研究
脳神経外科では臨床に即した基礎研究を行っています。多くの研究は学内、学外の施設と共同のプロジェクトです。研究の推進のために国内・国外の協力施設への留学が可能です。
研究に携わる専攻生・大学院生は随時募集しています。
留学施設
国内
- 防衛医科大学校(所沢)
- 国立循環器病研究センター(大阪)
海外
- University of Florida(Florida)
- MD Anderson Cancer Center(Huston)
- Northwestern University(Chicago)
- University of Toronto(Toronto)
- International Neuroscience Institute(Hannover)
研究テーマ
水頭症
特発性正常圧水頭症の髄液バイオマーカーの探索
特発性正常圧水頭症(iNPH)は、歩行障害,認知障害,排尿障害といった特徴的な症状を呈し、画像上で軽度脳室拡大はあるものの髄液圧は正常範囲内にとどまり、さらに、治療として髄液シャント術を行って髄液の排出を促すとこれらの症状が改善する疾患である。このように、iNPHは症状と画像所見ならびに髄液シャント術への反応性で診断され、現状では定量的な検査法がない。よって、診断に有用な定量検査法を確立する事は喫緊の課題である。
これまでに当教室では髄液中の蛋白質についてプロテオーム解析を行い、分子マーカーの同定を試みたが、iNPHに特異的に変動する蛋白質の同定には至らなかった。これを受けて、定量RT-PCR等で高感度検出が期待できるRNA分子に着目し、髄液中RNAマーカーの探索を行っている。
水頭症の原因遺伝子の探索と水頭症の発現機序の解明
先天性水頭症の原因を解明し、新たな治療法を確立することを目的として、家族性水頭症と先天性水頭症ラットを対象に、次世代シークエンサとDNA マイクロアレイを用いて、水頭症の原因となる遺伝子を探索している。当教室では、これまでに1家系において、線毛運動に重要なダイニン遺伝子の欠損を同定した。水頭症の発現と上衣線毛、特に交連下器官との関連に着目し、研究を進めている。
髄液シャント術による認知機能障害の予防効果
iNPHはアルツハイマー型認知症(AD)を高頻度に合併することが報告されている。ADは脳内のベータアミロイドの排泄低下が原因の一つと考えられおり、iNPHは髄液の吸収(排泄)障害が原因と考えられている。すなわち、両疾患には脳内の老廃物(ベータアミロイドなど)の排泄を障害する共通の病態が存在する。髄液シャント術には、髄液中の老廃物を腹腔内に排出することにより、ベータアミロイドよる神経細胞障害を抑制するはたらきが期待される。ADを合併したiNPHを対象に、術後の認知機能の推移と髄液中のベータアミロイドとタウ蛋白、脳へのアミロイドの沈着をモニターし、認知症に対する髄液シャント術の予防効果について研究を進めている。
脳腫瘍
頭蓋咽頭腫における遺伝子発現様式の検索
頭蓋咽頭腫は、組織学的には良性腫瘍に分類されるが再発例も多く、治療に難渋する症例も多い。また、腫瘍形成に関する研究は少なく、近年β-catenin gene(CTNNB1)変異によるWnt/β-Catenin Signaling異常の報告やBRAF遺伝子の変異の報告が散見されるのみである。当研究室では、主に腫瘍の遺伝子発現と治療反応性および臨床経過を比較検討することによって、頭蓋咽頭腫の分子生物学的特徴および腫瘍発生の原因探求を行っている。
下垂体腺腫における遺伝子発現様式の検討
下垂体腺腫は、分泌ホルモンの過剰症状により発見される機能性下垂体腺腫と、臨床的には活性を有するホルモン分泌を伴わない非機能性下垂体腺腫に分類されるが、前者においては、腫瘍を縮小させるもしくは症状を緩和させる薬剤が開発され、外科的治療に取って代わる可能性がある。それに対し後者は、外科的手術が治療の第一選択とされる。巨大(>4cm)下垂体腺腫に対する外科治療は合併症および死亡率(5-18%)が高く、非侵襲的な治療方法の確立が望まれている。当研究室では、腫瘍細胞における転写産物の発現様式により新たな腫瘍分類を構築し、内分泌学的活動性との相関を評価している。また臨床経過を加味し、腫瘍特異的に発現している転写因子については、治療のターゲットとしての可能性を検討する。
機能外科
次世代拡散MRIおよび機能MRIを用いた言語機能獲得機序の解明(文科省・基盤研究C)
言語(英語)を獲得する過程における言語関連領域の活性化およびネットワーク形成を拡散MRIと機能MRIを用いて解析を行う。教養課程、看護学部との共同研究
希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究(厚労省科研)
難治性てんかんを生じる希少疾患の全国的なレジストリ構築により、本邦での各疾患の特徴と適切な治療法を考案する。
結節性硬化症に対する予防的抗てんかん治療
結節性硬化症と診断をされた小児に脳波検査を行い、脳波検査上異常波が検出された時期より抗てんかん薬による治療を開始することで、てんかんの発症を抑制する研究。抗てんかん薬投与によっても発作が抑制されないときには、早期にmTOR阻害薬による治療や外科治療を行っていく。結節性硬化症センター、小児科との共同研究。
スタージウェーバー症候群による遺伝子異常の解析
顔面血管腫や頭蓋内軟膜血管腫の組織より遺伝子異常の解析を行い、早期診断と確定診断が可能であるかを考察。また、新たな遺伝子異常の検出を目的とする。
脳血管障害
日本国内の脳神経血管内治療に関わる登録研究
過灌流症候群高リスク例に対する頚動脈ステント留置術に関する後ろ向き研究 スタチンによる小型脳動脈瘤の増大抑制および破裂予防効果に関する多施設ランダム化比較試験
その他
チーム基盤型学習による脳神経外科シュミレーション教育プログラムの開発
学会活動
国内学会
他
国際学会
- World Federation of Neurosurgical Societies
- American Association of Neurological Surgeons
- Congress of Neurological Surgeons
- International Society for Pediatric Neurosurgery
他