん、膀胱がんなどの複数の臓器の発がんリスクになります。このことから、がんの発症リスクを考える上では遺伝的要因と環境的要因の両方が重要であることをご理解ください。
がんゲノム医療(検査~診断~治療)は、健康保険適用となりますか。
検査~診断については保険適用となります。治療については含まれません。
がん以外の難病と言われる病気についても、遺伝子検査をすることで治療効果があがる可能性があるのでしょうか。
がん以外の難病でも遺伝子の異常で発症するものがあることがわかりつつありますが、治療法が確立しているものと確立していないものがありますので、詳細は主治医にご相談ください。また、がん遺伝子パネル検査はがん以外のいわゆる難病の遺伝的素因を知ることには不向きの検査です。
手術で摘出した検体は、何年前までのものであれば調べられるのでしょうか。
検体から核酸(DNA)を抽出して解析できるか否か判断されるため、保管条件(使用しているホルマリンやホルマリン入っている時間)が悪ければ新しいものでも解析が困難なケースがあります。ちなみに順天堂で行っているがん遺伝子パネル検査(MSK-IMPACT)では、下記のような検体は解析に不適としております。
・脱灰した標本 (骨転移腫瘍や原発性骨腫瘍など)
・中性緩衝ホルマリン以外の緩衝作用のないホルマリンや酸性ホルマリンで固定された標本
・ホルマリン固定時間が長い(48 時間を超える)標本
・ホルマリン固定後 6 年以上経過している標本
・過去に受けた放射線治療の照射範囲に含まれていた組織の標本
がんゲノム治療が必要とされる個人の自覚症状は、どのようにわかるのでしょうか。
この検査は手術した検体を用いて行いますので、自覚症状とは特に関連はありません。