腎臓のがんが疑われたら


腎臓とは?

腎臓は後腹膜腔という腰より上の背中に2つ、左右に存在します。

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腎臓の働きは以下のようなものがあります。

  • 血液中の老廃物を排泄するために尿を作って体をきれいする。
  • 貧血を防ぐホルモンを出す。
  • 骨を丈夫にするホルモンを出す。

腎臓がんとは?

腎臓にできるがんを「腎がん」といいます。
現在、1年間に約10000人の方が腎がんと診断されています。およそ10万人に4〜5人の方が発症されます。最近増加してきているがんです。サイズが小さいうちは自覚症状に乏しいことが多く、健康診断や別の病気の診察時などに、偶発的に発見される方が増えています。
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診断はCTでほぼ可能です。一部困難な場合などはCTガイド下生検などの組織診検査を行う場合もあります。
特に日本ではCTが簡便に撮影できることもあり、偶然発見されることが多いので早期発見され、その結果治療成績も良い可能性が指摘されています。
腎臓のがんにも下記のような種類があります。最も一般的なものは腎細胞がん(淡明細胞がん)です。

腎細胞癌の種類

淡明細胞癌 顆粒細胞癌 嫌色細胞癌 紡錘細胞癌 嚢胞随伴性腎細胞癌 乳頭状腎細胞癌
集合管癌
悪性リンパ腫
良性腫瘍として:腎血管筋脂肪腫(AML) 乳頭状腺腫 オンコサイトーマ 神経鞘腫

腎がんの治療

腎がんの治療は他の癌と違って抗がん剤や放射線治療が効きづらく、手術が基本です。
順天堂ではどんな腎がんでも対応が可能です。
順天堂ではカンファレンスを通じて、患者様にあった最良の治療法を提供します。

手術の方法を決める要因

1.がんが4~5cm以下の場合
腎部分切除術(がんとその周囲だけを切除)

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通常はロボットを用いて手術します。ロボットを用いる術式をロボット補助下腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)といいます。順天堂医院では、RAPNが保険適用で施行可能となった2012年からいち早くRAPNを導入しております。そのため、都内でも有数の症例数を経験しております。
詳しくは「腎臓がんに対するロボット支援腎部分切除術」をご覧ください。

2. がんが大きい場合または部分切除ができない場合
腎摘出術


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通常は腹腔鏡またはロボットを用いて手術します。がんが大きい場合は開腹手術になることがあります。

3. がんが周囲に進行している場合
腎摘出術、他臓器の合併切除

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がんが静脈内に及んでいる場合 腫瘍塞栓除去術(血管の中の腫瘍の塊を取る)を併せて行います。周辺の臓器に浸潤している場合には、消化器外科、心臓血管外科などの他科の先生とも協力して腫瘍を切除することもあります。

手術ができない腎がん(切除不能腎癌)の治療、薬物療法について

腎がんで手術ができない場合は以下の場合が考えられます。

  • 転移が多発しており、腎臓だけを切除しても有効性が乏しい場合
  • 腫瘍が大きく、手術のリスクが高く、切除不能と判断された場合
  • 年齢や合併症などの理由で手術リスクが非常に高いと判断された場合

腎がんで手術が行えない場合は「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」といった薬を用いて治療を行います。現在、分子標的薬は7種類、免疫チェックポイント阻害薬は4種類が本邦で使用可能です。当院では、いずれの薬剤での治療も実施しております。いずれの薬剤も腎がんへの有効性は確立されていますが、年齢、腎がんの状態、併存疾患、患者様の生活をカンファレンスを交えて総合的に判断の上、最適な薬剤を選択していきます。
まずは外来担当医にご相談ください。