Jones骨折とは?

第5中足骨疲労骨折は、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど素早い動きを繰り返して行うスポーツの競技選手によく発生します。発生要因は一つの原因ではなく、様々な因子が関与していると考えられておりますが、欧米と比較して日本人に発生しやすいと言われております。

何故発生するのか?


疲労骨折は、一度の強い衝撃が骨に加わって骨折してしまう通常の骨折とは異なります。日々のトレーニングで骨に疲労が蓄積した結果として骨が脆くなってしまい、通常では骨が折れないような軽い捻挫や片脚で踏ん張るなどの動作の際に、骨が折れてしまいます(写真1)。骨が脆くなっていく過程で、痛みを感じる(前兆)選手もいれば、特に痛みは感じず完全に骨折してしまってから疲労骨折に気付く選手もおります。

疲労骨折の治療は保存療法が原則と考えられていますが、保存療法の場合、スポーツ復帰までの期間が極めて長く、また治療成績も安定していないため、トップアスリートや早期に確実なスポーツ復帰を望む場合は、必ずしも保存療法が第一選択になるとは限りません。疲労骨折の原因には、トレーニング内容と伴に、アライメント異常(O脚など)などの骨格的問題が関係していますが、骨格的な問題が大きい場合、保存療法によって一時的に治癒したとしても、骨格的問題は改善されないため再発のリスクが残ります。

当科では、難治性疲労骨折である脛骨跳躍型疲労骨折と第5中足骨疲労骨折に対しては、髄内釘(骨の中にストレスを減らすためのチタン性の補強材)を用いた手術療法を導入して、日本代表のアスリートも含めて多くのスポーツ選手を早期に現場へ復帰させています。

Jones骨折01写真1:矢印の部分に疲労骨折が認められます。盛り上がり厚くなった骨や、固くなった骨(レントゲンでは白く映ります)が骨折部の周囲に認められ、繰り返して骨に疲労が蓄積した結果を物語っております。

予防は出来るか?

第5中足骨は足の外側にある骨ですので、特に体重を足の外側にかけた時に骨にしなりやねじれの力が強くかかります。そのため、この疲労骨折のリスク因子としては、外側へ荷重しやすい方や固いグラウンドでハードなトレーニングをする事、不適切なシューズの選択など、個体の因子(身体のつくりや足の使い方の癖)と環境の因子が挙げられます。

また、ビタミンやミネラルをはじめとした栄養状態の不良や月経不順なども骨を弱くする要因となります。私たちは、こうした知見から、特に疲労骨折の発生が多い高校生や大学生のサッカー選手での予防の取り組みを2010年から行い、疲労骨折の発生を減らすことが出来ました。予防啓発のポスターをご参照ください(写真2)。
Jones骨折02写真2:このポスターをロッカールームなどに掲示し、予防を啓発します。チーム関係者の理解が必要です。

治療

この骨折は、難治性(なんちせい)骨折で治りにくいと言われております。その最大の理由は、一度骨が治っても、スポーツ活動を再開するともう一度骨折してしまう事が多い(再発)からです。繰り返しになりますが、疲労骨折は骨への軽いダメージが蓄積する事によって生じますので、骨が一度ついても、疲労が蓄積する要因を取り除かずにスポーツ活動を再開してしまうと、同じ経過の繰り返しとなってしまいます。

特に若い選手にこの骨折は生じやすいですが、若い選手ほど同級生やチームメイトと一緒にプレーできる時間は限られておりますので、疲労骨折が再発するとその治療のためにプレーできない期間は6~12か月と非常に長い期間を要する事もあり、大変な損失となります。そのため、再発を予防する事がこの骨折の治療の最大の目的となります。

Jones骨折03
写真3:スクリュー固定術後(左)と治癒後(右)です。骨にかかる力が分散された結果、骨折部の周りの異常に盛り上がった骨は自然に吸収されています。
再発を予防するためには、前述の予防ポスターで述べたように、環境や個体因子の改善をすることがとても大切ですが、整形外科で行える再発予防としては、手術加療があります。骨にかかる力を分散させ、骨への慢性的なダメージを減らすために、当院では骨の中に金属のスクリューを入れる手術を行っております(写真3)。

手術後の復帰期間には個人差もありますが、手術後6週からジョギングを行い、サッカーなどの試合へ出場出来るレベルに回復するには平均2~3ヶ月を要します。手術の目的は再発の予防ですが、手術をしなかった選手と比較すると、再発は1/3以下に減らすことが出来ます。スクリューを抜いてしまうと、再び骨にかかる負担が大きくなってしまいますので、スクリューを抜去する手術は行っておりません。手術をすることで、骨にかかる力を和らげることは出来ますが、個体因子や環境因子の改善も併せて行う事が、この骨折の再発と予防には重要です。