側弯症外来の紹介
側弯症外来は毎週木曜日午後(完全予約制)に側弯症を専門とする医師が診療をおこなっています。
当外来では思春期に脊柱が曲がる特発性側弯症から、大人になって脊柱が曲がっていく成人脊柱変形まで、すべての年齢層の脊柱変形を対象としています。
脊柱変形を矯正する手術は、高い技術と経験が要求される難易度の高いものですが、手術数は増加の一途をたどっています。順天堂大学側弯症外来は1969年に開設され長年に渡り脊柱変形の治療をしてきた実績があります。豊富な経験を基に最新の技術、医療機器を取り入れて、患者さんにとってより良い治療の提供をお約束いたします。
側弯症
特発性側弯症
特発性側弯症とは原因がはっきりわからない側弯症を意味し、側弯症のうち80-85%を占めます。
年齢による分類
①乳幼児期側弯症:3歳以下で発症し、男児に多いです。
②学童期側弯症:4~9歳に発症し、進行する例が多く見られます。
③思春期側弯症:10歳以降に発症し、多くは女子です。
原因の病気が分かっている側弯症
先天性側弯症
生まれつき脊椎の異常があるために発症する側弯症です。
神経・筋原性側弯症
脊髄空洞症、脳性麻痺、筋ジストロフィーなど様々な神経・筋肉の病気が原因で発症する側弯症です。
神経線維腫症による側弯症
レックリングハウゼン病ともよばれ、特有な色素斑・皮膚腫瘍などにより診断されます。
間葉系疾患による側弯症
マルファン症候群などの血管や結合組織の生まれつきの病気による側弯症です。
その他の側弯症
放射線治療、やけどなどによるケロイド、骨系統疾患、感染、代謝疾患、脊椎腫瘍などによっても側弯症が生じます。
治療
保存療法
経過観察
成長期の側弯症でコブ角25度未満の軽度側弯症の場合は、レントゲン検査での定期フォローが大切です。進行した場合は装具治療に移行します。
当外来では低線量レントゲン検査(EOS)を導入しており、従来のレントゲン検査より少ない被曝量で全身の正面・側面像を同時に撮影することが可能です。
装具療法
一般的にコブ角20~45度程度の中等度側弯症は、進行防止のために装具治療をおこないます。装着時間が長いほど効果があります。成長が止まり骨成熟して側弯の進行もなければ、徐々に装具装着時間を減らし、装具治療を終了します。
手術療法
高度側弯症を矯正し進行を防止できる唯一の方法は手術療法です。コブ角40~45度以上になると手術療法が必要になります。手術リスクをゼロにすることはできませんが、最新の機器・手術方法を取り入れてより安全に手術をおこなっており、良好な成績が得られています。
ナビゲーションシステムと3D画像撮影装置(画像提供:日本メドトロニック株式会社)
側弯症外来担当医師紹介
野尻 英俊
脊椎脊髄センター副センター長
先任准教授