HoLEP(ホルミニウムレーザー前立腺核出術)

HoLEP(ホルミニウムレーザー前立腺核出術)について

HoLEP(ホーレップと読みます)は前立腺肥大症による種々の排尿障害を治療する治療法です。全身麻酔で行われ、予定する入院日数は6日間程度です。
手術は全身麻酔下に実施される内視鏡手術になります。(合併症が多い患者様は腰椎麻酔でも手術可能です。)尿道から内視鏡を挿入し、大きくなった前立腺の内腺と呼ばれる、前立腺の内側の部分をレーザーを利用して丸ごとくり抜きます。くり抜いた後に、前立腺の止血と、くり抜いた内腺の回収を行い(モーセレーションと呼びます)、尿道にカテーテルを留置して手術終了となります。手術は2-3時間。手術2日後にカテーテルを抜去し、手術3-4日後に退院となります。

手術によって尿道を圧迫していた原因の内腺がくり抜かれることで、尿の勢いの改善と、頻尿などの排尿障害の症状改善が期待できます。尿閉でカテーテルが留置されていた方は、術後から自排尿ができるようになりカテーテルフリーが期待できます。
TUR-P、REZUM、ウロリフト、CVPなどの他の前立腺肥大症の術式と比較して、尿の勢いの著明な改善が特徴的な治療法です。尿道から内視鏡を挿入する手術ですので、お腹は切りません。(これは他の前立腺肥大症の術式も同様です。)

HoLEP手術の特徴

  1. レーザーでの治療は安全性の高いものです。従来の内視鏡手術よりも出血や合併症が少ないと報告されています。
  2. 他の術式と違って、前立腺内腺を取り残すことが少ないため、前立腺肥大の再発が少ないことが特徴です。(他の術式は前立腺肥大が5年程度で再発してくることが問題となります。)
  3. 大きな前立腺肥大症にも対応できることが特徴です。前立腺が大きくて手術を断られた方はぜひご相談ください。
  4. 前立腺肥大症が再発された方も手術可能です。
  5. 手術には健康保険が適応されます。手術費用は約20万円の3割負担となります。こちらに入院費用、麻酔費用などを含めますと、3割負担:14万円、1割負担:5万円程度となります。この費用は保険で定められたものですので、ほとんど全国一律の料金となります。

手術前後の前立腺・尿流の変化例

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肥大した前立腺内腺(赤枠で囲まれた部分)がHoLEPによって前立腺内腺が取り除かれて、尿道が広がっていることがわかります。前立腺外線(青枠で囲まれた部分)は温存されています。これにより、尿の勢いの改善や、尿閉でカテーテルが留置されていた方も自分での排尿(カテーテルフリー)が期待でき、カテーテルなしでの生活が期待できます。

外来の様子 (初診~手術まで)

初診~検査安全かつ、有効な治療とするために以下の検査を受けていただきます。
気になることがあれば、初診の時点でご質問いただければなるべく迅速に回答を心がけます。
  • 尿の勢い検査(ウロフロメトリ):尿の勢いを確認し、手術が必要な方か薬剤による治療でも十分な方かを判断します。
  • 前立腺MRI:前立腺のサイズ、形態を評価します。手術によって、治療効果が期待できるかどうかをチェックしていきます。
  • 術前検査:血液検査、心電図、レントゲン、心臓エコー検査、肺活量検査を行い、安全に手術が行えるかを判断します。
  • PSA検査(血液検査):PSA値が高い場合は手術前に前立腺生検という前立腺癌があるかどうかの検査を、こちらも2泊3日で入院の上提示する場合があります。
  • 膀胱機能検査(ウロダイナミックスタディ):HoLEPの治療効果には膀胱の収縮力が残されている必要があります。膀胱収縮力が極端に低い場合はHoLEPを行っても治療効果がない可能性があるためです。前立腺サイズが小さいにも関わらず、尿閉や尿の勢いが低下している場合には追加される場合のある検査です。
担当医による手術説明同意書を用いた手術説明を行います。HoLEPも他の手術と同様に様々なリスクがあります。一例として術後の尿漏れがあります。尿の勢いは非常に良くなったものの、術後尿漏れが続くため、一部の方はパッドを使用していく必要があります。
麻酔科による術前診察手術に同意をいただけた場合は、麻酔科の術前診察が外来であります。


入院の様子

入院日入院中の生活や手術・麻酔の説明があります。必要に応じて検査があります。
手術日手術室へ。手術時間は3時間程度です。術後は回復室でしばらく様子を見てからお部屋に戻ります。当日はベッドで安静にしていただきます。手術後は傷の安静の為尿道に管が入っています。
痛み止めは十分に使用しておりますが、痛みが出たりする場合がありますので、適宜お声がけ下さい。
術後1日目歩行開始、食事も可能です。特に制限はありません。
術後2日目尿道に入っていた管を抜きます。管を抜いた後は排尿の記録をつけていただきます。
術後3日目以降血尿の有無や排尿の回数など、排尿の状態を確認します。
退院日午前中に退院が可能です。退院後は2週間程度で外来を受診いただきます。退院時に次回外来の予約票をお渡しします。


退院後の様子

退院してから退院後に大きな制限はありませんが、念のため術後1か月の初回外来までは 再出血のリスクを抑えるために飲酒は少量、ダンベルなどの筋力トレーニングは控えていただいております。ジョギングなどの軽運動は退院後から可能です。
退院後の外来フォロー術後から排尿障害に対する泌尿器科のお薬は終了となる場合が多いです。
患者様の症状に合わせて、適宜調整してまいります。
また、HoLEPで核出した前立腺検体の病理結果の説明、尿漏れがある場合は骨盤底筋体操やβ3刺激薬での内服加療を検討します。
順調であれば、術後1,3,6,12か月の外来受診にて終了となります。種々の事情で通院が大変な方は主治医と相談の上回数を減らすことが可能です。