慢性骨髄性白血病とは

慢性骨髄性白血病は著明な白血球増加や血小板増加を特徴とする腫瘍性疾患です。9番染色体と22番染色体の一部が入れ替わることにより形成されるフィラデルフィア染色体が特徴です。自覚症状の乏しい慢性期で多くの症例(85%)が診断されますが、未治療では移行期を経て、急性白血病に類似する急性転化期へ進展し致死的になります。年間10万人あたり1.5人程度発生し成人における白血病全体の約20%を占めます。男性にやや多く、発症年齢の中央値は45-55歳で、人種による発症率の差はありません。放射線被爆などが原因となりますが多くの症例では原因は明らかではありません。

慢性骨髄性白血病の症状

初期の段階ではほとんど症状がありません。そのため健康診断などで白血球数の増加を指摘され見つかる場合が半数以上を占めます。脾腫を伴う場合、腹部膨満感は比較的見られる症状です。一方、病気が進行すると急性白血病に類似する症状(感染症、易出血状態、貧血症状、各種臓器への白血病細胞の浸潤に伴う症状など)が現れます。

慢性骨髄性白血病の診断と検査

慢性骨髄性白血病では白血球が著明に増加し、血小板も増加していることが多いです。血液中に、通常では認められない骨髄芽球から後骨髄球までの幼弱な骨髄球系細胞が出現するほか、好塩基球が増加する点も特徴的です。フィラデルフィア染色体を染色体分析で検出することで確定診断されます。

慢性骨髄性白血病の治療

慢性骨髄性白血病の治療には分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)を用います。病期が進行した場合は分子標的薬の変更や化学療法との併用、造血幹細胞移植が検討されます。

助教 渡邊直紀