研究・学会活動

はじめに

当科では小児外科疾患に関する研究活動を推し進めており、国内外の学術集会や英論文で積極的に研究成果を発表することで、最新の治療や基礎医学の知見を発信しています。
主に、より良い診断・治療を追求する臨床研究と、臨床的疑問から小児外科疾患の病因・病態解明、さらには新しい治療法の開発に繋がるような基礎研究を、順天堂医院をはじめとする順天堂大学附属病院間で共同して進めています。
以下に、学会や論文で発表した研究の一部を紹介します。
~大学院への入学を希望する方へ~
当講座の研究内容に興味があり、意欲のある大学院生(博士課程・修士課程)を募集しています。
順天堂大学大学院の入試情報については、以下のリンクをご参照ください。
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最先端手術手技・医療デバイスを用いた臨床研究

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当科では内視鏡 (腹腔鏡・胸腔鏡・後腹膜鏡) による低侵襲手術や、ロボット支援下手術を小児外科領域でいち早く導入しており (詳細はこちらも併せてご覧ください) 、これまでにその治療成績や技術応用に関する研究成果を発表しています。

ロボット支援下 (da Vinci支援下) 手術の取組み

これまでに、先天性胆道拡張症に対する総肝管空腸吻合術、腎盂尿管移行部狭窄症に対する腎盂形成術、縦隔腫瘍に対する腫瘍切除術を、ロボット支援下に行ってきました。
ロボットを用いた正確な運針により、従来の内視鏡下手術と比較して、総肝管空腸吻合術における吻合に要する時間が減少および術者のストレスが軽減し、また、腎盂形成術においても吻合部の良好な通過が得られることを発表しました。

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Koga H et al., Pediatr Surg Int, 2019. Comparison of robotic versus laparoscopic hepaticojejunostomy for choledochal cyst in children: a first report
Fig. 先天性胆道拡張症に対するロボット支援下総肝管空腸吻合術を行う際のトロッカー配置とロボットアームドッキングの図

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Miyano G et al., J Pediatr Surg, 2023. Robot-Assisted Retroperitoneoscopic Diamond Bypass Pyeloplasty.
Fig. 腎盂尿管移行部狭窄症に対するロボット支援下腎盂形成術を行う際のトロッカー配置とアームドッキングの図

術中の臓器血流を標的とした患児の非侵襲的臓器ストレスモニタリングシステムを導入

臓器別酸素飽和度を非侵襲的にモニタリングする近赤外線分光法に基づく解析方法: INVOSシステム (Covidien;右図) を用いた術中の臓器血流評価が、各疾患・術式における臓器別ストレスの指標となることを発表してきました。特に嚢胞性肺疾患に対する胸腔鏡下手術や、腹壁破裂に対する腹壁閉鎖術など、臓器血流障害に留意すべき手術においては、本法を用いたきめ細やかなモニタリングが推奨されると考えられます。

Miyake Y et al., Pediatr Surg Int, 2022. Significant neonatal intraoperative cerebral and renal oxygen desaturation identified with near-infrared spectroscopy.
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Fig. 腹壁破裂の新生児症例に対する腹壁閉鎖術施行時の臓器別酸素飽和度の経時的グラフ。腹腔内に脱出臓器を還納すると、速やかに腎臓の酸素飽和度低下がみられる。
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Fig. 新生児の嚢胞性肺疾患に対する胸腔鏡下肺葉切除を施行した際の臓器別酸素飽和度の経時的グラフ。脳実質・腎臓の酸素飽和度が頻繁に低下しており、非常に影響を受けやすいことが分かる。

細胞治療・再生医療を目指した基礎研究

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ヒトやマウスなどの組織幹細胞を生体外で培養し増殖させ、機能障害を呈する組織に移植する技術開発を進めており、特に組織に類似した形態機能を示す3D培養:オルガノイド細胞を用いた移植技術などを国内外で発表しています。現在、小動物で得た研究成果を、ヒト細胞や大動物を用いた移植実験に移行しており、将来的には患者さんに新しい治療を提供することを目指しています。

ヒルシュスプルング病に対する腸管蠕動機能向上を目指した移植技術研究

腸管内の神経細胞が欠如するため便秘や腸閉塞症状をきたすヒルシュスプルング病に対して、生理的な神経機能を獲得させる新規治療の基盤を確立することを目指して、Sox-10陽性細胞を蛍光標識するトランスジェニックマウス胎仔 (E18.5) の腸管神経堤細胞からneurosphereを培養し、ヒルシュスプルング病モデルマウスであるエンドセリンレセプターBノックアウト (Ednrb KO) マウスの神経節細胞がない腸管 (E12.5) に、neurosphereを移植する実験を試みました。Ednrb KOマウス腸管に移植したneurosphereは神経節細胞がない腸管に生着するだけでなく、経時的に腸管筋層内へ遊走し、ニューロンマーカーであるTuj1陽性の神経細胞へ分化することが示されました。今後は、移植されたneuro-sphereが効率良く増殖・分化するために必要な微小環境の特性を解析していく予定です。
 
Nakazawa-Tanaka N et al., Pediatr Surg Int, 2022. Increased enteric neural crest cell differentiation after transplantation into aganglionic mouse gut.
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Fig.腸管壁内神経細胞が欠如したEdnrb-KOマウス腸管に、蛍光標識された正常な (WT) 腸管神経堤細胞 (neurosphere) を移植した際の経時的画像。
Sox-10陽性の蛍光標識された腸管神経堤細胞と分化した神経線維が、移植後72時間以内にレシピエントEdnrb-KO腸管の筋層に遊走していく様子が観察される。

神経因性膀胱に対する腸管利用膀胱拡大術後の長期合併症リスクを抑制するためのオルガノイド移植技術開発

二分脊椎に伴う神経因性膀胱の患者さんは、膀胱容量や膀胱コンプライアンス (広がりやすさ) 向上のため腸管利用膀胱拡大術を行う場合があります。術後、膀胱に利用した腸管からの悪性腫瘍発生のリスクを軽減するため、膀胱拡大術に利用する腸管の上皮成分を膀胱上皮成分に置換することを目指して、マウスモデルを用いて膀胱オルガノイドを異個体である大腸組織に移植する技術を確立し、さらに移植された膀胱上皮成分が継続してその性質を保持することを示しました。本研究は、オルガノイド開発研究講座の中村哲也特任教授と協同して進められたもので、今後はさらに大きな動物で、“膀胱上皮化された結腸組織” を用いて膀胱拡大術を施行することで、悪性腫瘍発生などの術後合併症リスクを軽減するかを検証する予定です。
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Suda K et al., Pediatr Surg Int, 2022. Successful engraftment of bladder organoids in de-epithelialized mouse colon.

Fig.腸組織に移植された膀胱オルガノイドが長期生着した様子。
蛍光標識されたマウス膀胱由来オルガノイド細胞は、別個体の大腸に移植されたのち、尿路上皮の形態特徴を保持しながら長期に生着する。H&E染色では、移植が成功した領域 (Graft) ではオリジナルの大腸上皮のように (Recipient) 杯細胞や円柱上皮細胞の成分を有さない。

獲得研究費

当研究室にて獲得した研究費の一覧です。

科研費

2025年度

2024年度

2023年度

2022年度

2021年度

外部助成金

2022年度

2021年度

学内研究費

2022年度

2021年度

関連学会一覧

国際学会

国内学会

主催学会一覧

国際学会

2007年 The 16th International Pediatric Endosurgery Group
2010年 The 23rd International symposium on Paediatric Surgical Research

国内学会

2009年 第26回日本二分脊椎研究会
2013年   第33回日本小児内視鏡外科・手術手技研究
2020年 第57回日本小児外科学会学術集会
2022年 第31回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会