臓器 | 主な疾患名 | 主な症状 | 病態と治療 |
肝臓 | 肝細胞がん | 自覚症状に乏しい。癌が進行すると腹水、黄疸が出現することが多い | 肝細胞がんは腫瘍個数、サイズ、肝機能に基づいて治療方法を決定します。切除困難症例や、不能症例には、血管塞栓術、化学療法、ラジオ波による凝固、焼却術を組み合わせた治療を行っています。 |
肝内胆管がん | 無症状~黄疸症状など様々 | 肝臓内の胆管から発生した悪性腫瘍。原則として手術切除が最も治療成績がよく、当科では、肝切除、肝外胆管切除など積極的な手術治療を行っています。 | |
門脈圧亢進症 | 静脈瘤のからの出血に伴う吐血、下血 | 肝硬変などによって肝臓へ流入する血液が肝臓へ入りにくくなってしまった場合、本来肝臓へ流入するべき血液の行き場が無くなり食道や胃の静脈へ逆流してしまう状態。このため、静脈の怒張がおこり出血しやすくなります。破裂した場合は大量出血を引き起こし重症となります。 治療は、内視鏡的に静脈瘤を結紮あるいは固めてしまう治療、血管内にカテーテルと呼ばれる管を入れて静脈瘤を詰めてしまう方法などの内科的治療と、手術にて直接静脈瘤を結紮切離する方法があります。現在、我々の施設では患者さんごとに状態を検討し内科的治療と外科的治療を組み合わせて最も効果の得られる治療法をして実施しています。 | |
転移性肝がん | 無症状~肝機能障害など様々 | 肝以外に発生した癌が肝臓に転移したもの。“ステージ4”の状態ですが、大腸がんからの肝転移は、切除により根治を目指すことが出来ます。当科では、転移の個数が多い場合でも、化学療法を組み合わせ、積極的な手術治療を行っております。 | |
胆嚢 | 胆嚢炎 | 高熱、右上腹部痛、黄疸 | 胆嚢に何らかの原因で炎症が生じたもの。胆嚢結石を伴うことが多いです。 治療は、食事制限、抗生剤投与などの保存的な治療や、外科的治療(胆嚢摘出術など)を組み合わせて行います。 |
胆嚢結石症 (胆石症) |
上腹部痛 | 胆嚢は肝臓で作られた消化液である胆汁を一時的に蓄える臓器だが、胆汁がうっ滞することによりこれが結石化したものです。胆石が胆汁の通り道に詰まると炎症を引き起こし、場合によっては黄疸が出現します。 治療は、上記症状があるものはあるものでは原則的には外科的治療として胆嚢摘出術を行います。 | |
胆嚢がん | 進行すると腹痛(心窩部痛、右上腹部痛)、黄疸 | 胆嚢内に出来た悪性腫瘍。80%の胆嚢がんの患者は胆石を合併しています。 治療は、内科的治療(化学療法など)や、外科的治療(胆嚢がん手術)を行います。 | |
胆管 | 総胆管結石 | 腹痛、黄疸、 白色便 | 胆石が胆管と呼ばれる胆汁の通り道に落下したものが多い。胆汁のうっ滞がおこり胆管炎、腹痛、黄疸などが出現します。 内視鏡的下に胆管の十二指腸への出口から結石を取り出す方法や、手術的に胆管を切開して除去する方法などがあります。 |
肝外胆管がん | 腹痛、黄疸、 白色便 | 胆管にできた悪性腫瘍。大きくなれば胆汁うっ滞(胆汁が十二指腸に流れなくなる)が起こります。 治療は、外科的切除が可能であれば切除が第一選択です。その他にも、放射線治療、化学療法などを組み合わせて治療を行います。 | |
膵臓 | 膵内分泌腫瘍 | 分泌するホルモンによって様々 (低血糖など) | 膵ホルモンを分泌する細胞が腫瘍化したもの。ホルモンの過剰分泌によるさまざまな症状が出現します。 例):インスリノーマ (インスリン産生腫瘍:インスリン過剰分泌による低血糖症状) 治療は、外科的に切除摘出することが有効な治療法になることが多いです。 |
膵がん | 腹痛、腰背部痛、黄疸 | 膵臓に出来た悪性腫瘍。難治癌として知られていますが、化学療法の進歩により、治療成績は飛躍的に向上しています。当科では、切除困難とされる症例に対しても、手術前の化学療法で癌の勢いを抑えた上で、血管再建などを組み合わせ、癌の完全切除を目指します。 | |
脾臓 | 脾腫 | 貧血、出血傾向 | 門脈圧亢進症に伴って出現することが多い。脾臓は血液中の不要な成分をろ過する役割があり、脾臓が大きくなると血液中の血球成分が少なくなります。これにより貧血、出血傾向が出現することがあります。 治療は、脾腫を引き起こしている原疾患によってさまざまですが、外科的に脾臓摘出術を考慮することがあります。 |
脾嚢胞 | 腹部膨満 | 脾臓に出来た袋状の腫瘍。良性の場合がほとんどだが、大きくなったり、多発して腹部の膨満などの症状が出現した場合は治療を行うことがあります。 |