背景
膵がんの検査・診断法の現状について
膵がんの予後を改善するためには、早期診断と精密な治療方針の決定を実現させることが必要です。特に1cm未満の微小膵がんの発見・治療は生存延長効果がある注と期待されており、その手法開発が求められています。
膵がんの標準的な診断として、血液検査や超音波検査で膵がんが疑われる場合、造影CT(コンピュータ断層撮影)検査、造影MRI(核磁気共鳴画像)検査、超音波内視鏡検査が行われます。これらの検査によって診断されなかった場合には、内視鏡を用いて十二指腸乳頭部から膵管にカテーテルを挿入し、膵液を採取して細胞の検査(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を行います。また、可能な限り細胞や組織を用いた病理検査により確定診断を行います。しかし、これらの検査法では1cm未満の微小膵がん、転移性病変の検出感度は低いのが現状です。
(注)Egawa S, Takeda K, Fukuyama S et al. Clinicopathological aspects of small pancreatic cancer. Pancreas 2004; 28: 235-240.