患者さんへのご挨拶

教授 北出 真理
女性低侵襲外科・リプロダクションセンター センター長産婦人科学講座
教授 北出 真理
当院において、2017年1月より`女性低侵襲外科・リプロダクションセンター'が設立されました。このセンターは、腹腔鏡手術などの低侵襲外科治療と生殖補助医療(ART)などの不妊治療を合わせた、国内初の女性総合診療センターになります。

低侵襲外科とは内視鏡を用いて行う低侵襲な手術療法(腹腔鏡手術や子宮鏡手術など)を指しますが、体への負担が少なく早期に仕事復帰できるというメリットがあり、仕事や子供を持つ女性にも人気の高い手術となっています。私達はこれらの手術を、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫、骨盤臓器脱、子宮がんなど、女性特有の疾患に対して幅広く行っております。

一方、リプロダクション(reproduction)とは生殖(妊娠・出産)を指す言葉ですが、当院のC棟に新しく設立されたリプロダクション部門にはクリーンな採卵・胚移植室、培養室、採精室、リカバリールームが完備され、最先端の生殖補助医療(ART)を行っております。
是非多くの方に受診して頂ければ幸いです。

センター概要

概要

低侵襲外科治療と生殖補助医療(ART)による女性総合診療センター

目的

  • 器質的疾患を持つ女性に対して低侵襲な外科治療を行い、女性のQOL (quality of life)を向上させます。
  • 自然妊娠のサポートから高度な生殖補助医療(ART)まで、幅広い不妊治療を行います。
  • 不妊原因の根本的治療としての低侵襲手術と不妊治療との組み合わせにより、妊娠率の明らかな向上が期待できます。
  • 腹腔鏡手術ハイボリュームセンターの一つとして、若手医師に安全な手技を伝承し、技術力の高い術者の育成を目指します。

目的

センターのコンセプト

生殖外科(reproductive surgery)という考え方

ART(Artificial Reproductive Technology):生殖補助医療

センターのコンセプト
患者さんの症状や疾患に応じて、それぞれの治療を個々に行うか双方を組み合わせて行うかを選択しています。
不妊治療のみでは妊娠に至らない子宮筋腫や子宮内膜症を合併した不妊症の方には、 生殖外科手術を併用して妊娠率の向上に努めています。この場合は①まず手術を行ってから不妊治療を施行する場合と、②受精卵を凍結してから手術を行い、術後に解凍して移植する場合があります。

センターのアピールポイント

女性低侵襲外科部門

低侵襲性
術後回復が早く、からだに易しい美容的な手術を提供しております。
低侵襲性


安全性
鏡視下手術特有の合併症をできる限り回避できる様、定期的なカンファレンスを行い、安全な手術と周術期管理を行う為の体制を整えております。2022年の当院の婦人科腹腔鏡下手術における合併症発生率は0.47%と非常に低い値でした。
安全性


教育に特化
歴史ある腹腔鏡教育システムにより若手医師の指導を行い、安全かつ確実な手術手技の習熟を図っております(毎年1-2名の技術認定医を育成していますが、その総数は全国一となりました)。
教育に特化


他科との連携
稀発部位子宮内膜症・骨盤臓器脱の治療や 術者の教育において、大腸肛門外科、消化器低侵襲外科、泌尿器科等と連携をとりながら、最先端の医療を行っております。
他科との連携


リプロダクション部門

リプロダクション部門では、1号館5階に新しく採卵・胚移植室、培養室、採精室を完備し、体外受精により不妊症に悩む患者さんに安定し、安心できる不妊治療を提供しております。検査結果と年齢、卵巣機能、患者様の妊娠に対する希望をふまえて、話し合ったのちに治療方針を決定しております。
 
また子宮筋腫や子宮内膜症などにより不妊治療のみで妊娠に至らない場合には、低侵襲手術により根本的な不妊原因を除去する事も検討致します。
さらに卵巣機能不全・反復着床不全に対するPRP療法(多血小板血漿療法)や、卵巣機能不全・着床不全・不育症などの疾患に対する検査・治療についての専門外来も設けております。