順天堂医院のロボット手術

患者さんへの負担を軽減する低侵襲手術は、小さな傷で行うため、精密な操作が難しいのが欠点でした。
手術支援ロボットの登場により、その難点が克服されました。

ロボット手術とは、ロボットが勝手に行う手術ではありません。
患者さんの体内に細いロボットの腕を挿入し、熟練の医師が
その腕を“遠隔”で操作します。
ロボットの腕には多くの関節があり、人間の手の動きを正確に 再現できます。

私たちは、2023年に年間 825件のロボット手術を行いました。
総数のみならず、行える手術の種類も年々増えており
これまでに 4385件のロボット手術を行ってまいりました。

順天堂のロボット手術は、その先見性多様性専門性に特徴があります。




スクリーンショット 2024-01-31 141904

先見性

ロボット手術は新しい技術であるため、従来の手術(開腹、開胸、鏡視下手術)に精通する必要があります。

豊富な手術経験に基づき、私たちは 2013年からロボット手術を導入しました。
様々な診療科で、保険適応となる前からその可能性に着目し、ロボット手術を行ってきました。

多様性

安全性・確実性を担保するため、ロボット手術を行うための施設基準が厳しく設定されています。

現在、順天堂医院では 9つの診療科で、24種類のロボット手術を受けることができます。
たとえば、大腸と肝臓の手術を同時にロボットで行ったりと、多くの診療科が精通しているからこそ提供できる手術があります。

専門性

ロボット手術を行うために、医師は専門の免許を取得し、監督者(プロクター)の指導を仰ぐ必要があります。

順天堂医院には、21名のプロクター有資格医師が在籍しています。
免許取得の際に、専門施設の手術見学が必要となりますが、当院の呼吸器外科、婦人科、肝・胆・膵外科は
国内でも有数の専門施設に認定されています。

robot_ope_2順天堂医院 ロボット手術件数推移

順天堂医院で受けられるロボット手術


呼吸器外科

abm00023069_v2
当科では保険収載前にいち早くロボット手術を肺がんの治療に取り入れております。縦隔腫瘍や肺腫瘍に対して、すでに1000例以上の手術を行っています。
従来の胸腔鏡に比べて精度の高い手術、そしてこれまでにはできなかった複雑手術も安全に低侵襲で行えるようになっております。一方でロボットが適さない手術もあり、的確に適応をわけてご説明しております。ご希望の方はぜひとも受診されてください。無料メール相談も承っております!

泌尿器科

robot_ope_11.0
当科では、2013年から導入された最新の手術支援ロボット「da Vinci」を活用し、患者さんに対して低侵襲かつ安全で質の高い医療を提供しています。
私たちは、特に前立腺がん、腎がん、膀胱がん、腎盂がん、尿管がん、副腎腫瘍、腎盂尿管移行部狭窄といった泌尿器科疾患において、保険適用の範囲内で高度なロボット支援手術を実施しています。特に前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術や腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術で全国的にトップレベルの症例数を誇っています。また、膀胱がん治療においては、開腹手術を避け、腹腔内で行う回腸導管造設や新膀胱の造設が可能です。ロボット手術により傷口が小さくなり、患者さんの痛みも最小限に抑えられます。順天堂医院では、患者さん一人ひとりの病状やご希望に応じた適切な医療を提供するために、引き続き努力を重ねてまいります。患者さんの健康と安心を第一に考えた医療の提供を目指し ています。

婦人科

robot_huzinka
当院での腹腔鏡下手術は日本有数の症例数を誇り、その豊富な手術経験をロボット支援下手術にも応用して積極的にロボット手術の導入を進めてきました。
腹腔鏡手術・悪性腫瘍手術のエキスパートが中心となってロボット手術を行うことで、良性疾患・悪性疾患ともに安全性と根治性を担保しつつ質の高い手術を提供しています。
当院はロボット手術の見学施設にも認定されており、プロクター(認定医師)の指導を直接受けることが可能です。

肝・胆・膵外科

robot_ope_5.0
手術が難しい肝臓・胆管・膵臓の病気では、お腹を大きく切り開く手術が一般的でした。
ロボットの登場で、その常識はガラリと変わりました。
私たちは、豊富な手術経験をロボットで活かし、“小さな傷でも病気をきちんと治すこと” を目指しています。
厳格な施設基準をクリアし、肝臓・胆管・膵臓のロボット手術を保険で行うことができます。

食道・胃外科

robot_ope_6
胃がん・食道がんに対する鏡視下低侵襲手術は肺合併症や創痛の軽減などの利点があります。
当科では1990年代からの鏡視下手術の経験を活かし、高難度の症例もロボット手術で行っております。
ロボットの最大の利点である手ブレのない精緻な動きにより、更なる低侵襲治療の提供が可能になっております。
根治性を担保した低侵襲手術を行う様心掛けております。
何かございましたら何なりとご相談ください。

大腸・肛門外科

robot_ope_7.2
2015年より大腸がんに対するロボット手術を開始しました。2018年に直腸がんに対する施設認定を取得し、2023年には結腸がんに対する施設認定を取得しました。現在約200例を超える大腸がん症例に対して、ロボット手術を行っています。
また、鼠径ヘルニアに対するロボット手術は2021年から開始し、現在までに約10例の症例を自由診療で行っています。
いずれの手術も安全に導入され、ロボット手術の低侵襲性は患者さんにとっても有用です。

心臓血管外科

robot_ope_8.0
当科では2022年からロボット心臓手術を導入し、僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症を対象に手術を行っています。
ロボット心臓手術の術者である田端医師は、1500例以上の内視鏡下心臓手術の経験を持つエキスパートで、ロボットなしでも3cmの小さな切開で弁形成術や弁置換術を行っています。ロボットの使用が向いている患者さんと不向きな患者さんがおり、個々の患者さんにとって適切な手術方法を選択しています。
ゴールは患者さんの弁膜症を治して、早期社会復帰と長期の健康寿命を同時に達成することです。

小児外科・小児泌尿生殖器外科

robot_ope_koga
当科では、小児外科疾患に対するロボット支援手術 (ロボット手術)を本邦でいち早く導入し、現在、ロボット手術の資格を有する医師が4名おります。
ロボット支援を用いることで、腹腔鏡・胸腔鏡手術よりも精緻な手術が可能となり、これまでに胆道拡張症手術腎盂形成術縦隔腫瘍切除などを安全に施行して参りました。
当科の小児外科疾患に対するロボット手術件数は国内最多になります。

耳鼻咽喉・頭頸科

robot_ope_10.0
咽喉頭がんに対するロボット支援下の経口的腫瘍切除(以下:ロボット手術)が2022年4月から保険収載され通常の医療保険で行えるようになりましたが、当院ではいち早く2020年よりロボット手術を導入しております。
対象となる主な疾患は中咽頭がんです。ロボット(da Vinchi)の細いアームを口の中に挿入し、3D画像を見ながら細かな手術操作が行えることから、正確かつ安全にがんを摘出することができます。また従来からの頸部を外から切開する方法と比較すると、患者さんへのダメージも少なく済むようになりました。