気管支喘息(以下、喘息)は、症状がひどいとき、増悪しているとき、発作をおこしているときだけが喘息ではありません。もちろん悪化しているときに適切な治療を受けて、改善を得ることはとても大切なことです。ですが、それで終わりではありません。症状がないときも喘息はつづいています。気管支の炎症がくすぶっています。この遷延する炎症を治療することが、次の悪化を抑制し、呼吸の機能が低下することを抑制します。逆に適切に治療を受けないでいますと、次の悪化や呼吸機能低下を引き起こす可能性があります。症状がおありになる喘息患者さんがたが適切な治療を受けられることを願っております。
当院では、日本アレルギー学会アレルギー専門医(内科)・指導医である原田を中心に、長岡、伊藤、笹野、上田(2023年7月より)の体制で週6回の喘息専門外来を行っています。吸入ステロイドの進歩、普及に伴い喘息は良好な管理が可能となってきました。大事なことは、症状のない時も喘息であるという認識と、管理良好な症状のない状況を維持することです。これを達成し得る治療が吸入ステロイドです。吸入ステロイド薬の使用には、吸入手技の習得が不可欠です。当科外来では看護師がしっかりと吸入指導を行います。1度より2度以上の指導を受けると習得率が上がりますので、再指導をご希望される方はお申し付けください。また、吸入ステロイドと共に大事なことに環境整備と併存症管理があります。喫煙を続けながら、ペットと添い寝しながら、部屋の掃除を放置したままなど環境が整わない状況下、あるいは、鼻炎、副鼻腔炎、胃食道逆流症、睡眠時無呼吸症候群などの併存症管理が不十分な状況下では、喘息管理状況を良好に保つことが困難となります。適切な環境整備と併存症管理をご一緒に考えて参ります。
また、吸入ステロイドを適切に使用され、環境整備や合併症管理も実現可能な範囲で適切に行われていても喘息管理状況が不良な難治性とされる喘息患者さんは喘息患者さん全体の5-10%ほどいらっしゃいます。当院では、喘息関連治療薬の処方数は全国でも有数の処方数を誇っていますが、なかでも、難治性喘息患者さんに有効である生物学的製剤の使用経験に富んでいます。この生物学的製剤と呼ばれる薬剤は、現在日本では5種類が使用可能です。5種類すべてが抗体医薬品であり、喘息の炎症に関わる分子を標的にし、それらを阻害することで炎症を抑制し、喘息の増悪を抑制します。5種類それぞれに違いがありますので、使用経験が豊富な私共にご相談頂けましたら幸いです。これら生物学的製剤治療は非常に高額ではありますが、高額療養費制度などをご紹介させていただきながらご案内させていただいています。
そのほか新規薬剤の治験も積極的に行っていますので、お問合せいただけたらご案内させていただきます。また、スギ花粉症合併喘息患者さんには、スギ花粉舌下免疫療法の併用も積極的に行っていますので、その必要性についてなどご相談ください。