講演1:免疫と長生き

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質疑応答

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NKを増やすのに、笑うこと以外に効果的な治療方法はありますか。
喘息が持病でアドエアを朝夕吸入しています。NKをあげるには、笑い、軽い運動、ビタミン等を摂取する他に何かありますでしょうか。ずっと吸入を続けるよう言われていますが普通に生活したいです。また長期の使用は副作用が心配です。
免疫をあげる食べ物、食事方法はありますか。効果はどの程度でしょうか。
NK細胞を含む食材を教えてください。
一般にNK活性を上げたり、またストレスで低下するのを防ぐことが出来るのはヨーグルトのような乳酸菌飲料やシイタケ等に含まれるβ-グルカンが知られております。また少し早歩きのような運動も効果があります。
NK細胞を強くして、元気で長生きするには、何に気を付けてどんな生活を送れば良いでしょうか。また、ストレスのないような生活習慣にすると、脳の刺激が少なくなり、認知症になるということはあるのでしょうか。
軽度の運動もNK活性が上がりますが、日本の学会の発表ですと1日少なくとも5,000~4,000歩、歩かれますと認知症の予防になると言われています。
NK細胞療法の効果・実績を教えてほしい。
NKを体外で増やし、再び体内に入れるといったがん治療が行われておりますが、未だそれで生還した方はおられず焼石に水のようです。NKが高いとがんになりにくいことが判ってますので予防にはNK細胞は大変意味があります。
現在、化学療法治療中。化学療法と免疫療法の併用について教えてほしい。
どうしても化学療法をされると免疫が下がります。その際、NK活性を上げておくと感染症の危険が少なくなります。
化学療法中にNK細胞を増やす(活性化する)ことは可能でしょうか。
ある程度可能です。
自分はリンパ腫疑い。やはり楽観的考えでいた方が病気の進行を遅らせることができるのでしょうか。
私自身はいつもそのように考えております。暗いストレスはNKが下がります。
家系が短命(がんによる死亡)なので、遺伝とがんについて詳細な説明をお願いします。
現在その遺伝学的な解析がされておりますが、特殊ながん以外ははっきりとした遺伝的な繋がりはまだ判明していません。
お灸は免疫力を高めますか。
個人差がありますが、効く方は免疫力が上がるようですが、はっきりとした論文がありません。
NK細胞を増やすヨーグルトなど売っていますが、効力はどのくらいあるのでしょうか。また食べすぎによる心配はありますか。
1日1本ぐらいで腸管の周りのNK細胞の目を覚ますような効果が知られております。1回食べられますと結構数日NKは上がっています。しかし毎日お取りになった方が他の腸管免疫の効果もあるようです。
アトピーやがんは共に免疫異常と聞きますが、相互関係はありますか。
がんは教科書的には免疫異常とは言いません。
アトピーは免疫異常です。
免疫と長生きには、血液型にも関係ありますか。
全くありません。
抑制系T細胞=Tレグ細胞ですか。
そのように考えられて良いと思います。
低コレステロールの人は、発がん率が高いということですが、この場合のコレステロールは、善玉コレステロールと悪玉コレステロールのどちらを指していますか。
私の知っているデータは、茨城県の38市町村で調べられたもので総コレステロールが200から下がるとがんの発生率が上がるという報告です。
NK細胞を上げる錠剤は、開発されそうですか。
私達は今その開発を、会社等と協同で進めております。
「ストレスがたまる」「免疫力がある」というのは各自の自覚で感じるもので、客観的に判断できますか。また、ストレスや免疫は、検査等で数値化して測ることは可能でしょうか。
問診等で、大体ストレス度が判るとメンタルクリニックの先生方は言っておられます。血液のホルモン(コルチゾール)等の検査で数値化しようという試みはなされておりますが、まだ体全体のストレス度は計れません。
初期がんが発生したあとでもNK細胞を上げると、がんは消滅するのでしょうか。
がんが発生しますとNK細胞だけではとても無理です。がんの芽のような小さな標的ですとNK細胞だけで死にます。従いまして転移を少なくしたり又がんの予防には大変重要な細胞と考えております。
森林浴がからだに良いことは聞いたことがありますが、NK活性を上げるのはなぜでしょうか。また、NK活性をより高める樹木の種類を教えてほしい。
緑の中で気分良く頭の中を白くしてストレス解消出来るのと、少し早く歩くという運動効果がNK活性を上げると考えられます。
NK細胞を調べる病院はどこにあるのでしょうか。地方の病院では難しいと思いますが、東京の大きい病院でしか調べられないのでしょうか。また、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
全国どこでも医師に頼めば検査会社に委託して調べてくれます。費用は詳しく知りませんが1回1万円前後だと思います。一般に1年に何回もよく風邪を引く方はNKが低い方が多いので、そうでもなければ大体正常です。
NK細胞を増加させる薬はあるのでしょうか。
インターフェロン等が知られていますが、薬としては副作用が強く常用出来ません。健康食品としてNK細胞を強くするにはヨーグルトがお薦めです。
食道がんの手術をして3年経過したが、NK細胞を高める方法はあるのでしょうか。病気のことを考えるとNK細胞の発生が下がるのでしょうか。
β-グルカンの入った健康食品(ミセラピスト-味の素)や乳酸菌飲料(ヨーグルト-明治R-1)がNK細胞活性を高めるということが論文になっています。ネガティブな暗いストレスはNK活性が下がるようです。笑いの多い生活をお薦めします。
一般的に、禁酒が良いとは思いますが、お酒好きな人は、飲めなくなるとかえってストレスが溜まると思う。他にストレスを減らす方法はありますか。
少量のアルコールは、ストレス解消を介して体に良いとも言われております。長寿な方ほど結構お酒を毎日少しずつ飲んでおられる人がいらっしゃいます。
がん細胞を潰すには、NK細胞を活性させると良いとのこと。活性酸素が細胞を傷つけ、がん化させるので、抗酸化物質を取るのが良いと聞きます。なかでも水素を取ると活性酸素除去効果が高い、と聞いたことがあります。実際に普段から顆粒水素を飲んでおり、飲むとすぐに身体がすっきりします。これは、がん細胞(不良細胞)に効いていると考えて良いですか。
その可能性も否定出来ませんが、残念ながら私は直接その効果のデータを知りません。
家族が「びまん性B型細胞リンパ腫」と診断された。T細胞と並び、B細胞は発熱時に活躍するとのこと。しかし、このB細胞が悪性腫瘍化したということは、その時点で既に大幅に免疫の働きが鈍っていることになりますか。B細胞のみががん化しても、他のT/NK細胞に活躍の余地はありますか。まだ、免疫の力は残っていますか。免疫をあげるような食事をし続けても「B細胞リンパ腫」という病気では、完治・寛解は難しいのでしょうか。このような血液のガンでは、免疫療法もあまり効かないのでしょうか。
T, NK等の働きはしっかりしております。食事等での治療はあまり期待出来ませんが、化学療法に加え、抗体療法が有効で、完治、寛解は大いに期待出来ます。
肺腺がんの手術時、リンパ節の郭清がありますが、免疫との相関関係はありますか。同様に抗がん剤服用との関係で、白血球の減少がありますが、これも免疫には不利に作用しますか。
リンパ節のまるまる郭清等で免疫が下がることはありません。また一般に抗がん剤は、免疫には不利に働くことが知られています。

講演2:がん患者さんの栄養と食事

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なまもの(刺身、生野菜、果物)は食べても構わないのでしょうか。
抗がん剤治療等で免疫力が低下している場合は、担当医から「生物を避けるように」という指示が出る場合があります。その場合は、食べないようにしましょう。
入院中、外来時に栄養士さんに相談したい場合、どのようにしたら良いのでしょうか。
入院中は、病棟スタッフへご相談下さい。ベッドサイドでの相談、または栄養相談室での個別相談(予約制)で対応いたします。
外来時は、担当医へご相談ください。栄養相談室での個別相談(予約制)で対応いたします。
がんと糖尿病のある人の栄養と食事について詳しく教えてください。
消化吸収に問題がなければ、基本的には糖尿病の食事療法を行ってください。
ただし、治療中などで極端に食欲が低下し、食事摂取できない場合は、低栄養にならないよう食べられる物優先で食べましょう。
栄養補助食品は、どこで購入できますか。
通信販売や薬局などで購入可能です。
自分は栄養吸収が悪いのですが、少量頻回食の回数上限はありますか。胃が休まらないと良くないという話も聞きますがいかがでしょうか。
回数については、何回がよいとは言えませんが、胃切除後などで頻回食をされる場合は、5~6回食にすることが多いです。
ダラダラと一日中食べ続けるのではなく、ある程度時間を決めて、食べるようにしましょう。
がん治療中ですが、体重が増えて、中性脂肪、コレステロールが高くなり困っています。食事療法でこれらを下げる良い方法はありますか。
体重は、標準体重に近づけるようにしましょう。
摂取エネルギーは活動量にもよりますが、標準体重あたり25~30kcal程度を目安にし、適度な運動も取り入れましょう。
肥満が改善すると、中性脂肪やコレステロールの値は改善する場合が多いです。
また、糖質(主食、果物、菓子類など)の過剰摂取で中性脂肪が上がることがありますので、摂取量には注意しましょう。
コレステロールについては、食事のみでは改善が難しい場合もありますが、たんぱく源を肉類よりも魚や大豆製品中心にし、動物性脂肪よりも植物油を使用するようにしましょう。
乳製品は、乳がんの発がん性と関係がありますか。
乳製品(特に脂肪を多く含むもの)を多く摂取する人は、乳がんのリスクを高めるという報告はありますが、具体的な量などは不明です。
以前は青汁ジュースを作って毎日飲んでいましたが、血栓が出来、ワーファリンを服用することになりました。納豆、クロレラ、ブロッコリー等の制約がありますが、青汁は飲んでも大丈夫でしょうか。
ワーファリンは、ビタミンKによって効果が減弱します。
ワーファリンを内服している方は、ビタミンKが多く含まれている納豆、クロレラ、青汁は摂取しないようにしましょう。
抗がん剤使用時の副作用である嘔吐感は、二日酔いの何倍もの辛さと聞いた。そのような状態が続く中、どのようなものを食べさせてあげれば良いのか。具体的な料理名を教えてほしい。
患者さんによって食べられる物は異なりますが、口当たりがよいもの、冷たくてさっぱりしたもの(冷麺、冷奴、卵豆腐、サラダ、酢の物、シャーベット、ゼリー、プリン、ジュース、果物など)を好まれる方が多いです。
温かい料理は臭いを感じやすく、吐気を誘発する場合があります。
肉料理・魚料理も臭いが鼻について食べられないという方が多いです。
揚げ物など、油の多い料理は、消化に時間がかかるため、胃部不快感が続く場合がありますので、吐気が強い場合は、控える方がよいでしょう。
境界型糖尿病、高脂血症があり、簡易栄養評価法で得点10点の栄養不良でした。自分としては栄養不良とは感じていませんが、今後どのような食事、栄養を心がければよいのでしょうか。
日常生活を送っていて、疲れやすい、力が出ない、などがなく、食事がきちんと食べられていれば、それほど心配する必要はありません。
栄養評価では、体重が1つの目安になりますので、定期的に体重減少がないかどうか確認してみましょう。
体重を増やしたいと思い、魚主体、野菜多めの食事をしており、快食、快便です。3回食事すると3回お通じがあり、体重がなかなか増えません。栄養は取れているのでしょうか。
1日3回の排便は問題ありません。下痢ではなければ、問題ないと思います。
上部消化器を摘出手術したので、5回食にしている。血糖値が高い(ヘモグロビンA1c 6.5)のですが、中間食(15時と17時)には何を食べたら良いでしょうか。
菓子類やジュースなど糖分の多い飲料のみという間食は控えましょう。
脂質制限がなければ、乳製品(牛乳や無糖ヨーグルト)などと一緒にビスケットやカステラなどを食べることをお勧めします。
また、朝昼夕の食事も主食中心の食事ではなく、たんぱく質や脂質を適度に含んだ食事にして、血糖値が上がり過ぎないようにしましょう。
がん悪液質という言葉を初めて聞いた。これは、がん細胞から分泌されるものなのでしょうか。
がん悪液質とは、病状の進行に伴い、栄養療法では改善することが難しい筋肉量の減少が見られる進行性の栄養不良症候群のことです。筋肉量の減量の他、脂肪量の減少、食欲不振、体重減少などが見られ、活動量やQOL(生活の質)を低下させる状態です。
栄養補助食品の味が気に入らない(甘すぎる、味が強く感じる等)場合の対処法はありますか。
製品にもよりますが、牛乳で割ったり、凍らせて食べるのも1つの方法です。
最近は、甘くないタイプのものもありますので、試してみてください。
今後暑くなってくるので、腎疾患、糖尿病のない患者の水分の取り方を教えてほしい。
一度にまとめて飲むのではなく、1日の中でこまめに摂るようにしましょう。
のどが渇いたと感じる前に水分を摂ることが大切です。
就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後に水分を摂ることが重要とされています。
アルコールやカフェインを多く含む飲料は、利尿作用があるため、水分補給としては適しませんので、注意しましょう。
食道がんで手術をして3年経過した。胃にもリンパ節転移していて手術で食道の一部を取り、胃半分で胃管を作成して噴門部を除去したため寝るときに胃液が出る時がある。これは一生続くのでしょうか。
逆流を防ぐためには、寝る前に食べない、油っぽいものは控える、上半身を20°程度高くして寝る、などの対処法があります。
あまりにも症状がひどい場合は、担当医にご相談ください。
肝臓がんで2回開腹手術をした。C型肝炎からの肝がんで、鉄が悪さをするということで瀉血術をした。食事を作るのに、鉄を少なくするとの兼ね合いがわかりません。どのような食品をさけ、どのようなメニューにすれば良いでしょうか。
鉄制限食では1日の鉄摂取量を6mg以下にします。
主に控えた方がよい食品は、下記の通りです。
*肉類、レバー
*青魚、赤身の魚、貝類
*卵黄
*ほうれん草や小松菜など色の濃い野菜
*大豆製品(豆腐・高野豆腐など)・豆類
*ひじきなどの海藻類
この中でも、吸収率のよいヘム鉄を含む動物性食品(肉や魚など)は特に過剰摂取にならないよう注意しましょう。
一方、吸収率の悪い非ヘム鉄を含む植物性食品(野菜・大豆製品・海藻類)は極端に制限しなくても構いません。
また、鉄の吸収率を上げるものはビタミンC、吸収率を下げるものは緑茶・紅茶・コーヒーです。ビタミンCを多く含む果物などは食事の時は避け、逆に緑茶や紅茶などは積極的に摂取しましょう。