内容
アテゾリズマブはPD-L1*2を標的とする免疫チェックポイント阻害薬*3であり、がん細胞による免疫抑制を解除することで抗腫瘍免疫を回復させ、がんの進行を制御する作用を有します。MARBLE試験は、全国15施設が参加する多施設共同の単群第Ⅱ相試験として実施されました。2022年6月14日から2023年7月6日の期間に48人の患者が登録され、以下の治療プロトコールに従い実施されました。
導入療法:カルボプラチン(AUC 6)、パクリタキセル(200 mg/m²)、アテゾリズマブ(1200 mg)を3週間ごとに投与(最大6サイクル)。
維持療法:アテゾリズマブ単剤を3週間ごとに投与(最大2年間)
試験の主要評価項目*4は独立中央判定*5による客観的奏効率(ORR)*6で、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)*7や全生存期間などが含まれました。
主要評価項目であるORRは56%(95%信頼区間: 41–71%)を達成しました。PFSの中央値は9.6ヶ月であり、病勢制御率(DCR)*8は98%でした。有害事象*9については、好中球減少症(56%)や白血球減少症(33%)が最も多く報告されましたが、これらはコントロール可能な範囲内と評価されました。
この結果より、アテゾリズマブは2025年3月31日に切除不能な胸腺癌に対する希少疾病用医薬品の指定を厚生労働省より受け、同年5月14日に承認申請が行われ、12月22日に適応が拡大されるに至りました。
今後の展開
順天堂医院は、厚生労働省が定める臨床研究中核病院(2026年1月21日現在、国内16施設)です。引き続き、革新的医薬品や医療機器の開発の中心的役割を果たすために、質の高い臨床研究や治験を推進して参ります。
また、本研究を通じて構築された多施設連携ネットワークを活用し、引き続き、胸腺癌を含む希少がん領域における臨床研究を推進するとともに、実臨床データの収集・解析、そして、腫瘍組織検体や血液検体を用いたトランスレーショナルリサーチ
*10を進めることで、より最適な治療戦略の確立を目指します。