ロボット(ラパロ)副腎摘除術

~手術で治る高血圧治療(副腎腫瘍)~

本項では副腎腫瘍に対する手術療法について解説いたします。
一般的な副腎腫瘍の病態や治療に関しては、当科ホームページ「副腎腫瘍」(https://juntendo-urology.jp/disease/adrenal_tumor/)の項をご覧ください。

副腎腫瘍

高血圧、糖尿病、肥満でお困りではありませんか?
これらの病気が手術で治るとしたらどうでしょう。
原発性アルドステロン症という病気を聞いたことはありますか?
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高血圧というと血圧を下げるために何種類も薬を飲んだり、またずっと飲み続けないといけないと多くの人が思われています。確かにその必要がある患者様もいらっしゃいます。しかし、中には手術で高血圧が改善し、内服薬を中止することが可能な方もいます。
また、クッシング症候群や褐色細胞腫という病気を聞いたことがありますか?
いずれも副腎と言われる臓器の病気で、これが原因で高血圧や肥満、糖尿病を起こすことがあります。
私たち順天堂大学泌尿器科は、これらの副腎疾患に対する専門的知識と多くの経験を有し、安全かつ低侵襲な手術治療を得意としています。
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手術の概要


副腎は人体の左右に1個ずつある臓器です。
大きさは正常では1㎝程度と小さくとも、生命維持に不可欠なホルモンを分泌しています。
そのため、両方の副腎を取るわけにはいきませんが、片方だけの副腎に病変(腫瘍)が存在する場合には、摘除が可能です。

当科では多くの場合、副腎の摘除は腹腔鏡手術で行います。
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病変のある副腎側が上になるように横向きの状態で手術を行い、おなかに4~5か所の孔を開けてそこからカメラや鉗子を入れて操作します。
おなかの手術と聞くと「こわい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、順天堂大学泌尿器科には多くの腹腔鏡技術認定医、指導医が在籍しておりますので、みなさまの不安に寄り添い、よりよい治療を提供させていただきます。

さらに2022年にはDaVinciを用いたロボット支援腹腔鏡下副腎摘除術が保険適応となり、当科でもいち早く取り入れております。
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ロボットによる多関節で自由度の高い操作や3D画像を用いた手術が可能となり、出血量や合併症の減少、難易度の高い症例への適応などが期待できます。

以下に手術の手順をお示しします。
  • 側臥位にて体位を固定し、ポート(手術用の孔)を作成する。
  • ロボット支援手術の場合、ポートにDaVinciを接続し、手術用鉗子を挿入する。
  • 腹腔内に入り、腹膜を切開して腹膜の裏にある副腎を確認する。
  • 副腎静脈を特定し、切断する。
  • 副腎周囲の血管やリンパ組織を切除し、副腎を摘除する。
  • 副腎をポートから挿入した回収バッグに入れて体外へ摘出する。
  • ポートを閉創して手術終了。

ロボット支援腹腔鏡下副腎摘除術

2022年に本邦でも保険適用となったロボット支援腹腔鏡下副腎摘除術は低侵襲かつより安全な手術を可能とし、当科では積極的に取り入れております。
特に5cmを超える腫瘍の場合は、一般的な腹腔鏡手術よりも手術時間が短く、開腹手術への移行が少なかったとの報告があります。
その他の報告でも、ロボット支援手術において、出血量は有意に少なく、入院期間も短く済むといったことが示されています。(※)
比較的大きな腫瘍で、副腎腫瘍手術の最新治療にご興味のある方は是非ご相談ください。

最後に

このページをご覧になられる方は検診やドックで副腎腫瘍を指摘された方、または内科で副腎機能の異常を指摘され手術を勧められた方、およびそのご家族の方々だと存じます。
泌尿器科を受診するにはハードルを感じられるかもしれませんし、手術なんて、と不安を抱かれることと思います。
是非、みなさまの不安に寄り添わせて下さい。
順天堂大学泌尿器科がチーム一丸となってサポートいたします。
(※)Economopoulos KP, Mylonas KS, Stamou AA, et al. : Laparoscopic versus robotic adrenalectomy : A com- prehensive meta-analysis. Int J Surg 38 : 95-104, 2017
Heger P, Probst P, Hüttner FJ, et al. : Evaluation of open and minimally invasive adrenalectomy : a systematic re- view and network meta-analysis. World J Surg 41 : 2746- 2757, 2017

Perivolitos K, Baloyiannis I, Sarakatsianou C, et al. : Comparing the efficacy and safety of laparoscopic and robotic adrenalectomy : a meta-analysis and trial sequen- tial analysis. Langenbecks Arch Surg 405 : 125-135, 2020

Agrusa A, Romano G, Navara G, et al. : Innovation in en- docrine surgery : robotic versus laparoscopic adrenalecto- my. Meta-analysis and systematic literature review. Onco- target 8 : 102392-102400, 2017