入院期間
入院は基本的に術後約1週間程度ですが、腫瘍の状況により入院期間の短縮は可能です。一方、合併症等により退院が延期になる可能性があることをご了承ください。
- 手術の順番は、入院後お話します。
- 手術時間は約1時間半程度ですが腫瘍の状況により延長します。
- 手術終了後、ご本人やご家族へ手術についてご報告いたします。摘出腫瘍の病理検査の結果については退院後に外来でご説明します。
- 病理検査の結果によっては追加治療が必要になる可能性があります(がんが判明するなど)
麻酔
- 手術は全身麻酔で行います。麻酔に関しては麻酔科の医師より説明があります。
- 手術前日21時より手術後翌日の朝まで飲食禁止です。
- 手術当日朝、水分を摂るための点滴を入れます。(1件目以外)
術式
腫瘍の状況によりますが、良性腫瘍の中で一番多い「多形腺腫」の場合には腫瘍周囲に約5mm程度の距離をつけて腫瘍を摘出します(患者さんの病状によりこのかぎりでないことをご承知おきください)。耳下腺の中を走行している顔面神経(顔の筋肉を動かす働きをしている)は、温存します。
- 当科では基本的に皮膚切開を頭髪の生え際近くに設定する皮膚切開(Face-lift incision)にて手術を行っています。この方法により、より術後の傷が目立たなくなります。(腫瘍の位置によっては本方法で行わない場合もあります)
- 耳たぶの感覚をになっている神経を残しながら、耳下腺を露出させます。
- 顔面神経を確認し傷つけないようにします。 当科では神経モニタリング装置を用いて確実な神経の温存につとめています。この装置は鋭敏に神経の位置を探索できるので、安全に手術が行えます。
- 腫瘍周囲から約5mm程度離しながら耳下腺を切除します。摘出後、Frey症候群等の予防の工夫をし、ドレーンを留置して手術終了です。
(ドレーンは傷の脇から挿入するゴム製のチューブで手術後2~3日後に抜きます。)
合併症の可能性
- 痛み(薬でコントロールできる範囲です)・出血(小量です)
- 耳垂(みみたぶ)の感覚麻痺
- 傷の違和感(つっばる感じなど)
- 顔面神経麻痺 顔面神経麻痺が起こると閉眼困難になったり表情を作るのが困難になります。麻痺がおきても一過性のことがほとんどですが、なかには生涯にわたって継続する可能性も稀にあります。
- Frey症候群(フライ症候群) 術後しばらくしてから食事摂取時に手術部位が赤くなり発汗する現象です。
- 麻酔薬に対するアレルギー反応(まれ)(麻酔薬アレルギーある方は、必ずお伝え下さい)
退院後
翌日からのお仕事への復帰も可能です。
首の安静の必要は無く、運動も問題ありません。
良性腫瘍の場合には一度外来を受診していただき傷のチェックを行います。その際、異常なければ終診となります。
悪性腫瘍の場合には追加治療の可能性や以後の定期的受診が必要となります(再発のチェックを行います)。
耳下腺腫瘍の超音波検査とMRI検査
耳下腺腫瘍手術の際の切開ライン
実線が当院で採用しているFacelift切開ライン
点線が従来の切開ライン