人工内耳植込術とは

人工内耳は、現在世界でもっとも普及している人工臓器の1つであり、補聴器の装用効果が不十分である方に対する唯一の、手術による聴覚獲得法です。人工内耳はその効果に個人差があり、手術直後から聞こえるようになるわけではありません。術後に聴覚リハビリテーションを行うことにより、多くの場合徐々に言葉が聞き取れるようになっていきます。そのため、手術以上に術後のリハビリテーションが非常に大切です

入院期間

入院期間は基本的に約1週間程度です。めまいや感染などの合併症により入院期間を延長する可能性もあることをご了承ください。

術式

耳の後ろに皮膚切開を加え、側頭骨に人工内耳を埋め込む手術です。皮下に受信装置を埋め込むとともに、電極を蝸牛内に挿入します。多くの場合、顔面神経(顔を動かす神経)や鼓索神経(味覚を司る神経)のすき間から電極を挿入するので、耳科手術の経験豊富な術者による手術が望ましいと考えます。

人工内耳植込術01

合併症の可能性

  • 痛み:薬でコントロールできる範囲です
  • 出血:少量です
  • 難聴:成績には個人差があります
  • めまい:通常は術後数日以内におさまることがほとんどです
  • 感染:人工内耳が体に合わない場合は、埋め込んだ人工内耳を摘出せざるを得ない場合もまれにあります
  • 顔面神経麻痺
  • 味覚障害

退院後

術後1週間程度はめまいが生じる場合があります。
聴覚リハビリテーションは術後1か月程度を目安に開始します。
経験豊富な言語聴覚士による定期的なリハビリテーションに通院いただく必要があります。
人工内耳を埋め込むため、術後はMRI検査を受けるのに制限が加わります。手術後にMRI検査を受ける場合は、事前に当院までご連絡ください。

人工内耳植込術02