リハビリテーション科の基礎になる大学院リハビリテーション医学教室は平成15年(2003年)に開設されました。リハビリテーション医学の目指すところは、肢体不自由とよばれる運動障害に向けられるだけではありません。超高齢化社会をむかえ、多くの人々が複数の慢性疾患を抱えていることがまれでない状況が起こっています。リハビリテーションの対象として従来考えられてきた、四肢の運動障害のみならず、高血圧・糖尿病・高脂血症・呼吸器疾患・腎疾患など内科疾患、認知症やうつなどの精神科疾患、視覚・聴覚などの感覚器などにも及んでいます。慢性疾患では、治癒は困難であり、さまざまの程度に障害を持った状態で、しかし、種々のサービスを活用することによって自ら望むような生活を少しでも長く続けることが目標になります。リハビリテーション医学とその背景に流れる思想は、社会的役割をもつ人間に強く根ざしています。リハビリテーションに関する知識・技術は、先進医療を受けておられるすべての患者さんにとって役立つものです。
リハビリテーション科は平成18年7月から順天堂医院に創設され、外来を開始いたしました。包括評価(DPC方式)をとるようになり順天堂医院の平均入院期間は14日ほどになっています。この短い期間であればこそ、最大の治療効果を目指すとともに機能の回復・維持が重要になります。その後の経過を考慮すれば、院内各科、関連病院や地域医療との連携が重要になります。"一人ひとりの方の機能を高めるために順天堂から社会へのサービスの連続"が私たちの重要な目標です。