前立腺がんに対するロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)


ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)

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ダ・ヴィンチはアメリカで開発された内視鏡手術支援ロボットです。

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外科医としての課題である正確な手術、身体への負担を減らすこと。その飽くなき探求よりダ・ヴィンチがアメリカで開発され、ロボット支援手術は現在、全世界へ急速に普及しています。
日本ではロボット支援手術は現在までに前立腺癌に対する前立腺摘除術、腎癌に対しての腎摘除術および腎部分切除術、腎盂尿管悪性腫瘍に対して腎尿管全摘除術、膀胱癌に対して膀胱全摘除術、副腎腫瘍に対して副腎摘除術と、従来腹腔鏡下手術で行われていた多くの手術がロボット支援手術として保険収載されています。

当院はda Vinci Xi 3台導入しており、ほぼフル稼働で都内屈指の症例数を誇ります。

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手術支援ロボットダ・ヴィンチとは

①鮮明な3D画像

3Dカメラで体内を立体的に映し出します。
最大約10倍のズーム機能により、患部を拡大視野でとらえることが可能です。
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②精密な動作が可能

3本のアームを術者が自由に操作することができます。様々な形状の鉗子は人間の手と同等以上の可動域があります。
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②手ぶれがなく正確

手先の震えが鉗子の先に伝わらないように手ぶれを補正します。高い集中力を必要とする細かな作業でも、正確に操作をすることができます。
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ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術

当院は2013年よりロボット支援手術を導入以来、前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術は年間約160例、現在までに1700例以上に及ぶ豊富な経験を有しています。また診療においては健診にてPSAの高値を指摘され精査をご希望の方から、他院にて前立腺癌の診断に至りロボット支援手術をご希望され紹介またはセカンドオピニオンでご受診いただく方まで広く対応しておりますのでどうぞお気軽にご相談ください。

患者さんのメリット

従来の前立腺手術の問題点

前立腺は、膀胱の尿を排泄する尿道を包むように存在し排尿をコントロールするのに重要であると同時に前立腺の外側を包むように勃起を起こす細かな神経の束が脊椎から陰茎へと走行しています。
このため前立腺がんに対して根治的な治療である摘出手術を行うと手術後に尿漏れや、勃起障害が生じることが問題でした。

①身体への負担が少ない

傷口が小さく、痛みが少ない
腹部の皮膚切開は3~4cm程1箇所、1cm程5箇所の小さな創のみで行うことができ、開腹手術と比べ痛みが少なく翌日から歩いての早期離床が可能です。
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手術時間が短く、回復が早い
従来の腹腔鏡手術に比べ手術時間を短かく行うことができ、また翌日から食事を召し上がれます。事前の診察および諸検査にて手術へのリスク評価を行い有意な問題がなければご高齢な方、ほかにご病気をお持ちの方でも安全に手術を受けることができます。

出血量が少ない
ロボット支援手術では基本的には輸血を必要とせず、合併症も少ない手術が可能です。

② 手術後のQuality Of Life(生活の質)向上

前立腺摘出後の尿道と膀胱との吻合が正確に行うことができるため、より短期間(1週間程度)で確実な尿道カテーテル抜去が見込めます。それによって入院期間の短縮、早期の社会復帰へつながります。
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手術後尿失禁の早期改善
前立腺と前立腺を包む筋肉、特に尿道の括約筋の位置を把握し、がんを残さずかつ筋肉を損傷せずに手術可能です。それにより括約筋の機能回復が早く早期尿失禁改善が期待されます。
勃起機能の温存、早期回復
従来の手術に比べ前立腺を包む排尿と勃起に寄与する神経をより丁寧に前立腺から剥がして温存(勃起神経温存術)することが可能です。前立腺癌のご病状およびご希望に則って温存の適応については判断いたしますので、担当医とご相談ください。また当院では常に先進の勃起神経温存の技術を研鑽し実践しています。

主な合併症について

出血:
約100㎖程度と輸血を要することは非常に稀です。但し術後出血が遷延する場合には再手術にて止血を行う可能性があります。
疼痛:
術後数日は創部の痛みに対して必要時は鎮痛剤を用います。
尿失禁:
数か月内に軽快しますが、失禁を認める期間は尿取りパッドをご使用いただきます。
勃起機能障害:
前立腺癌のご病状や、ご希望に応じて勃起神経温存術を行うことで勃起機能を維持することが可能です。また勃起神経温存手術後は、勃起機能の改善・維持を目的として内服薬による勃起リハビリテーションを受けていただくことも可能です。
射精障害:
射精はできなくなり自然妊娠はできなくなりますが、性感や射精感は維持されます。
腸閉塞:
手術後一過性の腸蠕動障害が生じることがあります。遷延することは稀ですが必要に応じて数日間、鼻から管を入れる治療(胃管・イレウス管)を要することがあります。
直腸損傷:
ロボット支援手術では稀な合併症となりましたが、直腸と前立腺が癒着している際などに生じ得ます。状況に応じて一時的(3か月程度)に人工肛門造設による腸管安静を図ります。
血管・神経・他臓器損傷:
血管および神経、他臓器損傷は非常に稀な合併症ですが生じた際には、修復を要します。神経損傷時は歩行障害を生じる可能性があり改善まではリハビリテーションを要します。
リンパ漏・リンパ嚢胞感染:
リンパ節郭清術を同時に行った場合にしばらくリンパ液がリンパ管より腹腔内へ漏出します。ほとんどは自然に軽快しますが、一部のかたでリンパ液の漏出が多い場合は嚢胞を形成し感染を生じることがありますので抗生剤加療および穿刺ドレナージなどを要します。
鼠径ヘルニア:
脱腸とも言われます。手術後に足の付け根付近の膨隆を目立って認める場合は担当医へご相談ください。外科的治療で治癒することが可能です。

手術後の予定

手術後は定期的に外来通院にてPSA値の確認や術後の体調について経過観察を継続いたします。