お風呂に入っているときや泣いたときなどに足の付け根 (鼠径部) や陰嚢 (いんのう) が膨らんで見つかります。腸が出ていることが多く、脱腸と言われることもあります。原因は、男児であれば生まれる前に精巣が陰嚢の方へ降りてくる過程でできた通り道に、腸などを包んでいる腹膜が引っ張られて袋状になり生まれた後も残っていることで症状が生じます。女児では子宮を支える組織(円靭帯)により恥骨に向かって腹膜が引っ張られることでヘルニアが生じます。通常はこの袋は生まれるころに閉じてしまいますが、袋状に残っている場合に腸などの腹腔内の臓器が入りこんで膨らむことで見つかります。
通常は膨らんでも自然に戻りますが、戻らない場合は嵌頓 (かんとん) といって臓器が締め付けられて血流が悪くなるため、早急に戻す必要があります。戻らない場合は緊急で手術が必要になり、血流が悪くなり腸管などの壊死が生じた場合は切除が必要になることがあります。
鼠径ヘルニアは稀なケースを除いて自然に治癒することはないため、手術が必要になります。
当院では鼠径ヘルニアに対して以下の方法を用いています。いずれも全身麻酔が必要で入院が必要になります。日帰り手術も行っておりますのでご相談ください。
治療法
鼠径部切開法
ヘルニア嚢の出口にあたる鼠径部を切開し、ヘルニア嚢の根元で二重に糸でしばって腸などが脱出しないようにします。
LPEC
お臍に腹腔鏡のカメラを挿入し、お腹の壁から糸を通した針を刺し、お腹の中から観察しながらヘルニア嚢の根元をしばる方法です。