講演1:子宮頸がんは予防できる時代に

質疑応答

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子宮頸がんは他のがんに比べあまり話題にならないような気がしますが、転移、再燃することは多いのでしょうか。
ほかのがんと同様に再発、転移します。
ワクチンの副作用が問題になり、報道されています。ワクチンの副作用について、詳しく教えてください(どのくらいの確率で現れますか)。
副反応出現率ですが、子宮頸がんワクチンで0.004%~0.01%程度です。肺炎球菌やヒブワクチンは0.002~0.006%です。インフルエンザワクチンは0.0001-0.0002%です。
子宮頚部擦過細胞診の際、がん細胞の部位がたまたまはずれてしまうことはありますか。
また、どの部位に擦過しても正確な判定ができるのでしょうか。
専門医が行えば外れることはないと思います。どの部位を採取しても同じではないので、自己採取法による検診はおすすめできません。
ワクチン接種によって単純な発赤、疼痛ではなく、重大な副作用はおこっていないのでしょうか。
失神など意識消失になる事例があります。10万回接種に1例の割合で起こります。
子供の集団接種、もしくは経費公費負担による接種といった方向は現在どうなっているのでしょうか。
小学校6年生~高校1年生には公費負担になりました。
(自治体により年齢に少しばらつきがありますので、確認が必要です。)
半年に一度、コルボ検査を受けています。一般の子宮がん検査より一段階上の詳しい検査と思いますが、子宮がんの可能性が少し高い、という事でしょうか。それとも異形成の段階になっているかどうかを調べる為のものでしょうか。
子宮頸部細胞診異常を認めた場合にコルポ検査を行います。細胞診が正常の方と比較した場合、がんになるリスクは少し高いため、定期的にコルポスコピーを行い、異形成の段階で発見し、治療することを目指しています。
男性のワクチンはないのでしょうか。
日本においては適用はありませんが、オーストラリアでは男性にも接種し、尖圭コンジローマが減少しています。
20年間性交渉がなければ、がんにはなりませんか。
現在の性交渉ではなく、HPVの感染の持続が問題になります。
過去の性交渉で、HPVに感染、感染が持続してればがんになる可能性があります。
予防ワクチンの接種費用はどの位ですか。
1回15000円から2万円で、3回の接種になります。
子宮がん・子宮頸がんについて未婚の女性の検診は必要でしょうか(未交渉の場合)。
子宮頸がんのリスクは低いと考えます。未産婦は体がんのリスクになりますので、定期的な婦人科検診をお勧めします。
未婚の女性(大人 30歳~)はワクチンを接種することが出来ますか。
また予防ワクチンはどこで受けられますか。
成人になってからのワクチン接種可能です。45歳ぐらいまでは費用対効果が認められます。
予防ワクチンは産婦人科クリニックで接種可能です。
HPV16、18型に感染しても発症する人としない人のタイプの違いは何でしょうか。
現在まだ分かっておりません。
HPV感染既住のある方がそのことを知らずにワクチンを打った場合、異形成の進行を進めてしまったり悪化させたりすることはないのでしょうか。
すでにある異形成に対して、ワクチンを打っても進行を進めることはありません。治す効果もありません。
ワクチンの接種で重い副作用が出る確率は、インフルエンザワクチンと同程度ということですが、対象が10代の若い女性なので副作用の原因が判明するまで全員接種を中止する選択についてどうお考えになりますか。
以下は日本産婦人科学会の声明です。
 本会はこれまで、子宮頸がん予防のためのHPVワクチン接種に対する公費助成を求めて活動してまいりました。その結果、本年4月からHPVワクチンが定期接種ワクチンの一つとして認められたことは、近い将来、わが国が子宮頸がんを根絶する方向へと進み、女性の健康に大きく寄与するものと高く評価しています。
 しかしながら、ワクチン接種を契機として重篤な有害事象が報告されたことから、安全性が確認されるまでの間、強い推奨を一時中止するという勧告は妥当と考えています。今後、厚生労働省の予防接種に関する合同部会をはじめとする専門家により、ワクチン接種の安全性が科学的にかつ速やかに確認されることを期待します。また本会も、ワクチン接種と有害事象との関連性を含め、安全性に関する調査と研究を行うべく、さる6月1日、本会内に「HPVワクチンの効果と安全性に関する調査委員会」を設置し対応することとしました。
わが国において、子宮頸がんの発症を予防し、たとえ発症しても早期発見・早期治療によって若い女性の妊孕能、そしてその生命を守っていくために、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診の両方を広く普及させていくことがとても大切です。ワクチン接種希望者には、引き続き、安心して接種を受けていただく必要があります。今後も、本会は子宮頸がん予防のHPVワクチンの効果と安全性につきまして、みなさまに広く情報を提供してまいりたいと存じます。
ヒトパピローマウイルスはどのように感染しますか。やはり傷からの感染でしょうか。
増殖はDNAによると考えてよいでしょうか。
上皮や粘膜に感染し、その細胞内で増殖します。DNAウイルスに属しますので、細胞内で増殖します。
ワクチンの3回接種の方法を教えてほしい。接種は学校で行うのでしょうか。
小児科のクリニック、産婦人科のクリニックなどで接種します。
欧米のように検診率があがるように教育すべきだと思う。テレビ等で啓蒙活動を活発にして検診の抵抗がないようにすることはできないのでしょうか。
ご指摘の通りと思います。啓蒙活動が必要と思います。
自覚症状がないので妊娠出産を経過して、その後の検診でがんがわかった場合、生まれてくる子供に影響はないでしょうか。
自覚症状のない状態であれば影響はありません。
妊娠した事のない人の方が子宮頸がんになるリスクが高いのでしょうか。
妊娠の有無でなく、HPV感染の有無が重要です。
異形成で16型、18型のどちらの感染が原因か調べることは可能ですか。
可能です。
男性のHPV保有者65%のうち、男性でもがんが発症するのでしょうか。
また、がんが発症する場合、どのようながんが発症するのか教えて下さい。
男性にもがんが発症します。女性と比較するときわめて低率です。
陰茎がんや肛門管がんや口腔がんなどです。
ワクチン接種して痙攣をおこしたという事例を耳にしたことがありますが、副作用、因果関係について教えていただきたい。
現在、因果関係の調査中です。
HPV感染は性行為以外でも感染するのでしょうか。
基本的な性交渉以外では感染しません。
HPV予防ワクチンの男性への接種の導入は、日本ではまだでしょうか。
現在予定はありません。
HPVはどこから発生してきたウイルスでしょうか(土壌中、動物由来etc.)。
ウイルスは、他の生物の細胞を利用して、自己を複製させることのできる微小な構造体です。
起源は解りませんが、HPV の場合皮膚、粘膜で増殖します。

講演2:肺がんはここまで治る

質疑応答

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イレッサが効かなくなった次の治療法はなんでしょうか。
従来の抗がん剤を使用することが多いです。
ザーコリは、肺がん以外にも有効でしょうか。
一部の乳がんにも有効といわれています。
免疫療法は、保険診療が適用される見込みはありますか。
現地点ではありませんが、保険適応になるように多くの関係者が努力しています。
受動喫煙での肺がん発症率はどれくらいでしょうか。
夫が1日に20本以上喫煙すると妻の肺がん発症率は2倍になります。
血管新生阻害薬の他に血管を塞栓する治療法などありますか。
肝臓がんなどでは抗がん剤を注入して血管を塞栓する治療が行われています。
肺がんではありません。
抗がん剤と併用して、免疫療法に挑戦してみたいのですがいかがでしょうか。
(樹状細胞、アルファベーター細胞、ビタミンC高濃度点滴、マルヤマワクチンなど)。
効果があった症例が時に報告されていますが、まとまった報告はないので、評価は固まっていないと思います。
免疫療法は、大学病院の方針又は医師により抗がん剤と併用することに同意、協力していただけない場合が多いと聞きますがいかがでしょうか。
がん専門施設などではそのような場合が多いと聞きます。
順天堂医院では、重粒子線又は陽子線等と抗がん剤治療の併用は可能でしょうか。
残念ながら当院では重粒子線や陽子線は施行できません。
肺がんとはタバコを吸わない女性の私にとってはあまり関係がないと思っていましたが、肺がんは女性にも発症すると聞きました。どのような症状が出ますか。
早期には無症状ですが、進行すると咳や息切れがでます。
EGFRの異常は肺がん発症前に検査により見つけることは可能でしょうか。
EGFR遺伝子変異はがん組織を用いて検討するため、発症前に検査することは不可能です。
イレッサの投与はどのくらい続けるものでしょうか。また、投与を中止した場合、がんが拡大するケースはありますか。
副作用が許容できるのであれば、効果がある限り使用することが多いです。 時に中止後、腫瘍が急に増大することがあります。
「肺がん死亡者数」には、肺がんが他臓器へ転移して死亡した数も含まれるのでしょうか。
含まれます。
今年58歳に成る娘は、低学年の時肺炎になりました。会社の検査の時、胸が少し陰をさすようですが、肺がんに成り易いのでしょうか(風邪を引かないようには気を付けています)。
肺炎の既往と肺がんの発症とは無関係です。
副作用がでてしまった場合は、治療を中止するのでしょうか。それとも対策法などありますか。
イレッサの場合でしょうか?イレッサの場合に限らず副作用が許容できないときは薬剤を中止します。軽度の湿疹などのみではスキンケアを併用して継続することもあります。
肺野部にある初期腺がんの診断がつきました。
気管支鏡検査とPET検査の有効性について説明していただきたい。
PETはあくまでもあたりをつけるための検査です。
あくまでも確定診断は気管支鏡を用いた病理診断になります。
気管支鏡検査の成功率について教えてほしい。該当細胞に当たらない、取れない、間違って取る等、失敗した場合当たるまで繰り返すのでしょうか。
大きさと場所によりますが、70%くらいの的中率です。2回行うと80%くらいまで上がります。
2回行って陰性の場合は、別の検査法を施行した方がよいかもしれません。
PET検査で、初期がんとほかの病気の区別は出来るのでしょうか。
困難ことが多いです。結核などでもPETが陽性にでてしまうことが多いです。
タルセバとイレッサは、どのような理由で選ばれるのでしょうか。
用量や飲む時間(夜がいい、早朝がいい)でしょうか。また、効き目の違いはありますか。
ほぼ同等の効果と考えてよいと思います。若干、タルセバの方が皮疹が多いですが、肝障害は逆にイレッサに多いと言われます。タルセバは空腹時に飲むことが多いです。
どのようにしたら耐性までの期間のばせると思いますか。
現在までそれについて回答はでていません。
イレッサ→タルセバ、タルセバ→イレッサの切り替えの治療法は実践されていますか。
脳転移の症例にイレッサからタルセバに切り替えて有効であったことが時に報告されています。
肺がんは、一般的な年1回の健康診断での胸部レントゲン撮影で十分発見できるものなのでしょうか。
必ずしもそうはいえません。検診を行っていても早期診断が難しい場合を良く経験します。
腺がんⅠ期の場合、手術なしでイレッサ等の薬だけで完治することはありますか。
基本的にはないと思います。手術が第一選択になります。
ラジオ波治療をしているところがあると聞いたことがありますが、有効性はいかがでしょうか。
経験がないので何ともいえません。
三大療法<ホルミシス(弱放射線、ラドン)、温熱療法(ハイパーサーミア)、食事療法(ゲルソン療法)(様々なサプリメント)>以外の物はどう考えられますか。
申し訳ありませんが、それらに対する知識と経験がありません。
がんセンターで化学療法を受けていますが、セカンドオピニオンはどういう病院で受ければ良いのでしょうか。大学病院等、大病院しか意味がないのでしょうか。また、個人病院でもよいのでしょうか。
しっかりとした説明をしていただける経験のあるDrであればどこの病院でも大丈夫だと思います。
アバスチンを使用できる条件を教えてください。
非扁平上皮癌、喀血の既往がない、気管支や大血管に侵していない、空洞がないなどが条件になります。
腺がんの遺伝子変異をみつける遺伝子検査は自費でしょうか。
EGFR遺伝子変異検査やALK融合遺伝子検査は保険で行えます。
新しい薬は費用が高いと思いますが、安く購入する手段はありますか。
日本は保険診療なので均一料金だと思います。
ただし、治験の場合は薬代がかからないことが多いです。
放射線治療後に手術は可能でしょうか。
放射線の後に手術を行うことはよくあります。
小さくなったがんは、痛みがなければそのままにしておいても大丈夫でしょうか。
基本的に治療の継続が必要だと思います。
100%の治癒はあり得るのでしょうか。
早期診断、早期治療(手術など)で、治癒することは十分にあります。
受動喫煙によっても扁平上皮がんや小細胞がんになりますか。
なります。
腺がんでタバコを吸っていません。イレッサを飲むことによってほかの臓器に影響が出た場合は薬を中止するのでしょうか。それとも続けていくのでしょうか。
たとえば肝機能障害などが出た場合は、中止しなければならないこともあります。
間質性肺炎になる前に防ぐことはできるのでしょうか。
早期発見、速やかな中止しか現時点では方法はないと思います。
肺を半分切除した場合体力が弱まりますか。又、声も元気なくかすれてきますか。
肺活量は落ちますが、元気で普段通りの生活を送られている方もたくさんいます。
声はかならずしもかれません。
イレッサでがんが消えるものでしょうか。また、飲み始めたら一生飲み続けなければならないのでしょうか。今もイレッサで亡くなる方がいるのでしょうか。
稀ですがイレッサでがんが消える方もいます。一般的に、効果が持続している間は飲み続けることが多いです。残念ながら間質性肺炎などで今でも亡くなられる方はおられます。
肺がんの手術後に抗がん剤治療を行いました(4クール終了)。その後、再発防止、又延命させるために、更に維持ケアとして軽い治療を続けた方がよいでしょうか。
最近、ある種の抗癌剤(アリムタなど)には維持療法といってお薬を継続することが有効であることが報告されました(一部の薬です)。
最近、ガンマーナイフ&サイバーナイフ療法がTV等で話題になっておりますが、効果はいかがなものでしょうか。
脳転移の方には有効なことが多いと思います。
免疫療法が広告などで話題になっております。非常に高価なもの(250~300万円)で保険がききません。この件についてどのようにお考えでしょうか。
免疫療法の有効性を科学的に証明して保険診療下で使用できるようになると良いと思っています。