肺がんや縦隔腫瘍といった胸の中に発生する腫瘍(主に悪性腫瘍)に対する手術は従来は大変大きな皮膚切開を要しました。私が研修医だったころの教科書には皮膚切開50cmとの記載もありました。1990年代に胸腔鏡という内視鏡を手術に用いることが世界で行われる様になって、日本でもいち早く導入されて現在では胸腔鏡を用いた手術が標準となって居ます。そして現在は医療用のロボットを用いた手術が保険で行えるようになりました。ロボット手術は世界的には泌尿器や婦人科の手術で大変に普及しておりますが、当科では保険収載前にいち早くこの方法を肺がんの治療に取り入れております。すでに800例以上の手術がロボットをもちいて行われる様になりました。従来の胸腔鏡に比べて精度の高い手術、そしてこれまでにはできなかった複雑手術も安全に低侵襲で行えるようになっております。一方でロボットが適さない手術もあり、的確に適応をわけてご説明申し上げます。ご希望の方は是非とも受診なされてください。心よりお待ち申し上げております。
令和4年6月
呼吸器外科 鈴木健司