化学療法の実際
BEP療法について
投与スケジュール
治療第1日目に点滴を開始し、治療第1~5日目まで毎日エトポシドとシスプラチンの点滴(静脈内注射)を行います。治療第2、9、16日目にブレオマイシンの点滴(静脈内注射)を行います。その後休薬日を入れ治療21日目(3週間)までを1コースとして、同じ内容の治療を繰り返します。副作用などで治療期間が延長される場合がありますが最低でも28日おきには治療を行います。各コースごとに退院する事は可能です。
予想される副作用と対策
- 骨髄抑制(20~100% :白血球減少、血小板減少、貧血)、感染症(発熱性好中球減少症、敗血症など)
白血球の減少に対してGCSF製剤を投与します。貧血や血小板の減少に対しては必要に応じて輸血を行います。
- 粘膜炎(10~25% 口内炎、胃潰瘍など)
適宜胃粘膜保護剤を内服いただき、口内炎に対してはうがいをしていただく事で予防可能です。漢方製剤(半夏瀉心湯)のうがいが有効です。
- 悪心・嘔吐(10~25% )
抗がん剤投与中はアプレピタンと呼ばれる強力な制吐剤を投与し、吐き気の予防を行います。食事のとれない期間は適宜点滴や栄養剤の内服で対応いただきます。
- 脱毛(10~60% )
治療期間中は脱毛がありますが、治療後再び生えてきます。
- 間質性肺炎(10%)
とくにブレオマイシンの副作用として重要です。
投与期間中に呼吸機能の低下や呼吸困難症状が出現した場合は、ブレオマイシンの投与を中断します。その場合はブレオマイシンを除いたシスプラチンとエトポシドで治療を継続していきます。
さらに上記以外の副作用として抗癌剤の血管外漏出、アレルギー、全身倦怠感、食欲低下、下痢、末梢神経障害、聴神経障害(耳の聞こえの障害)、造精機能障害(精子を造る機能の障害)、臓器障害(肝、腎、心、内分泌腺、生殖器など)、浮腫(むくみ)、皮膚の色素沈着、爪の異常やその他の副作用が起こりうる可能性もあります。
希望される方は化学療法前に精子凍結保存を行います。
初回化学療法後について
ケース1:腫瘍が残存している場合は後腹膜リンパ節郭清を行いリンパ節を摘出します。摘出したリンパ節に腫瘍細胞を認めた場合は化学療法を追加します。
ケース2:経過期間中に再発した場合は救済化学療法を行います。その場合はシスプラチンとイホスファミドを中心とした救済化学療法が推奨されています。
難治例や治療方針が難しい方の場合は精巣腫瘍メーリングリストを通じて、全国の泌尿器科医と治療方針を検討いたします。