尿路結石症とは腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患の総称です。
腎臓にある結石は腎結石、尿管にある結石は尿管結石、膀胱にある結石は膀胱結石、尿道にある結石は尿道結石と呼びます。

症状

  • 腎結石は無症状のことが多く、健康診断などで偶然見つかることが多いです。治療を必要としない場合もありますが、極端に大きい結石や将来尿管結石になりうる可能性が高い場合は破砕治療を提案します。
  • 尿管結石は尿の流れが滞ってしまうため、腎臓でできた尿の水圧が高くなり水腎症、水尿管症を引き起こします。それによって疝痛発作(突然の激しい背部痛)や腎機能障害や血尿が起こります。
  • 腰背部から側腹部の激しい痛みの症状は夜間や早朝に起きることが多く、同時に吐き気を伴うことが多いです。通常3~4時間持続して自然と痛みは収まっていきます。結石が膀胱付近まで落下すると、頻尿や残尿感の症状を認めることがあります。
    まれに細菌による尿路感染が合併し、重症な腎盂腎炎を発症することがあり、38~40度の発熱を呈した場合は注意が必要です。
  • 膀胱結石や尿道結石では頻尿や排尿痛や尿流の途絶が生じることがあります。



治療

順天堂大学では最先端の内視鏡と砕石機器をそろえております。
治療法は複数あり、結石の位置やサイズによって最適な治療法をご提案いたします。

軟性尿管鏡を使用した経尿道的尿管結石砕石術(flexible Transurethral Ureterolithotripsy:f-TUL)

軟性尿管鏡を尿道口から尿管まで挿入し、結石に到達し、直接観察しながらレーザーによって砕石する手術です。直接結石を確認しながら破砕し回収するため確実性、根治性が高い治療法です。主に全身麻酔で行います。5~6日の入院を予定しております。
他院で困難と言われた硬い結石や持病のある方やご高齢の方も、順天堂大学では長年培ってきた経験と、最新の機材で安全かつ高い完全砕石率の内視鏡砕石治療を行っています。

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経皮的腎尿管結石砕石術(Percutaneous Nephrolithotripsy:PNL)

2cm以上の大きな腎結石やTULでも除去困難なことが予想される場合に適した手術です。背中から超音波で観察しながら腎臓内まで針を通し、針穴を6-10mmまで広げて筒を挿入します(腎瘻造設)。そこから内視鏡を挿入し砕石、回収を行います。全身麻酔でうつ伏せの状態で手術を行います。大きな結石を短時間で回収できる反面、広い範囲の操作や尿管内の結石は苦手としており、TULと組み合わせて相互の利点を活かす経皮・経尿道同時内視鏡手術(Endoscopic combined intrarenal surgery:ECIRS)も当院では積極的にお勧めしております。

経皮・経尿道同時内視鏡手術(Endoscopic combined intrarenal surgery:ECIRS)

腎結石が大きい場合や、治療が難しいサンゴ状結石には最大限の効率で結石砕石と回収を目指すためTULとPNLを組み合わせるハイブリット手術も行っています。順天堂大学では、成功のカギであるとされる穿刺トラクト作成のプランニングをFUJIFILMと研究中の先進的な画像処理技術である3D combined CT Urography (3D-cCTU)を用いて行なっています。3D-cCTUを用いる事により、術前のCT画像から、最も砕石効率が高い手術を計画する事が可能となります。
全身麻酔でうつ伏せの状態で手術を行います。入院日数は1週間程度の予定です。手術時間は2時間前後を予定しており、安全優先のため2期的、3期的に手術を計画する場合もあります。

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体外衝撃波結石砕石術(Extracorporeal shock wave lithotripsy: ESWL)

衝撃波を発生する装置に横たわって背部から結石を狙って衝撃波をあてて砕石する手術です。軽い痛み止めと少し眠くなる鎮静剤のみで治療可能であり、1泊2日の入院で治療可能です。しかしレントゲンで確認でき、衝撃波を狙うことができる結石のみが対象になります。適応は主治医にご相談ください。